────nqrse────
成瀬 楓
成瀬 楓
成瀬 翔
うるさい妹の声で目が覚める
重たいまぶたを強引に擦った
成瀬 楓
成瀬 楓
成瀬 翔
朝からベラベラ喋り出す妹にとりあえず相槌をうつ
成瀬 楓
成瀬 翔
妹が出ていった扉の方にひらひらと手を振った
成瀬 翔
僕は机の上にあるスマホに手を伸ばす
AM : 7 : 17
成瀬 翔
僕は見間違いかと思い、再度目を擦る
成瀬 翔
スマホから目を離し、また画面を見た
AM : 7 : 17
成瀬 翔
何度見ても変わらない時間、てかどんどん進んでいく時間に押されながら荷物を適当にカバンに入れ
急いで家を出た
成瀬 翔
なんとか大学まで来ると、疲れから門に寄りかかる
成瀬 翔
呼吸を整えながらスマホを取り出し、時間を確認した
AM : 10 : 15
成瀬 翔
僕が分かりやすく項垂れていると
???
と 誰かから肩を叩かれる
成瀬 翔
ほとんど検討がついていた僕は後ろを振り向きながら彼を睨んだ
luzくん
luzくんは僕をヤンキーを見るような目で見たあと背中をポンポンと叩く
luzくん
luzくん
luzくんは僕に共感しながら背中を押し、半分強引に前に進んでいく
luzくん
luzくん
仕舞いには頭まで撫で始めた
luzくん
luzくん
成瀬 翔
luzくん
luzくんは僕の言った正論(ほぼ)を完全に無視し、まだ喋る
luzくん
luzくん
luzくん
成瀬 翔
立ち止まったluzくんに適当な返事を返し、僕は食堂に向かった
luzくん
なんにも聞こえなーい
足を止めることなく僕はづかづかと進んで行った
成瀬 楓
私はリュックを叩きつけるように机に置く
成瀬 楓
椅子にどかっと座り、足を組んだ
いや聞いてくださいよ、みなさん。
さっきね もしかしたらあるかも。って思ってスティックを迎えにホール3行ったんですけど、
なんと軽音部が居たんですよ
ギターやらなんやらジャカジャカやってたんです。
おかしくないですか!?
前は居なかったくせに、一丁前に朝練やってるんですよ!?
成瀬 楓
私はイライラを黒板に吐き出した
なんだかスッキリした気がする
成瀬 楓
あんま大声でやると奴らに聞こえるかもしれないから私はできるだけ声を絞り、黒板にぶつけた
成瀬 楓
そのまま数分はずっとやってた気がする
途中から飽きて寝たけど。
???
???
誰かが私の肩を優しく叩いた
ガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤ
成瀬 楓
誰かさんと教室のざわめきで目が覚める
成瀬 楓
あくびを交えながら起こしてくれた人の方を向いた
???
???
それだけ!?
成瀬 楓
心の中でズッコケながらお礼を言うと彼は私の隣に座る
いつも空席の隣に。
成瀬 楓
成瀬 楓
成瀬 楓
が
言えないぃぃぃぃ!
???
彼は澄んだ表情で窓の外を眺めている
クソがっ!!
私は頭を抱えた
天宮先生
ナイスっ!天宮っち!
ちょうどいいタイミングで入ってきた先生に感謝しながら私は座り直した
天宮先生
天宮先生
???
ふと、隣から気だるけな返事が聞こえてきた
「伊吹」っていうんだー
そういや居たな、そんなやつ
伊吹 透夏
彼は呑気にあくびをしながら先生から目を逸らしまた、外を眺める
そんないい天気か?
成瀬 楓
私も同じように空を見上げた
成瀬 楓
どんより曇った空は今にも降り出しそうな天気。
傘もってねぇよ......
天宮先生
成瀬 楓
梅雨のじめっとした湿気と傘を持ってこなかったことに対しての後悔で
やる気のない返事をした
もぉ、やだぁー
天宮先生
成瀬 楓
いつものように授業後の特別授業を受けたあと、いつもよりも重い足取りで
土間へ向かった
成瀬 楓
私は廊下ギリギリで立ち止まり、目を丸くしている天宮先生の方をばっと見る
成瀬 楓
こんな おとぼけ先生なんて当てにならなんが聞いてみるだけ聞くか
天宮先生
天宮先生
思い出すように頭を抱える天宮先生がなんだか意外だった
成瀬 楓
もう完全に同級生のノリ
天宮先生
諦めが着いた天宮先生は教科書やらを片付け始めた
成瀬 楓
天宮先生
成瀬 楓
天宮先生
天宮先生
天宮先生は私に向かって指をさし、腕をぶんぶんと振り回している
成瀬 楓
天宮先生
天宮先生
成瀬 楓
天宮先生
さっきまでの焦り顔から一気に満面の笑みに変わった
切り替えやば
成瀬 楓
私は少しだけ開けた扉の隙間から教室の中を覗く
成瀬 楓
ゆっくり、まず1歩、ホール3に入った
とんっ と私の足音が響くだけ
静けさをそのまま纏ったようなホール3には誰かが居たような跡はなかった
成瀬 楓
成瀬 楓
スティックを使ったのはここだけだから絶対あると思うんだけど
成瀬 楓
机の中や楽器のあいだ、手当たり次第に探しまくる
・
・
・
成瀬 楓
成瀬 楓
私は膝についた汚れはらいながら立ち上がった
成瀬 楓
机の中は空っぽ。楽器のあいだなんてホコリしかなかった
成瀬 楓
愚痴をこぼしているが、今はそんなことしてる場合じゃない
成瀬 楓
少しの不安と心配が私を襲う
私は頭をくしゃくしゃにした
もう1回探して、また焦る
そんなことを繰り返していると、
???
