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恋のかたち

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恋のかたち

4 - P.4「唯一の恋」

♥

17

2021年05月03日

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~ゴールデンウィーク明け~

5月10日

___________________

平井花凜

う……

だいぶあったかくなってきたとはいえ

まだ、風があると寒いわね。

吉田椿樹

俺の上着着る?

相川純恋

着ない

吉田椿樹

寒いだろ

平井花凜

貸して

吉田椿樹

ほーい

エアコンきいてないのかしら……

平井花凜

ありがとう

平井花凜

今日思ったより寒かったわ

鈴木和雪

相川も上着着るか?

相川純恋

着ない

相川純恋

もう店の中じゃん

入学してちょうど1か月か……

椿樹は誰に対しても優しい。

相川純恋

話し合いになんで……

鈴木和雪

今日オフだしな

相川純恋

わざわざ外くる必要ある?

あたし(彼女)には特別優しい。

平井花凜

すみれ何頼むの?

相川純恋

とりまドリンクバー

平井花凜

ま、そうよね

鈴木和雪

俺も

平井花凜

椿樹は?

そうゆう性格なんだろう。

鈴木和雪

さっきから黙ってどうした?

吉田椿樹

なぁ……あれが

吉田椿樹

ドリンクバーか……?

椿樹のこうゆうところにも結構慣れたわ。

平井花凜

そうよ

平井花凜

ドリンクバー4つね

吉田椿樹

まじか!

吉田椿樹

もう取りに行っていいのか!?

平井花凜

注文してからね

吉田椿樹

え、今?

平井花凜

そのボタン押して

吉田椿樹

押した

鈴木和雪

椿樹ておぼっちゃまだよな

相川純恋

そうでしょうね

まあそうでしょうね。

ドリンクバー見て喜ぶ人なんて

珍しいと思うわ。

吉田椿樹

え、なんで?

鈴木和雪

人狼で絶対人狼のやつに

鈴木和雪

人狼って言った時の反応みたいな

相川純恋

伝わないから

鈴木和雪

まあ可愛いってことさ

吉田椿樹

うえいたぁいらしたぞ

店員さんをウエイターって呼ぶの初めてみたわ……

店員

ご注文承ります

平井花凜

ドリンクバー4つお願いします

店員

ドリンクバー4つですね

平井花凜

はい、以上です

店員

かしこまりました

店員

ありがとうございます

恋人のふりだから出かけたことなくて……

予想はしてたけどまあ……

想像以上に面白いわね、人って。

吉田椿樹

こちらこそ

相川純恋

コントなの?

鈴木和雪

今椿樹のこと更に好きになったぞ

相川純恋

なんでよ

吉田椿樹

えぇ……俺も好きー!

鈴木和雪

カップルー成立ー!

平井花凜

店だからやめなさい

相川純恋

どこならいいの?

吉田椿樹

ドリンクバー行きたい俺!

鈴木和雪

トイレ行きたい俺

相川純恋

行ってきなよ

鈴木和雪

レディファできなくてすまん

相川純恋

何それ

平井花凜

レディーファーストのことじゃない?

相川純恋

どうでもいい……

鈴木和雪

平井何飲む?

平井花凜

メロンソーダ

相川純恋

私も同じのよろしく

鈴木和雪

了解

平井花凜

ありがとう

吉田椿樹

かず早く!バー行こバー!

鈴木和雪

今行くー

相川純恋

2人とも変な略し方すんな

平井花凜

賑やかで楽しいわね

すみれと2人きりになるの久しぶり……

相川純恋

男ってばか

平井花凜

そう?

平井花凜

椿樹は勉強できるわよ

平井花凜

教えるのも上手いわ

相川純恋

そうゆう意味じゃないよ

わかってるわよ。

相川純恋

この際だからはっきり言うけど

相川純恋

私、心配してる

そうでしょうね。

平井花凜

あたしのこと?

