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柘榴とAI

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白波 灯
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#鬱展開
Mist-404
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ハル
都心部を駆けるスーパーカブの荷台で、ハルは誰に言うでもなく呟いた。
彼の右手は、走行中にもかかわらずハンドルから離れている。
指先が触れているのは、本来なら走行風でバタつくはずの配達用ジャケット。
ハルの能力「摩擦係数ゼロ(スリック・サーフェス)」によって風の抵抗を完全に受け流したジャケットは、まるで真夜中にいるかのように静止していた。
メイ
インカムから聞こえるのは、相棒のメイの声だ。
ハル
メイ
メイ
ハルはアクセルを回した。
その時、交差点の中央で「それ」が起きた。
轟音。
アスファルトが捲れ上がり、巨大な鉄柱が空から降り注ぐ。
直撃を免れたハルが急ブレーキをかけると、噴煙の中から、真っ赤なスーツに身を包んだ男がゆっくりと浮上してきた。
???
男の手のひらからは陽炎が立ち上がっている。
かつて世界を震撼させた特級能力—— 「熱膨張(サーマル・エクスパンション)」。
彼は大気中の分子を急激に膨張させ、爆発と物理的圧力を自在に操る「選ばれた」ヴィランだった。
ハル
ハルはカブを降り、ヘルメットを脱いだ。
足が震えている。
ハル
メイ
ハル
ヴィランが指先を向ける。
ヴィラン
爆風が放たれた。
コンクリートの壁を粉砕するほどの圧力。
だが、ハルは逃げなかった。
彼は路面にしゃがみ込み、両手をアスファルトについた。
ハル
半径50センチ。
ハルを中心とした地面の摩擦が、完全に「消失」した。
放たれた爆風の「圧力」は、ハルの体を押し潰すはずだったが—— 摩擦を失ったハルの体は、圧力のベクトルに沿って路面を氷上のカーリングのように滑り抜けた。
ヴィラン
ヴィランが目を見開く。
ハル
メイ
メイの地味な能力が、街のインフラという「回路」を伝う。
ハルは滑りながら、ヴィランの足元を通り抜ける瞬間にその靴底に触れた。
ハル
ヴィラン
ハル
ハル
ヴィランが次の爆発を起こそうとした瞬間、彼の足は氷に乗ったように横滑りした。
姿勢が崩れ、爆風はあらぬ方向——空へと逸れる。
その隙に、メイが送った静電気によってオーバーロードした貯水タンクが破裂。
大量の水が交差点に流れ込む。
ヴィラン
激昂するヴィラン。
だが、ハルは不敵に笑い、水浸しの路面に再び手を触れた。
ハル
ヴィランは一歩も動けなくなった。
わずかな筋肉の動きさえもが、摩擦のない水膜によって過剰な滑りとなり、彼は生まれたての子鹿のように無様に転倒し、自分の爆風の余波で後方へと吹っ飛んでいった。
ハル
メイ
ハル
ハル
路面に残されたのは、天才能力者が一度も指一本触れられなかった、ただの「配達員」のタイヤ痕だけだった。
コメント
1件
わあ、めちゃくちゃアガる第1話でした!「摩擦係数ゼロ」って一見地味だけど、ハルの使い方がめっちゃスマートでかっこいい。特にヴィランの足元で摩擦を消して「作用反動」を崩す発想、痺れましたね。メイとの連携も、静電気をインフラに流して水を操るところが本当に鮮やかで…「配達員」に徹するスタイル、好きです。次の配達も応援したくなりました🌷