嫌われ上等。

コンコン

ｶﾞﾁｬｯ

部屋は随分と荒れていた。

ポスターや画用紙などが破られ、無残に散らばっていた。

所々に血のようなものも付いている。

ショックだった。

日本をこれ以上苦しめたくないからと、仕事を探さなくていいとまで言い、にゃぽんと俺等で稼いでいた。

なのに、まだこれだけの事をしてしまうほど、苦しんでいるのかと。

今すぐ日本を抱きしめて、何があったのか聞いてやりたい。

でも、むやみに話させて、余計に苦しめたら？

そういう邪魔な思考が俺の体を縛り付けている。

日本の精神状態は、部屋を見ただけでも危ないと分かる。

なのに、動けない。

今すぐにでも抱きしめて背中さすりながら話を聞きたい。

でも、どうも足が竦んで動けない。

お兄ちゃん…どうして苦しんでるの？

大丈夫？

そんな一言すら、出てこない程、体全体…全ての部位が鉛で出来てるかのように重い。

涙がボロボロと溢れ出す。

私はその場にへたり込む。

お兄ちゃんが大変なことになってるのに、大丈夫？とすら声を掛けられない私が余りにも情けなくて、つい大声で泣いてしまった。

何とか立ち上がってお兄ちゃんのもとに向かおうとする。

でもやっぱり足が縺れて動けない。

すぐにその場に倒れ込んでしまった。

恥ずかしい、情けない

そんな感情な津波のようにドッと押し寄せて来た。

ｷﾞｭｯ

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

ﾊﾟﾀﾝ