相川純恋

今まで沢山告白されても

相川純恋

興味無いって断ってきたのに

相川純恋

出会ってすぐの男になんて

まあ驚くわよね、でも……

こうすることしかできないのよ。

平井花凜

一目惚れしちゃった

相川純恋

イケメンなのは認める

椿樹は誰がなんと言おうと美少年よ。

1部の女子に恨まれるくらいには。

平井花凜

優しいじゃない、椿樹

相川純恋

そうだね!

相川純恋

私が何言っても怒らないし!

相川純恋

その上面白いの

相川純恋

結構好きな自分がいて悔しい

平井花凜

じゃあいいじゃない

すみれのそうゆうとこ好きよ。

何だかんだ仲良くなってて良かったわ。

平井花凜

そうゆうすみれは?

相川純恋

私……?

相川純恋

ああ……

相川純恋

卒業式の時の答えが知りたいの?

 そうよ。

いつになったら言うの。

両想いなのに。

平井花凜

鈴木とはどうするのよ

相川純恋

体育祭、学ラン借りる

平井花凜

遠回しな答えね

ああ……近づいてると思ってたけど

相川純恋

だから、体育祭で言うって

平井花凜

すみれってツンデレよね

嘘を重ねる時がまた来たんだ。

相川純恋

かりんちゃんに言われたくない……

付き合ったらあたしなんて言おうかな……

吉田椿樹

ただいま!

吉田椿樹

やばくね!これ!

平井花凜

どうしたの?

吉田椿樹

オレンジジュース!

吉田椿樹

出てきた!

平井花凜

良かったわね

鈴木和雪

はい

相川純恋

ありがと

笑っておめでとうって言えるかな。

吉田椿樹

何話してた?

吉田椿樹

元気なくね?

平井花凜

別に

平井花凜

話し合いしましょう

また泣いたらどうしよう。

その時はまた、隣にいてくれるかな。

吉田椿樹

ま、無理すんなよ

きっと居てくれる。

あなたなら。

___________________

あたし

気づかなかった。

もう既に頼りきりになってること

助けてもらうのが当たり前になってること

思いもしなかった。

自分で自分の首を絞めてるなんて

ごめんね。

~体育祭2日前~

5月23日

___________________

平井花凜

椿樹ー

忘れてたわ。

あたしも学ラン借りないとだったの。

平井花凜

どこに行ったのかな……

押しに弱くて応援団までやることに……

明日の練習までに借りなきゃ……

鈴木和雪

平井

平井花凜

鈴木、ちょうど良かった

平井花凜

椿樹知らない?

鈴木和雪

今日はまだ見てないな

鈴木和雪

あ、すみれ見てないか?

そういえば学ランもう借りたのかな……

平井花凜

すみれなら教室に戻ったわよ

平井花凜

タオル忘れたって

鈴木和雪

そうか、助かった

鈴木和雪

もしかして……

鈴木和雪

学ラン借りるつもりか?

平井花凜

そうだけど……

平井花凜

借りるなら椿樹にって……

鈴木和雪

あー言いにくんだけど

平井花凜

何、どうかしたの?

鈴木和雪

椿樹、中学ブレザーだぞ

平井花凜

えっ……

鈴木和雪

椿樹も応援団だから

鈴木和雪

借りれないだろうな

知らなかった……

平井花凜

てゆうか、学ランじゃないって

平井花凜

進学校……?

平井花凜

だとしたらなんでわざわざ

確かに進学校でもおかしくないくらい勉強できる……

だけどわざわざここに来た理由って……

もしかして……

鈴木和雪

それは本人に聞いてくれ

鈴木和雪

それより他にあてあるのか?

平井花凜

あ、やば

椿樹に借りれなかった時考えてなかった。

鈴木和雪

やっぱりな

鈴木和雪

中学の学ラン貸すぞ

平井花凜

え、いいの?

すみれは……?

