コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
2028年 4月上旬
まだ時期的にも冬の寒さが残っている。 しかしもう桜はひらりひらりと、こちらを見てと言わんばかりに舞い落ちてくる。
毎年 この季節になると、数え切れない程の想いが俺の中を巡る。
天宮 律(あまみや りつ)
天宮 尚(あまみや なお)
丘の上で遊んでいた娘が、突然振り返り駆け寄ってきた。
(買いたての小学校の帽子の上についていた桜の花びらを指で取ってあげる)
天宮 尚(あまみや なお)
天宮 律(あまみや りつ)
どんなもんだいと にこっと笑う娘の笑顔は…… 今は亡き嫁を思わせた。
娘を出産後、5年前に難病を発症した後に治療の甲斐なく亡くなった。 というか、治療らしい治療をしなかった。
彼女はそれを選ばなかった 「私はこれが寿命だから」と。 自分と娘と3人で生きる道を彼女は拒んだのだ
天宮 律(あまみや りつ)
天宮 尚(あまみや なお)
また娘の前で悲しい顔しちゃったかなと自分を責める それで更に表情が暗くなる、ここまで来るともう負のループである
天宮 律(あまみや りつ)
天宮 尚(あまみや なお)
天宮 律(あまみや りつ)
天宮 尚(あまみや なお)
物心ついたばかりの娘に気を遣わせてしまっている。自分は本当に情けない…
でも、いつまでもこの場所でうずくまってちゃいけないんだ。
天宮 尚(あまみや なお)
天宮 律(あまみや りつ)
天宮 尚(あまみや なお)
どんなおまじないかと聞く前に上半身に激痛が走った。
6歳児からのとはいえ、不意打ちで治療中の左肩へのダイレクトタップは割と効いた。
天宮 尚(あまみや なお)
天宮 律(あまみや りつ)
父娘、共々全力疾走で追いかけっこ。 でも、何故かお互い笑っている。
そうだよ、愛繋。お前がいなければ俺はこの場所で娘と走ることなんてなかった。 ずっと一人のままだったはずだ。
もし他の女性と結婚して、世帯を持っていたとしても、心からの笑顔や色んな感情を知ることもなかっただろう。
俺は、霊とか悪魔とかオカルトチックなことは信じたくないタチだが、先祖代々霊感家系のせいか、たまに見えることはある。 信じたくないけど。
しかし最近、生まれ変わりというものを信じたい自分の気持ちが出来てきているのは事実…
娘の律も明言してしまうと、前世の自分の初恋相手なのだ…
その子の生前を知ってる人は皆、瓜二つすぎて認めざるを得ない状態。
それでも、その子は今は自分のれっきとした娘だから。 娘を一人前に育てあげて、幸せに見送る。
自分に託された使命は、この一つ。 そう、心の中で改めて誓う。 愛繋、少し遅れるけど必ず会いに行くから待っててくれ。
──────愛繋、愛してる。