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不意に、頭の上に冷たいものが 落ちてきたような感覚がした。

普久原 結和

ん?

思わず顔を上へ向けると、 今度は頬に水の粒が落ちてきた。

普久原 結和

わぁ、雨だ

雨は結構好きだ。

清々しさを感じられるから。

だからかな。

あたしは傘を忘れても あまり気にしない。

むしろテンションが上がって スキップしちゃう。

でもまあ、そんな悠長なことを 思っている場合じゃなかった。

雨足がどんどん強く なってきたから。

さすがにちょっとチクチクするな。

急がないと。

??

結和!

駆け出そうとした瞬間、 後ろの方から名前を呼ばれた。

振り返ってみると、 遠くの方に誰かいる。

普久原 結和

えっ、誰?

とりあえずその誰かの方へ 走って行ってみる。

すると正体が明らかになった。

普久原 結和

あっ、恵夢じゃん

普久原 結和

やっほー

富士見 恵夢

何が「やっほー」
なんだい

富士見 恵夢

ずぶ濡れじゃないか

普久原 結和

えへへ、
ちょっと想定外で

富士見 恵夢

仕方ないね

富士見 恵夢

ほらこれ使って

恵夢は自分の持っていた傘を 差し出してきた。

普久原 結和

ちょっと、それじゃ
恵夢も濡れちゃうじゃん

富士見 恵夢

僕は平気だけど、
触覚に優れている君に
この雨は痛いだろ?

普久原 結和

それはまぁ、
否定しないけど

富士見 恵夢

だったらこの傘は
君が使うべきだ

恵夢は傘の持ち手を強引に あたしの手に握らせると、 そのまま走って行ってしまった。

普久原 結和

大丈夫かな?

なんとなく心配になったあたしは 彼のあとを追いかけることにした。

普久原 結和

恵夢っ!

富士見 恵夢

なっ、なんで
追いかけて
くるんだい!?

普久原 結和

だって心配
なんだもん!

富士見 恵夢

いやいや僕に構わず
ゆっくり歩いて
帰りなよ!

普久原 結和

そういうわけには
いかないって!

叫びながら走り続けること数分、 気づくと恵夢とあたしは シェアハウスに帰り着いていた。

富士見 恵夢

ただいま

普久原 結和

誰かいるー?

玄関から呼びかけてみる。

溝下 幸治

ああ、おかえり
――って、おまえ達
どうした!?

真っ先にやって来たのは 幸治だった。

ここで聴覚の鋭い瑞幹じゃない のはなんだか珍しい。

あたし達の姿を見て驚いている 幸治に恵夢が言う。

富士見 恵夢

ちょっと雨に
降られたんだ

富士見 恵夢

とりあえず結和の分の
タオルをお願い
出来るかな?

溝下 幸治

タオルな

溝下 幸治

わかった

少しして幸治はタオルを 二枚持ってきた。

富士見 恵夢

僕の分は頼んで
いないんだけど

溝下 幸治

どっちにしろ
濡れてるんだから
ある程度拭かないと
だめだろ

富士見 恵夢

それは……
まあそうか

受け取ったタオルで 濡れていた頭を拭く。

やっぱり冴弥花が洗濯した タオルは肌触りが良い。

溝下 幸治

ある程度拭けたら
濡れた服着替えて
ダイニングキッチンへ
来い

溝下 幸治

お茶用意してやるから

幸治が居なくなった後、 あたしより先に拭き終えた 恵夢が言う。

富士見 恵夢

僕はちょっとやること
があるからこれで

富士見 恵夢

お茶は後で貰うと
幸治に伝えてくれ

早歩きで廊下を進んでいく彼を 見送りながら、首を傾げる。

普久原 結和

……どういうこと?

やることってなんだろう。

こういう時環那だったら 何かわかったかもしれないなぁ。

そんなことを思いながら髪などを 拭き、自室へと急いだ。

普久原 結和

着替えて来たよ

溝下 幸治

結和か

溝下 幸治

恵夢は?

普久原 結和

なんかやることがある
って言ってた

それを聞いた幸治は急に叫んだ。

溝下 幸治

あいつさては
風呂掃除してるな!?

普久原 結和

お風呂掃除?

普久原 結和

なんで?

溝下 幸治

たぶん――

富士見 恵夢

もう終わってるよ

富士見 恵夢

今湯だめしてる

幸治の言葉を遮るように 恵夢が言った。

いつの間にか入ってきて いたらしい。

溝下 幸治

おまえな……

富士見 恵夢

結和、お茶を飲んだら
入ってくるといいよ

普久原 結和

あたし?

富士見 恵夢

君の方が確実に身体を
冷やしているからね

普久原 結和

あっ、
そういうこと!

そうか。

恵夢はあたしを気遣って、 早めにお風呂に入れるように してくれてたんだ。

ようやくわかった。

溝下 幸治

だが、だからって
自分を蔑ろにして
いい理由には
ならないからな?

富士見 恵夢

うっ……次からは
気をつけるよ

呆れ顔の幸治と 苦い顔をしている恵夢。

あたしは思わず慌ててしまう。

普久原 結和

あっ、えっと、
二人共ごめんねっ!

富士見 恵夢

何故君が謝るんだい

溝下 幸治

結和は悪くないだろ

ほぼ同時に言われてしまい、 あたしはますます困ってしまった。

感覚達の共同生活

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