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今日は日曜日だ。

零斗が縁側で飼い猫の相手をしていると

パタパタとこちらに近づいてくる足音が聞こえてきた。

舎弟

お嬢!お嬢!

三隅 零斗

おいコラ!
走んなって毎回言ってんだろうが!

舎弟

あ、すみません!
それよりお嬢!
獅子黄組の若頭見ました!?

三隅 零斗

獅子黄組の若頭?

舎弟2

めっちゃイケメンなんすよ!

舎弟3

どうしよ!俺、タイプゥ〜!

舎弟達がキャッキャッと話している。

三隅 零斗

きっしょ!
同性でタイプもクソもねぇだろ!

舎弟

あ!お嬢!
その発言!今の世の中では古いですよ!

三隅 零斗

あ?!

舎弟2

そーそー!
今は多様性の時代なんすから!

舎弟3

同性恋愛なんてちらほら居ますって!

三隅 零斗

知らねぇよ!
てか油打ってないで仕事しろ!仕事!

ギャンギャンと言い合いをしている。

そして、しばらくして

零斗は零治に呼ばれ、居間へ来る。

零斗は『入るぞ』と言い、居間の障子を開ける。

三隅 零治

お、来たか。
お前に紹介したい人がいる。
こちらは、

???

あ、

零治が零斗にある男を紹介しようとすると、

その男が口を開いた。

零斗はその男へと視線を移し、目を見開く。

それは昨日、塀の裏で見た"変なやつ"。

白い髪に赤と紫のオッドアイで時々現れる長身の男だった。

その男は龍我の隣で正座している。

三隅 零斗

あ、昨日の変な奴。

獅子黄 龍哉(たつや)

俺の名前は"変なやつ"やない。
獅子黄組 若頭、
獅子黄 龍哉や。

獅子黄 龍哉(たつや) 23歳 獅子黄組 若頭 兼 龍我の孫

長身の男は、自分の名を名乗る。

零斗は零治の隣に正座する。

三隅 零斗

あれ?
獅子黄?
ジジイと同じ苗字って事はジジイの息子?

獅子黄 組長

ちゃうちゃう。
こいつはなぁ、ワシの孫や。

龍我は可笑しそうに笑いながら言う。

三隅 零斗

へ〜、孫なんか居たんだな。

獅子黄 組長

なんや、覚えてないんか?
自分ガキん時、遊んでたんやで?

龍我は"まじか"と言うように言う。

三隅 零斗

え?おぼえてないんだけど

獅子黄 組長

まぁ、そうやろうな。
最後に会うたんは、もう13年も前やしなぁ。

龍我はそう言うと零斗と零治の後ろにある仏壇へ視線を移す。

三隅 零治

……瑞稀の葬式以来か…

零治は顔に影を落とし、その場の空気が重くなる。

だが、その空気を壊したのは零斗だった。

三隅 零斗

なんて顔してんだよ!
おもしくねぇぞ!
ほら、この話やめようぜ?

零斗は明るく笑顔で言う。

零治は驚いたように目を見開く。

そんな零斗を感心したように龍我は見ている。

獅子黄 組長

零斗は頼もしいのお

三隅 零斗

親父がこんなだからシャーねぇだろ。

零斗は冗談を含めた笑みで言う。

三隅 零治

"こんな"って…

零治はガァーンとショックを受けている。

三隅 零斗

んじゃ、話し終わったんなら俺、部屋に戻るわ。

零斗は障子を開け、廊下へ出ようとする。

そこには…

三隅 零斗

、、、お前ら、何してんだ。

そこには先程、龍哉をイケメンだとベタ褒めしていた舎弟達が盗み聞きしていた。

舎弟

あ、いやぁ、
偶然通りかかったと言うか…
ハハハ…

舎弟2

別に盗み聞きしようなんて思ってた訳じゃなくて…
だよな?!

舎弟3

え!?あ、はい!
あはは…

『『『すんませんでしたァァ』』』

3人は居てもたってもいられず走り去って行く。

その姿を零斗は呆れたように見ていた。

そして、居間にいる3人に

『じゃ』と言い居間を出ていく。

そんな零斗の背中を零治は心配そうに見つめ、

龍哉も黙って見つめていた。

零斗は部屋に戻り、閉めたドヤにもたれ掛かり、顔に影を落としている。

三隅 零斗

……グスッ…

零斗はゆっくりとその場に腰を下ろし、静かに涙を流す。

そっと顔を上げ、棚の写真立てを見る。

すると、いつもは見ると泣いてしまうため、伏せている母の写真が何故か今日は立てられていた。

三隅 零斗

…なんで…母さんの写真。

驚き、呟いていると、ドアをノックされる音が聞こえた。

三隅 零斗

…?

