TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

ある日、城に狼男が来た。

数多の人々を殺して

狼男は颯爽と消えていった。

そんなの幾分も前の話で

覚えている者は数名しかおらず、

それでも狼男は恐れられていて

誰にも好かれない孤独な奴だった。

女性

ねぇあなた

狼男

女性

聞いているの?

狼男

…ああ

女性

ちゃんと返事をしなさい

狼男

…聞いてるよ

女性

…そう

女性

ねぇ、

狼男

名前は?

女性

狼男

名前

狼男

あんたの名前だって聞いてんの

女性

ああ…私の名前は

フラニー

フラニー。

フラニー

あなたは?

狼男

…さあ

狼男

名前なんか無い

フラニー

あらそう?

フラニー

それじゃあ私がつけてあげようか

狼男

…別に

フラニー

うーん…

狼男

「汚い子」

フラニー

へ?

狼男

汚い子とでも呼んでおけ人間

フラニー

ど、どうして

狼男

さあ

狼男

お前に教える気はないよ

狼男

……

母親

…汚い

幼い頃の狼男

っ、

幼い頃の狼男

おえっ…

母親

まあ、吐いちゃったの?

狼男の兄弟

にいちゃん

狼男の兄弟

だいじょぶ?

母親

こら、汚い子には触れちゃいけませんよ

幼い頃の狼男

……

狼男の兄弟

あ、

狼男の兄弟

わ、分かりました

幼い頃の狼男

……

幼い頃の狼男

殺してやる

母親

母親

ひっ…!

母親

狼男よ!!

狼男の兄弟

にいちゃんっ!

母親

やめなさい!あの子はあなたのお兄ちゃんではないわ!

狼男の兄弟

やだ!にいちゃん!

狼男の兄弟

にいちゃん!

幼い頃の狼男

…何もいらない

狼男の兄弟

あ、へ…?

俺は弟を殺した。

斧で、頭をかち割った。

母親

や、やめて!

母親

怪獣!私に近づくな!!

幼い頃の狼男

…ああそうだよ

幼い頃の狼男

俺は怪獣だよ!!!!

母親

母親を真っ二つにした。

罪悪感などはない

そこには肉があっただけ。

命なんてものはない。

俺は何もしていない。

フラニー

…ただ

フラニー

なんであなたは狼男になったの?

狼男

……

狼男

俺自身が望んだ。

狼男

「夜は怪獣になりたい」

狼男

「怪獣ならば殺せるから」

狼男

って

フラニー

あははっ!

狼男

…何を笑っている

フラニー

あなた、壊獣にもなれないくせにっ

フラニー

そんな欲抱いてたのねっ

狼男

煩い

狼男

そんなの過去の俺にでも言っておけ

フラニー

まあ!過去のあなたとどうやって話すって言うの?

狼男

……

フラニー

あら、黙っちゃった。

フラニー

ごめんなさいね。ちょっといいすぎたかしら?

狼男

別に

フラニーがいなくなったあと俺は

ひとりで晩餐会を開いた。

…殺した人間の肉で。

ご馳走だった。

フラニー

お母さんとお父さんが会ったときの話、どうだった?レーン。

レーン

んー…難しかったなぁ

レーン

でも、ママとパパはすごい出会い方をしたんだね!

フラニー

…ええ、そうね。

ゾーイー

そんな前の話、どうでもいいだろうフラニー。

フラニー

あら、そうかしら?

フラニー

でも楽しいもんね?

レーン

うん!ぼく、ママとパパの話聞くのだーいすき!

ゾーイー

…そうか

フラニー

もうゾーイーったら!レーンの前くらい、明るくしなさいよ!

いつの間にかフラニーは 俺との子、「レーン」を孕んでいた。

でも「レーン」は 狼男と人間の間で出来た子とは思えないくらい 可愛い子供だ。 ただ、他の子と違って歪な部分がある。

フラニー

っ、

ゾーイー

レーン!もうやめろ!

レーン

はっ…

レーン

う‪”‬……

フラニー

ゾーイー、いいのよ

フラニー

…私の身体はレーンの為にあるの

ゾーイー

フラニー…

レーン

っ……

ゾーイー

でもっ

ゾーイー

もう、やめてくれ!

ゾーイーは 私に尽くしてくれている。

実の息子であるレーンは 狼男の血があるのか 時々誰かに噛み付く。 やっぱり他の子に比べたら歪ではあるけど 私にとってはとても可愛い。

レーン

っあ、ごめんなさい…ママ。

フラニー

いいのよ。

ゾーイー

……

ゾーイー

フラニー

フラニー

どうしたの?

ゾーイー

…このままではお前の身体がもたない

ゾーイー

せめてレーンを…

フラニー

前も言ったでしょう。私の身体はレーンの為にあるんです。

ゾーイー

…でも、このままでは死んでしまう。

ゾーイー

レーンを別の部屋に隔離するしか…

フラニー

もうやめて!!

フラニー

実の息子であるレーンを隔離するなんて耐えられない…!

ゾーイー

…!!

ゾーイー

………

ゾーイー

わかった。

フラニー

そのかわり

フラニー

私が死んだら、あなたが私を燃やしてください。

ゾーイー

…そんな先の話……

フラニー

もう、意外と遠くはないんですよ

ゾーイー

………

そんなこと思いたくなかった。

俺が一番最初に愛した人は

フラニーだから。

loading

この作品はいかがでしたか?

17

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