平井花凜

すみれは……

鈴木和雪

俺応援団じゃないし

高校の学ランは貸すつもりなのね。

鈴木和雪

椿樹が嫉妬しないなら

平井花凜

それはない

平井花凜

ありがとう!

平井花凜

明日持ってきてくれる?

すみれが借りる前にって気が引けるけど

ごめん!

鈴木和雪

任せろ

鈴木和雪

じゃ、相川のとこ行くわ

平井花凜

よろしくねー

 知らなかった。

そういえば、椿樹って

自分の話はあんまりしないわね……

進学校にいたなんて初耳。

ここら辺で有名な進学校といえば……

吉田椿樹

花凜ー!

平井花凜

あ、いた

吉田椿樹

俺のこと探してた?

平井花凜

あ、さっきまでね

平井花凜

学ラン借りようと思ってたんだけど

吉田椿樹

あー

吉田椿樹

ごめん

吉田椿樹

俺中学ブレザーだから

ほんとにそうなんだ……

平井花凜

鈴木から聞いたわ

平井花凜

それで、中学の学ラン貸してくれるって

平井花凜

鈴木の借りるわ

吉田椿樹

俺の彼女なのに〜?

目を伏せて笑った。

平井花凜

黙って

平井花凜

思ってもないくせに

吉田椿樹

良かった良かった

吉田椿樹

かずなら安心

椿樹が目を伏せて笑う時

きっと嘘をついている。

平井花凜

ねぇ

平井花凜

ずっと聞けなかったんだけど

平井花凜

"好き"なのって……

平井花凜

聞いてもいいの?

聞いちゃダメなのかなって

勝手に思ってたけど……

吉田椿樹

ついに聞いてきたな〜

平井花凜

聞いちゃダメなのかと

吉田椿樹

そんなわけだろ

吉田椿樹

フェアじゃないじゃん

吉田椿樹

俺だけ知ってるの

吉田椿樹

でも自分からあいつが好きなんだー

吉田椿樹

って言うのなんて恥ずかしいから

吉田椿樹

言ってなかっただけ

平井花凜

じゃあ聞いてもいいの?

吉田椿樹

もちろん

ずっと気になってたことがある。

平井花凜

鈴木とどこで知り合ったの?

吉田椿樹

あ、そこ?

平井花凜

まずそこが気になった

鈴木、友達とはせまく広くタイプだし

でも椿樹とは特別仲がいい。

何がきっかけなのか

どこで知り合ったのか気になる。

吉田椿樹

病院だけど

平井花凜

病院?

吉田椿樹

うん、去年の冬ちょっとな

そういえば鈴木、冬に入院してたっけ。

平井花凜

そうなの?

吉田椿樹

詳しくは秘密!

尚更気になるわ……

でもまあ……本題じゃないか。

平井花凜

ふーん

平井花凜

それじゃ、本題

吉田椿樹

うん

平井花凜

あなたの……

平井花凜

椿樹の好きな人は?

吉田椿樹

俺の好きな人は……

あなたような

誰に対しても分け隔てなく

優しくて

気遣い上手で

面白い

あなたのような人が

想いを寄せてるのは

一体誰なの?

吉田椿樹

かず

その名前をあたしは知っていた。

吉田椿樹

鈴木和雪

だってその人は……

あたしの好きな人の……

好きな人。

___________________

ほんとお互い様。

どうしてあたしたち

大切な人がいる人を

好きになったんだろう。

~探した先に~

___________________

鈴木和雪

思い切り入れ違った

ついにこの日が来ると

緊張するもんだな……

答えはわかってるはずなのに。

相川純恋

鈴木

相川純恋

誰探してたの?

鈴木和雪

あ、いた

鈴木和雪

相川を探してた

知ってる。

いつも私を追いかけて

不安な時、来てくれるから

好きになっちゃった。

相川純恋

私も探してたの

鈴木和雪

あ、マジで?

好きになったこと

今日は私が伝えにきたよ。

相川純恋

あのね……

鈴木和雪

ん?

