TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

カタリナ

ええっと……どこに行くの?

カタリナは莉犬に手を引かれながら城の外へと足を踏み出していた。

莉犬

うーん、それは着いてからのお楽しみ!

莉犬は振り返りながら悪戯っぽく笑う。その表情は明るくて無邪気だが、どこか寂しさを隠しているようにも見えた。

なんだか……莉犬君、無理して笑っているような気がする

カタリナはふとそんなことを思ったが、深く考えずに彼についていくことにした。

2人が辿り着いたのは、静かな湖のほとりだった。

カタリナ

うわぁ……!

カタリナは思わず声を上げた。水面は透き通るように美しく、陽の光を反射してキラキラと輝いている。湖の周りには色とりどりの花が咲き、穏やかな風が吹いていた。

カタリナ

ここ、すごく綺麗……!

莉犬

でしょ?

莉犬は得意げに笑いながら、湖のほとりに腰をおろした。カタリナも隣に座る。

莉犬

実はね、ここ……俺の秘密の場所なんだ

カタリナ

えっ、秘密の場所?

莉犬

うん。小さい頃、よくここに来てたんだ。でも、兄さんには言ってない

カタリナ

……ななもり君に?

莉犬は少しだけ表情を曇らせた。

莉犬

俺さ……ずっと、兄さんのことが好きだったんだよ

カタリナ

えっ?

突然の言葉にカタリナは驚いた。

莉犬

もちろん、家族としてね。でも、兄さんは王国の第一王子で俺は第二王子。昔から俺は”王族らしく”って言われて育った。ちゃんとしなきゃ、兄さんに迷惑をかけちゃいけないって……そう思ってた

莉犬のオッドアイが湖の水面を見つめる。

莉犬

でもね、俺、昔から知ってたんだ。兄さんは俺を”弟”として見てるけど……どこか、一線を引いてるって

カタリナ

……

カタリナは莉犬の寂し気な横顔をじっと見つめた。

莉犬

俺がケモ耳を持っているせいなのか、それとも、ただの勘違いなのか……わからない。でも、昔から兄さんは俺にあんまり構わなかったんだ

カタリナ

ななもり君は……莉犬君のこと、大事に思ってると思うよ

カタリナがそういうと、莉犬はふっと微笑んだ。

莉犬

うん、分かってる。でも、なんだろう……俺の中でずっとモヤモヤがあるんだよね

カタリナ

……

カタリナは何か言いたかったが、言葉が見つからなかった。莉犬が抱えてるものは、きっと長い時間をかけて積み重なったものなのだろう。

その時ーー

ころん

おーい!莉犬くーん!

遠くから聞きなれた声が聞こえてきた。

莉犬

ん?ころちゃん?

莉犬が顔を上げると、湖の向こう側からころんが手を振っていた。

ころん

お前、また一人でここに来てたのかよー!

莉犬

いや、一人じゃないって。今日はカタリナと一緒に来たんだよ

ころん

はぁ!?なんで僕を誘わねぇんだよ!

ころんがムスッとした顔で近づいてきた。

莉犬

だって、ころちゃんうるさいし

ころん

はぁ!?莉犬君の方がうるせぇだろ!

莉犬

はぁ?俺の方が静かだし!

ころん

いやいや、お前の方がうるさいからな!

莉犬

うるさいって言ったやつがうるさいんだよ!

カタリナ

はいはい、言い争い禁止!

カタリナが間に入り、2人の言い合いを止める。その様子を見て、莉犬がクスクスと笑った。

莉犬

ふふっ……ころちゃんは本当に変わらないね

ころん

当たり前だろ!僕はいつでも僕だからな!

ころんは胸を張る。

ころん

まぁいいや、とにかく僕も混ぜてよ!今日は何して遊ぶの?

莉犬

遊ぶ予定なんて決めてないよ

ころん

マジか!じゃあ、泳ぐか!?

莉犬

えぇーっ!?まだ水冷たいよ!

ころん

大丈夫大丈夫!根性でなんとかなる!

ころんが笑いながら服を脱ぎかけたその時ーー

???

君たち、少し落ち着いてください!

カタリナ

静かな声が響いた。

振り返ると、そこにはるぅとが腕を組んで立っていた。

るぅと

ころちゃん、君は王子としての品位と言うものをもう少し……

ころん

うるせぇ!るぅとくん、お前はいつも真面目過ぎるんだよ!

るぅと

ころちゃんが適当すぎるんです!

ころん

なんだとぉ!?

カタリナ

ほら、また始まった……

カタリナは苦笑いした。

莉犬はそんな二人を見て小さく息をついた。

莉犬

……俺も、昔はこんな風に、兄さんとふざけたりできたのになぁ

その呟きに、カタリナはそっと寄り添った。

カタリナ

また、話してみたら?

莉犬

……うん、そうだね

莉犬の瞳に、少しだけ光が戻った気がした。

隣国の王子たちと、運命の選択

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

30

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