優月(ゆづき)
私が中学一年生の頃。
優月(ゆづき)
左ひざの足の
骨を折ってしまった。
骨を折ってしまった。
優月(ゆづき)
原因は自分で転んだだけ。
優月(ゆづき)
自己責任みたいな。
優月(ゆづき)
それからは病院で、
治療した。
治療した。
優月(ゆづき)
一ヶ月たっても、
自力で歩ける事が、
出来なかった。
自力で歩ける事が、
出来なかった。
優月(ゆづき)
なので、
治療するため。
養護学校へ通う
事になった。
治療するため。
養護学校へ通う
事になった。
優月(ゆづき)
養護学校は家から、
遠すぎて、寮に住むことに
なった。
遠すぎて、寮に住むことに
なった。
優月(ゆづき)
ある日、寮のベッドで、
寝る時間だった。ので。
寝る時間だった。ので。
優月(ゆづき)
布団の中に入っていた。
優月(ゆづき)
そしたらあることに、
気づいた。
気づいた。
優月(ゆづき)
姿は見ないから、
幽霊だと思う。
幽霊だと思う。
優月(ゆづき)
何だか、優しく、
私の手を握っていた。
私の手を握っていた。
優月(ゆづき)
それが毎晩のように、
続く。
続く。
優月(ゆづき)
ある晩、私は、
手を握り返した。
手を握り返した。
優月(ゆづき)
優しい手で。
優月(ゆづき)
嬉しかったから。
優月(ゆづき)
私は毎晩、
手を握り返した。
手を握り返した。
優月(ゆづき)
で、春になったら、
もう手を握ってくれ
なくなった。
もう手を握ってくれ
なくなった。
優月(ゆづき)
だって、あの幽霊は
もう私の前に、
来なくなったから。
もう私の前に、
来なくなったから。
優月(ゆづき)
私は寂しかった。
優月(ゆづき)
寂しい日々。
優月(ゆづき)
ある日、ある晩に
あの幽霊が私の手を
握っていた。
あの幽霊が私の手を
握っていた。
優月(ゆづき)
あの時のように、
優しく...。
優しく...。
優月(ゆづき)
あの幽霊は幼い、
男の子のように、
感じる。
男の子のように、
感じる。
優月(ゆづき)
でも、あの男の子は
私の前に来ることは、
なかった。
私の前に来ることは、
なかった。
優月(ゆづき)
それで数年ほどたった。
優月(ゆづき)
数年の間で、
もう寂しく
なくなっていた。
もう寂しく
なくなっていた。
優月(ゆづき)
男の子に会っていないけれど。
優月(ゆづき)
気づいた事がある。
優月(ゆづき)
男の子について。
優月(ゆづき)
それは。
優月(ゆづき)
実はあの男の子。
優月(ゆづき)
悪い幽霊だった。
優月(ゆづき)
私は失望した。
優月(ゆづき)
私はもう、あの男の子を
信頼しなくなった。
信頼しなくなった。