相川純恋

ちょっとこっち来て

鈴木和雪

……

相川純恋

大事な話があるの

鈴木和雪

まさか……

そのまさかだよ。

鈴木のこと好きになるなんて

思ってもいなかった。

鈴木和雪

金に困ってるのか?

相川純恋

何言ってんの?

鈴木和雪

え、違うのか

鈴木和雪

真剣な顔して人気のないところで

相川純恋

バカなこと言わないで

このバカはいつも……

雰囲気察するとかないんか。

無理か……鈴木だしな。

しれっと告白するような奴だもん。

鈴木和雪

あ、わかった

鈴木和雪

学ラン貸してほしいんだろ

鈴木和雪

これは当たったな

相川純恋

それもそうだけど

相川純恋

最後まで私の話聞いて

鈴木和雪

はいすいません

相川純恋

でもそうゆうあんただから

相川純恋

好きになったのかも……

ううん

そうだ。

常に自然体でいさせてくれる

そうゆうあんただから

好きになったのか、私。

鈴木和雪

え?

相川純恋

好き

鈴木和雪

え?

相川純恋

だから、好きだって

鈴木和雪

え?

相川純恋

好き、なの……

上手く言えなくてもいい。

大丈夫、怖くない。

上手く言えなくてもちゃんと

聞いてくれる。

そうゆうやつだから。

相川純恋

あのね

相川純恋

好きになった

鈴木和雪

まじ、で?

相川純恋

私の話、聞いてほしい

私が伝えることに意味がある。

そうしなきゃ、伝えられない人は

どうなるの?

私が飛び込まなきゃ

何も始まらない。

相川純恋

あの時私ふったんだけど

相川純恋

ほんとに何とも思ってなかったから

相川純恋

でもね、変わらず

相川純恋

愛を示し続けてくれた

相川純恋

あんたがっ…

震える声に恥ずかしくなって

鈴木の顔が見れない。

相川純恋

鈴木がね

相川純恋

好きになった

今どんな顔して聞いてるんだろう。

ずるい女だよね。

今更、好きになったなんて

相川純恋

彼氏には興味があった

相川純恋

けど、友達が離れてくくらいならって

相川純恋

恋愛はさけてた

女の世界は怖い。

彼氏彼女如きで起こる歪みは

怖くてたまらない。

だから避け続けた。

相川純恋

今まで告白された人には

相川純恋

友達以上の感情を持ったことなくて

告白されたことなら何度かあった。

でもね、鈴木以上に心が動いた人は いなかったし

相川純恋

かりんがいるし

相川純恋

そんな人いらないって思ってた

告白した後も

私のこと好きでいてくれる人なんて

伝え続けてくれる人なんて

鈴木だけだった。

相川純恋

だけどいつも

相川純恋

辛い時

相川純恋

絶対きてくれるし

他の男は違うって思った。

特別に感じた。

相川純恋

あんたと……

相川純恋

鈴木と一緒にいる時

相川純恋

1番、自然体で

相川純恋

その時の自分のほうが

相川純恋

好きなんだ

相川純恋

かりんといる時の私も好きだけど

素直じゃない、素直になれない

そんな私でも可愛いって

好きだと言ってくれた人。

相川純恋

そう思わせてくれた

相川純恋

鈴木が

その時の顔が忘れられない。

ううん

私を見つめる顔はいつも

誰より

何より

優しくてあたたかい。

それをずっと見ていたいなんて……

相川純恋

好きだよ……!

この感情って

きっと

愛おしさ。

相川純恋

鈴木がもし……

相川純恋

まだ私のこと好きでいてくれるなら

相川純恋

付き合ってほしい

相川純恋

です

と認めたのは一瞬。

___________________

その一瞬で

顔を上げてみつめてみれば

あんたの目は

刹那の輝きを秘めた

月みたいで綺麗だね。

~告白の裏側~

___________________

鈴木はすみれと会えたかな……

相川純恋

かりんちゃん!

