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夕日を指すお前を見つめて。

第2話 - 第2話

2025年12月04日

#恋愛

#青春恋愛

#恋愛同級生

#ツンデレ男子

#ツンデレ

姫川苺🍓

海晴

...なぁ、お前は..彼氏とかい
んの？

実玖

え？彼氏...？

海晴

(顔を赤らめながら慌てて前を向く。)あ、いや....ただ気になっただけだよ。いるなら....まあ、別にいいけど。

実玖

彼氏はできたことないかな。

海晴

(その言葉に、思わず顔を輝かせてしまいそうになり、必死に平静を装う。)へえ...意外だな。お前みたいな奴なら、もっと早く彼氏できてるもんかと思った。

海晴

(内心では「じゃあ今ならチャンスあるんじゃねーの？」なんて下心が湧いてくるが、それを必死で押し殺す。)

実玖

海晴くんは？彼女とか居たりするの？

海晴

(俺の心臓が、びくっと大きく跳ねる。）...いねえよ。興味なかったからな。

海晴

(俺は今まで一度も彼女ができたことがない。告白は何回かされたことあるけど全部断った。だって、好きな奴がいたから。その好きな奴は....今、俺のすぐ隣にいる。)

実玖

意外だね.......！かっこいいのに。

海晴

(褒められて、一瞬で顔が熱くなるのを感じる。なんだよ、「かっこいい」なんて....そんなこと言われたら、勘違いしちまうだろ。)な、なんだよそれ....別に、興味なかっただけだし。

海晴

(照れくさくて、ついぶっきらぼうな言い方になってしまう。くそ...もっと自然に話せよ、俺.....！)

実玖

そっか。（実玖は笑う)

海晴

(お前の笑顔に、俺の心が軽くなる。同時に、もっとお前のことが知りたくなる。)なんで彼氏作んないんだ？告白とか、されんだろ？

実玖

え......？されないよ。

海晴

(マジで？こいつ、こんなに可愛いのに...なんで？）は？嘘つけ。絶対されるだろ。

実玖

全然されないよ。

海晴

マジかよ？なんか、意外だな。（お前がモテない理由が全く理解できない。）

海晴

(お前がモテない理由を考えてみる。まず、優しくて、バカで、ちょっと子供っぽいところとか....。うん、全部俺得だわ。むしろ好都合じゃないか。俺以外の奴らがこいつの魅力に気づいてないってことだろ。)

海晴

別に、彼氏できなくてもいいんじゃねーの？一人の方が楽だし。(実際は全然思ってない。お前には俺以外の奴と付き合ってほしくないし、ずっと俺の側にいてほしい。)

実玖

うーん。1人も悪くないかもね。

海晴

(その答えに、心の中でガッツポーズを取る。そうだ、それでいい。俺以外なんて考える必要ないんだ。)...だろ？だから、その...別に焦んなくてもいいってことだ。(少し間を置いてから、ちらっとお前の顔色を窺う。こいつ、今どんなこと考えてるんだろう。)

実玖

あ！見て、可愛い！(実玖は飛んできた蝶を指差す)

海晴

(お前が子供みたいにはしゃいでいる姿に、思わず頬が緩む。蝶一つでそんなにはしゃぐのかよ、と思うと同時に、その無邪気さに庇護欲がくすぐられる。).....何が可愛いんだよ、ただの虫だろ。

実玖

(実玖は蝶を見てはしゃぐ)

海晴

(お前の姿に見とれて、ついぼーっとしてしまう。腰まである少しウェーブがかかった黒髪ロングとスケバンかよってくらい長い制服のスカートが風に揺れて、まるでお姫様みたいに見える。)

海晴

あー、とにかく、そういうのが問題なんだよ。なんかこう、周りの目を引くんだよな。自覚しろよ、バカ。

実玖

え？

海晴

あー、もう。だから！その....なんつーか...！可愛いもん着てるから、男子も勘違いすんだろってことだよ！もういいから、これ以上俺に言わせんな！(早口でまくし立て、ぷいっと顔を背ける。耳まで真っ赤になっているのを見られたくなくて、必死にポケットから飴を取り出して口に放り込む。)

実玖

私もその飴欲しい.....！

海晴

(俺はハッとしてお前を見る。さっきまでの慌てぶりが嘘のように、急に冷静になってしまった。飴を口に含んだまま、じっとお前の顔を見つめる。).....は？お前も食いたいのか？

実玖

(実玖は頷く)

海晴

(俺はお前に飴を渡すために包み紙を剥がす。手が触れそうで触れない、そんな微妙な距離で、俺の指先が少しだけ震える。近くで見ると、お前の瞳は深い夜空みたいに怖いくらい綺麗だった。)

海晴

ほら、これ。一つだけだぞ。もうなくなったら知らねーからな。

実玖

(実玖は喜ぶ)

海晴

(お前が喜ぶと、なぜか俺まで嬉しくなる。飴一つでこんなに喜ばれるなんて、ちょっとしたことなのに胸がドキッとする。)...そんなに喜ぶことかよ？(照れ隠しで髪をくしゃっと触りながら、視線を泳がせる。お前の笑顔が眩しすぎて、直視できない。)

2人は橋を歩きながら夕日を眺める。

海晴

(お前が橋の上で立ち止まり、夕日を眺めているのに気づく。夕日に照らされたお前の横顔は、いつもより儚く見えて、思わず息を呑
む。)なんだよ。急に立ち止まって。危ないだろ。

実玖

(実玖は夕日を指さす)綺麗...。

海晴

(お前が指さす方向を見る。夕焼けの空がビル群の間から覗き、雲の切れ間がオレンジ色に染まっている。都会の喧騒の中で、この光景だけが切り取られたように静かだ。)