成瀬 楓
廊下から誰かの話し声がする
成瀬 楓
ここで見つかったら怪しまれる
かと言って今、出ていくと「なんか怪しい奴」
成瀬 楓
居場所がなくなった私は
とりあえず、ドラムの後ろに隠れ
彼が出ていくまでやり過ごすことにした
ガラッ
???
扉を開け、若干関西弁くん(仮)が入ってきた
成瀬 楓
私は思いっきり息を吸い込み、口を手で覆う
ここで見つかったら死ぬ覚悟だ
私は出来るだけ息を殺す
???
彼は誰かに問いかける
1人じゃないの!?
???
居たぁぁぁぁ!
見つかる可能性がグッと上がり、額に冷や汗が浮かぶ
やばい、やばい。
成瀬 楓
私はこれ以上の敵が居ないか、私はロータムの間から覗く
(ロータム=1番でかいバスドラムっていう丸いヤツの上部に取り付けられている太鼓)
???
???
???
どうやら2人だけらしい
もう少しの辛抱だ
ほっと胸を撫で下ろし、元の体制に戻ろうとすると
ドンッッ !!!
成瀬 楓
突然、バスドラムの音が響いた
(バスドラム=ドラムセットの土台となる太鼓。でかいヤツね。)
成瀬 楓
恐る恐る下を見ると私の左手は案の定、フットペダルを抑えていた
(フットペダル=これを右足で踏んでバスドラムを演奏する。ドラムペダル、キックペダルとも言う。)
???
???
2人はすっかり怯えているのか声がエグいくらいに震えている
???
???
???
???
うわぁ、醜い争いが聞こえるなぁ
???
???
ん?来る?
???
???
2人の足音がどんどん近づいてきた
あれ、これ、まさかヤバいやつ?
???
???
白くて細い手がロータムにかかる
詰んだわ。
???
???
彼らの顔が私を覗き込んだ
成瀬 楓
???
???
彼らの目が丸くなったと思ったら
???
???
くっそうるせぇ叫び声が木霊した
関西弁くんは身を潜めているつもりなのか、ベースを盾にしゃんがんでいる
???
もう1人の方は落ち着きを取り戻し、私をまじまじと見つめた
???
成瀬 楓
ぎこちない感じで返事をするも この状況をどうしていいのか分からない
どうするのが正解なのか。
???
???
2人の探るような視線に気づき
成瀬 楓
私はとりあえず否定しておく
???
???
成瀬 楓
正論を突きつけられ言葉に詰まっていると
ガラガラ
???
???
さらに2人が入ってきた
成瀬 楓
もぉ、やだー
高校入ってまだ間もないのに、これからの青春を全部台無しにしてってる気がする
???
私と関西弁くんを交互に見ながらさっき入ってきた人は聞く
???
成瀬 楓
自信満々にそう答える関西弁くんに私はすかさず否定した
???
成瀬 楓
2人に責められ、オドオドしてる私を助けてくれるように誰かが口を開く
???
そう言って取り出したのは私のスティック
成瀬 楓
やっとここから抜け出す光が見えた気がしてスティックを受け取ろうとするが、
???
成瀬 楓
成瀬 楓
???
ヒョイ、ヒョイと軽くかわされる
成瀬 楓
諦めた私は彼の前に手を差し出した
はよ返せや
そんなイライラを必死で抑え込む
???
成瀬 楓
あれ、おかしいな。
「やだ。」って聞こえた気が.....
成瀬 楓
私なりの「丁寧」で聞き返す
???
こいつ、無視しやがった
???
すんごい上から目線で彼はスティックを弄びながら私の周りをクルクルまわる
成瀬 楓
マジで鬱陶しい。
???
???
成瀬 楓
私は関西弁くんをちらっと見る
???
私の視線に気づいた関西弁くんは必死で顔を横に振った
???
涼しい顔で言う彼には疑問しか浮かばない
成瀬 楓
成瀬 楓
私がそう聞くと、待ってましたと言わんばかりに彼は口を開いた
???
???
???
???
???
???
???
???
成瀬 楓
二人の会話が遠くに聞こえる
なんて言うんだろ、「驚き」?
もちろん入りたい。でも
本当に入っていいんかな、って「不安 」もあるんだよね。
???
後ろでキャーキャー叫ぶ猿みたいな人を一旦無視し、私と目を合わせる
成瀬 楓
私は咄嗟にそう答えた
???
くしゃっと口の端を上げ、スティックを私に返したあと、彼は
???
と、いたずらっぽく笑った
この時から、彼を「見返りマン」と呼ぶようになったのは
秘密の話。
コメント
5件
おむれつさんの物語って毎回続きを気にならせる力がある 続きぃぃぃぃぃぃ
神作ってこういうのを言うんだなって改めて思いました
続き久しぶりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ やっぱおむれつさん神