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じいちゃんのタイムマシーン

51 - 第五十一話:展望台の二人

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8

2022年06月11日

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丈太郎

はい

そう言って差し出された手を

愛紗

はい

私はそっと握り返した

ゆっくりと歩きながら

そこでも思い出、話に花が咲き

私は思いきって片想いしていたことを打ち明けた

愛紗

私ね……

愛紗

三年の時、中崎君が好きだったの

愛紗

修学旅行の時に助けてくれたでしょ?

愛紗

あの時から……

丈太郎

え?そうだったの?

丈太郎

言ってくれたら付き合ったのに

愛紗

え!?

愛紗

そ、そうなの!?

丈太郎

うん

愛紗

私のことなんて眼中にないと思ってた……

丈太郎

そんなことないよ

中崎君の言葉に驚いて

心臓が止まるかと思った

片想いしていたあの頃

中崎君に話しかけることができず

いつも遠くから見ていることしかできなかった

元彼の妨害があったからでもあるけど

そんなの無視して声をかければ良かったのかもしれない

内海

千堂

内海

お前、丈太郎のこと好きなんだろ?

愛紗

え!?

同じ野球部の内海君に突然、声をかけられ

最初は凄く驚いたけど

内海

俺さ……

内海

この前、井ノ原さんに告った

愛紗

え!?

内海

フラれたけど……

愛紗

そうなんだ……

内海

結果はダメだったけど俺はぶつかったから

内海

お前も頑張れよ!

愛紗

内海君……

内海君は私のことを心配して励ましてくれた

私がまだ元彼と付き合っていた頃には

数名の男子が元彼を注意したことがあり

内海

彼女いんのに後輩女子に手、出してんじゃねーよ!

内海君はそう言って元彼を注意してくれた

元彼A

別にいいだろ?

それでも言い訳を並べて反省の色を見せない元彼に

キレた内海君が元彼につかみかかる事件が起きたこともあった

その現場には中崎君もいて

他の男子と共に元彼に殴りかかった内海君を止めたらしい

丈太郎

あー

丈太郎

そんなこともあったなぁ

愛紗

大変だったみたいだね……

丈太郎

まぁね

愛紗

待ってろって言われてただ待たされて

愛紗

何が何だかわからなかったけど……

一緒にいるだけで幸せな気持ちになる

まだ再会したばかりで付き合ってもいないのに

こんな風に手を繋いで展望台への道を歩く

展望台では後ろから

私のことを包むようにぎゅっと抱きしめてくれた

丈太郎

景色、綺麗だね

愛紗

う、うん……

愛紗

(息がかかる……)

本当に夢のような時間だった

もう帰らなきゃいけない時間になっても

愛紗

(帰りたくないな……)

愛紗

(もっと一緒にいたい……)

そんな風に思ってしまった

でも中崎君は遠いからわがままも言えないし

ちょっと寂しいけど

今日はここで別れなければ

丈太郎

ここでいいの?

愛紗

うん

丈太郎

家の近くまで送ろうか?

愛紗

ここでいいよ

愛紗

今日はありがとう

丈太郎

いえいえ

丈太郎

こちらこそ

丈太郎

じゃあ

丈太郎

また連絡する

愛紗

うん

中崎君の車が見えなくなって

一人になった途端に

恭也さんとのことが頭に浮かんだ

恭也さんは免許を持っていなかったから

デートはいつもバスや電車で

帰りはいつも最寄りの駅まで送ってくれたけど

時間帯によっては満員の電車に乗ることもあって

そうなるとろくに会話もできなくなり

慌ただしく降りて改札の前で少し話すだけ

今日は二人だけの空間で直ぐ隣に中崎君がいて

話したくてもできなくて

遠くから見ていたあの頃とは違う

大好きだった中崎君とあんなにも近くで……

本当に夢のような時間だった

愛紗

ただいま~

ギュィィィィィィン!!

もうすっかり聞き慣れた機械音

今はもう

この音を心地よいと感じるまでになった

だってこれは

明日夢が会いに来る合図だから

明日夢

母ちゃん……

でも今日の明日夢は少し不安そうで

いつもと違う雰囲気が漂っていた

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