海晴

ああ、そうだな。(短く答えながら、ちらりとお前を盗み見る。お前の横顔があまりにも印象的で、心臓が一度、大きく跳ねる音が聞こえそうなほど緊張する。この瞬間をどう表現すればいいかわからず、ただ、お前と一緒にこの景色を見られて良かったと思う。)

海晴

夕日。お前、こういうの好きだったよな。

実玖

夕日とか、都会の夜の景色とか好きなんだよね。

海晴

俺も、最近よく思う。夜の街の光とか。

実玖

めっちゃわかる！綺麗！

海晴

(お前の素直な反応に、思わず口元が緩むのを必死に堪える。気付かれないように、わざと少しぶっきらぼうな口調で続けた。)...だろ？だから、まあ...今度、時間があるときにでも。高台とか行けば、ちょっとは見れるんじゃねぇの。

実玖

たしかに！

海晴

(その言葉に、なんとなく気分が良くなる。ここは一応都会だ。夜の景色だって、探せば綺麗なところはいくらでもあるはずだ。)...じゃあ、決まりな。忘れんなよ。

海晴

(そう言いながら、ふと気づく。今、俺はこいつと夜に会う約束をしているということに。思わず顔が熱くなって、慌てて顔をそむけ
た。)

次の日の放課後。

海晴

おい、お前。昨日言ってた、夜景見に行く話だけど。

実玖

もちろん...！覚えてるよ。高台に行くんだよね？

海晴

行くなら早くしろよ。置いてくぞ。(そう言いながらも、内心ではお前との夜の時間に期待を隠せない。)

日が完全に沈み、空が紫から群青へと変わっていく。街の明かりが次第に増えていくのが見える。海晴と実玖は黙ったまま、ただ歩き続ける。

高台に到着すると、海晴はフェンスに寄りかかり、夜景を眺める。

海晴

意外と人がいるもんだな。

実玖

夜景、綺麗だね。

海晴

(お前が夜景に夢中になっているのを横目で確認し、そっと息をつく。さっきから、心が落ち着かない。うるさいくらいに鳴る鼓動を無視しようと、必死に平静を装う。)...なんだよ。そんなに珍しいもんでもねえだろ。ここから見る景色なんて、何度も見てるだろ、お前。

実玖

そうだけど、ずっと見ていたくなる。

海晴

...は？バカじゃねぇの。んなもん、ずっと見てて何がいいんだよ。(そう言いながらも、視線はお前に釘付けになっている。お前がこの景色のように、俺の心を奪っていく。そんな考えが浮かんで、頭の中が真っ白になった。)

実玖

今度、花火大会があるんだって。冬にやるとか珍しいよね。

海晴

(お前の呟きが耳に届き、ぴくりと肩が揺れる。冬の花火大会、という響きに、思わず心が躍るのを感じた。
しかし、それを素直に表現する術を持ち合わせていない俺は、ただ不機嫌そうに口を尖らせるだけだ。)...ああ？冬に花火とか、寒いだけだろ。そんなの行く奴なんて変わってるんじゃねえの。

海晴

(本当は、一緒に行きたい。お前と二人で、賑やかな会場を歩き回って、子供みたいにはしゃぐお前の姿を見たい。でも、口に出せない俺は、夜景を睨みつけたまま、そっぽを向いた。)

実玖

私は行こうかなって考えてる。

海晴

は？お前...誰と行くんだよ？
(声が震えているのが自分でもわかる。こんなことを聞くなんて、完全に変態じゃん、と思いながらも、どうしても聞かずにはいられなかった。)

実玖

あ、まだ行く人は決まってないよ。

海晴

だったら、別に花火なんか見なくたって、家でゲームでもしてた方が楽しいんじゃねえの。(そう言いながらも、内心では「俺と行け」と言いたい気持ちがぐるぐると渦巻いている。でも、その言葉を口に出す勇気は、まだ出てこなかった。)

実玖

そうかなあ。でも見に行きたいな。

海晴

(お前のその言葉に、俺は唇を噛みしめる。言いたいことは山ほどあるのに、喉まで出かかっていても、最後の一歩がどうしても踏み出せない。).......じゃあ、俺が...俺が連れてってやるよ。

海晴

(耳が真っ赤になるのが自分でもわかる。くそ、こんなに顔が熱くなるなんて、まるで病気だ。俺は慌てて顔をそむけ、早口でまくし立てる。)や、だから....！お前、行く人いねーんだろ！だったら俺が...その....連れてってやるって言ってんだよ！感謝しろよ、このバカ！

実玖

連れてってくれるの？

海晴

(再びお前を見つめると、さっきとは違う種類の恥ずかしさが込み上げてくる。俺はそれを誤魔化すように、わざとぶっきらぼうに言い放った。)別にお前と行きたいわけじゃないけど...ただ、誰もいないなら俺が仕方なく連れてってやるだけだからな！勘違いすんなよ！

実玖

(笑いながら)楽しみだね。

海晴

(お前が笑うと、俺の心臓が馬鹿みたいに跳ねる。それが嬉しい気持ちなのか、それとも単なる照れくささなのか、自分でもよくわからなかった。).....まあ、楽しみにしてろよ。俺が最高の場所取りしてやるから。

海晴

(そっぽを向きながら言ったその言葉は、自分で言っていて恥ずかしくなる。なんだよ「最高の場所取り」なんて、キザすぎるだろ。俺は頭を掻きながら、小さな声で付け加える。).....別に、お前のためにやるんだからな。勘違いすんなよ。

実玖

うん！

海晴

(お前の素直な反応に、胸の奥がずきりと痛む。こんなにも簡単に俺を信じてくれるなんて、不意打ちにも程があるだろ。).....じゃあ、その日忘れんなよ。

夕日を指すお前を見つめて。

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