母さん
帰って!!!
母さん
冷やかしなら
帰ってください!!!
帰ってください!!!
ついさっき母にぶたれた頬を さすりながら
駅までの道を俺は歩いていた
悠真
母さんに殴られたのなんて
悠真
はじめてだなぁ…
生まれてこの方
俺は両親からぶたれたことなんて 1度もない
母からなんて怒られたことすら なかったくらいだ
こうして自分のことでぶたれたことで
俺は改めて母からの愛を実感した
と同時に胸の奥に どうしようもないくらいおおきな
切なさを抱いた
悠真
はぁ…
と
前からJKが歩いてきた
悠真
(そうか)
悠真
(ちょうど下校時間くらいか)
悠真
…ん?
前から見覚えのあるシルエットが
夕日が逆光になっていえ見づらいが
あれは…
悠真
みのり!!!!!
悠真
…あ
やべ
つい反射で
俺の事なんてわかるわけないのに…
みのり
…?
案の定、妹は 怪訝そうな顔を俺に向けてきた
が
みのり
お…兄ちゃん?
悠真
…え?
今お兄ちゃんって言ったよね?
みのり
…あ
みのり
すいません
人違いだったみたいです
人違いだったみたいです
悠真
あぁ…はい
悠真
こちらこそすいません…
まぁそうなるよね
逆光で表情がしっかりと 見えてなかったが
すれ違った時見たみのりの顔は
とてもやつれており
目の下にはクマがあった
そういえば
さっき名前呼んだのにそれを 疑問に思わなかった
それほど 精神をやられてるってことだろうか
これも俺が…
死んだせい…だろうか
本当に俺は死んだのか…?
悠真
…まあいいや
悠真
帰ろう…
悠真
…ただいま
俺が帰った頃には
時刻はもう19時を回っていた
ケバ母ちゃん
…遅かったじゃない
ケバ母ちゃん
何をしてたの?
悠真
…すいません
悠真
ちょっと1人にして貰えませんか
そう言って俺は
ギャーギャーわめく ケバ母ちゃんの横を通り
俺の部屋に戻った
悠真
…相変わらず汚ねぇ布団だなぁ
そう呟きながらも
俺は雑巾みたいな布団に寝そべった
俺は死んだ事になっており
気づいたらこの竹下悠真になっていた
信じたくはないが
悠真
…でも
俺が死んだということになっていれば
辻褄は色々合う
自分自身が死んだ時の記憶が無いのはよくわからないが
悠真
なんで俺は死んだんだろ…
悠真
ふわぁ…
でっかい欠伸がでた
考えつかれた
ひとまず…寝よう…