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物心着いた時には、もう白の部屋にいた

白衣の男達がこちらを見て話している様子だったので

不思議と自分はそうである、という事を自覚した。

とにかく目の前にいる物を観察した

あるいは恐れを成して逃げ

あるいは焦った様子で無線で連絡をしていた

鏡は無かったけれど

自分は恐れられる物だと自覚した

唯一与えられるものといったら

腕に刺さったチューブからの栄養と 水のみだった。

研究者達が涼し気な格好になっていっている辺りの時期だった

観客は増すばかり その中でも目立つのがいた

茶髪で軍服の、比較的背が低い女

名はユダだった。

そのユダとやらは積極的に自分を 見に来ていた。

ユダはどれ程観察しようと動じない

おもしろかった。

研究者達が長袖を着始めた頃

初めて部屋の外に出た

………

ユダ

会えて嬉しいよ。

……ぁ…゙れ、は……

喉からの水分なんか碌に取らなかったから、掠れて声が出なかった。

ユダ

……喉が枯れてしまったのか

ユダ

質問に答えねばな……

ユダ

…あれは、仕方の無い事だ。

後から調べてわかったことだけど

肉塊になった人々は皆

アコが引き取られる事に賛成しなかった人々だったらしい。

ッ…!あ゙あぁ゙!!!

脳に直接届く何かが

酷く頭を錯乱させた

目の前は弾け

手足先は痺れて

いくらもがけど

革のベルトは実験台へ

括り付けるのみだった

ユダ

……

ユダ

器の人工生成…

ユダ

所詮は夢物語だったのか…?

ユダ

いや、そんなはずは……

ユダ

何よりもこの子が可能性が高いのに

ユダ

おかしい…おかしい

ユダが企んでいた事は

器の人工生成

魔法が使える人々は自然に発生する物で

器の強化条件も不明

考えられはしたものの

人工生成に手を出そうとする者は

そうそういなかった

毎日毎日実験三昧

多分、何回かは死んだ。

それを 何度も繰り返していた気がする

そして気付けば

器の代わりか

何もかもを超越する頭脳を手にした

ただ、代償は大きく

ホルモンバランスの乱れによる

身体の急成長

情緒も不安定

ユダ

……違う、こうじゃないんだ

……じゃあ

どうだったら良かったの?

ユダ

…………

情緒が乱れたのは

ユダもそうだった

気付けば左の二の腕から下が

無くなっていた

耳がキーンとして

喉が焼け付くように痛い

ああ、切られたんだ それで、叫んだんだ

と察した

ユダ

……私はまだ、人間の
ままだ…

ここだけはクッキリと

記憶に残っている

雅 太夫

……川に全てを流してくれ

雅 太夫

とユダ様から言い預かっております

……は

雅 太夫

んー、多分ですけど
貴方の存在、都合悪くなったんで!

雅 太夫

要らない子は…

雅 太夫

……早く落ちちゃいましょ?

………

言葉が無くなった

頭が真っ白になった

刀の切っ先を、突きつけられた

どっちにしろ、死ぬ

じゃあ殺されるよりは…

柵に手をかけた時

……

お前ら何してる?

雅 太夫

あーあ、クズクズしてるから

雅 太夫

雅が落としてあげた方が早かったですね

質問に答えろ。ウチのシマで何してる?

雅 太夫

銃の口向けないでくださいよ、怖いなぁ

人に武器向けるやつは向けられる覚悟も必要って習わなかったか?

雅 太夫

習いませんでした、でも必要ないです

雅 太夫

今から居なくなるから。

切っ先が視界から消えて

刀ごと女が川に落ちるのを見た

その時余計に頭がクラクラして

地面が近付いてきた。

ッ…と、大丈夫、か?

……あぁ

うん、平気

…ん、とりあえずは、良かった

ミコ

あたしはミコ…お前は?

……名前、名前か

…無いから、決めていいよ

ミコ

は?いや…ネーミングセンスとか無いし…

なんでもいいよ。気にしない

ミコ

………

ミコ

じゃあアコト、アコトは?

アコト

……うん

アコト

アコト、いいね。

アコト

今日からアコトだ。

ミコ

…よかった

第11話 『プレゼント』 アコト過去回です! 個人的に雅がカスすぎて好きです 119タップおつれか!

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