梅津 亮(あきら)

零斗、居るか?

三隅 零斗

亮さん…?

零斗はドアをそっと開ける。

梅津 亮(あきら)

お、居た。
今からモール行くけど行くか?

三隅 零斗

モール?

梅津 亮(あきら)

おう、真弥も連れて3人でな。

亮がそう言うと亮の横から真弥が現れる

平井 真弥

零斗さん、昨日はすみません…

三隅 零斗

え、あ〜別にあんま気にしてないし。
俺も強く言いすぎたし、お互い様だろ。

梅津 亮(あきら)

んで?行くのか?行かねぇのか、はっきりしろ。

三隅 零斗

行くからちょっと待って、準備する。

そう言うと零斗は斜めがけのウエストポーチに財布などの貴重品を入れ、

そっと、母の写真立てを伏せる。

最後の光景を目にした亮は心配そうに零斗を見つめる。

屋敷を出て、門まで足を進めている。

すると、後ろから声がかけられる。

獅子黄 組長

どっか出かけるんか?

梅津 亮(あきら)

あ、獅子黄のおヤッさん。
モールにちょっと。

獅子黄 組長

ほぉ〜か。
気ぃつけるんやで?
半グレとか色んなん居てるからなぁ。

梅津 亮(あきら)

ご心配感謝します。
では。

獅子黄 組長

せや、ちょいまちや。
零斗、真弥、小遣いや。
大事に使うんやで?

龍我は懐から1万円を出し、2人に1枚ずつ渡す。

平井 真弥

あの…
さすがに頂けません。

真弥は返そうとする。

獅子黄 組長

ええねん、ええねん。
零斗なんか見てみぃ。
顔に『ラッキー!』って書いてんで?

龍我はゲラゲラと笑う。

三隅 零斗

こ、こっち見んなし!

零斗は気まずそうに顔を隠す。

梅津 亮(あきら)

はぁ〜…
お前は礼くらい言えよ。

三隅 零斗

あ…そーだった。
…ありがとうございます。

零斗は気まずそうにペコりと頭を下げる。

獅子黄 組長

お〜、ちゃんと礼が言えて偉いのぉ。

龍我はわしゃわしゃと零斗の頭を撫でる。

三隅 零斗

ガキ扱いすんな!

満更でも無さそうだが、素直になれず怒鳴る。

梅津 亮(あきら)

おいコラ、零斗…
口が悪ぃ

零斗の後ろから亮の圧が感じる。

三隅 零斗

(や、やべっ…)

零斗は冷や汗をかく。

獅子黄 組長

ハハハッ!
子供は生意気な方がええもんや。
お前もガキん頃はそうやったやろ?

梅津 亮(あきら)

そ、それを言われると何も言えないっすけど…

龍我は終始、ずっと笑っていた。

ショッピングモールまでは、舎弟が送迎し、

あとは3人で行動していた。

梅津 亮(あきら)

最近は忙しくて、
こうやってのんびりする時間も無かったからなぁ。

平井 真弥

そーっすね。
こうやって3人だけで出かけんの、零斗さんが高校上がる前が最後でしたね。

梅津 亮(あきら)

なんか欲しいもんあったら言えよ、零斗。

三隅 零斗

ん〜

零斗は適当に返事をする。

それから3人は色々回っていた。

零斗がチラってスマホを見る。

三隅 零斗

(あれ?来週って亮さんの誕生日じゃん)

梅津 亮(あきら)

2人ともなんか欲しいもんあったか?

亮が2人に尋ねるが2人は首を振る。

梅津 亮(あきら)

お前らなぁ…
少しくらいは欲を持て、欲を。

三隅 零斗

ん〜…
じゃあさ、一旦別行動取ろ。

零斗がそっと提案する。

梅津 亮(あきら)

別行動?

平井 真弥

それは難しいんじゃ…
零斗さんと亮さんに、何かあったら

三隅 零斗

お前、ずっと何かに対して心配してて疲れない?

零斗は呆れたように真弥に言う。

梅津 亮(あきら)

零斗の言う通りだな。
お前もたまには何も考えず自分の時間楽しんでこい。
1時間後に合流すりゃいいだろ。

平井 真弥

でも…

梅津 亮(あきら)

なら、命令にすんぞ?

平井 真弥

わ、わかりました。

真弥は渋々、亮の命令を飲む

梅津 亮(あきら)

じゃあ、2人とも気をつけろよ?
何かあったらすぐ連絡しろ。

そうして3人は別行動を取る。

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