平井花凜

あれ、鈴木に会えた?

相川純恋

会ってない

相川純恋

今探してて……

入れ違っちゃったわね。

平井花凜

ごめん

平井花凜

戻ったって言っちゃったわ

相川純恋

入れ違ったね

相川純恋

もっかい戻る

平井花凜

HRまでまだ時間あるけど

平井花凜

遅刻しないよう気をつけてね

すみれも探してたのか……

もしかして……

相川純恋

ああ……長くなるかも

相川純恋

かりんちゃん、私

相川純恋

今から行くから

平井花凜

え?

相川純恋

私、告白してくる

平井花凜

……

やっぱり。

ついに来た……

平井花凜

頑張ってね

相川純恋

ありがとう……

また、嘘を重ねる時が。

平井花凜

あ、あとごめん

平井花凜

あたし、椿樹に学ラン借りれなくて

平井花凜

鈴木に中学の時の借りることに……

平井花凜

先になっちゃった……

ほんとにごめん。

相川純恋

こんな時でも私のこと……

相川純恋

別に大丈夫だよ

相川純恋

それより、何か言いたいことない?

真っ直ぐと

あたしの気持ち見透かすみたいに

覗きこまないでほしい。

平井花凜

言いたいこと?

平井花凜

特には……

また体温が上がる。

相川純恋

そっか

平井花凜

うん

相川純恋

花凜

相川純恋

大好きだよ

平井花凜

え?

な、何……?

平井花凜

へ、す

平井花凜

すみれ……!?

あたし、今

すみれに抱きしめられてる……?

相川純恋

付き合っても仲良くしてね

ああ……

そうゆうことか。

ちょっと寂しいのかな。

平井花凜

当たり前よ

平井花凜

すみれだってそうしてるじゃない

そうすることでしか隣にいられないなんて

相川純恋

ふふ……

相川純恋

充電完了

相川純恋

いってきまーす

ばかだ、あたし……

平井花凜

行ってらっしゃい

上手く笑えてたかな。

今までだって苦しかったよ。

言えない気持ちも

伝えられない想いも

ずっと飲み込んできた。

平井花凜

なのに……

平井花凜

なんで

今改めて感じる

この感情は……

平井花凜

失恋

だから……

こんなに苦しいんだ。

改めてはっきりと感じるから……

吉田椿樹

花凜こっち

平井花凜

え……?

やっぱり……

また来てくれた。

吉田椿樹

ここならあんま人来ないはず

平井花凜

聞いてた?

吉田椿樹

ごめん、聞くつもりはなかったんだけど

平井花凜

ううん

あたしの手をひいたのは

すみれじゃなくて椿樹だ。

吉田椿樹

相川はわかっててやってんのか……

平井花凜

え?

吉田椿樹

いや、とりあえず

吉田椿樹

ジャージ羽織っとけ

平井花凜

うん……

いつも隣にいてくれるけど

あたしが望んだ隣はあなたじゃない。

そう、心が叫んで仕方ない。

ごめん……

吉田椿樹

泣くなとは言わないけど

吉田椿樹

この恋が全てじゃないぞ

わかってる。

頭ではわかってる。

それに椿樹だって苦しいはずなのに

どうして……

平井花凜

でも

平井花凜

あたしにとって

平井花凜

唯一の恋

初恋だった。

吉田椿樹

うん

平井花凜

好きでこうなったわけじゃない

男に生まれたかったわけじゃない。

吉田椿樹

うん

平井花凜

男の子だって素敵だってわかってるし

椿樹は素敵だと思うし

吉田椿樹

うん

吉田椿樹

女の子って可愛いよな

平井花凜

イケメンだって好きなのよ

平井花凜

かっこいい人の話で

平井花凜

ちゃんと盛り上がれる!

でも胸の鼓動が高鳴るのはいつも

可愛い女の子

相川純恋。

吉田椿樹

うん

吉田椿樹

好きな髪型の話とか

吉田椿樹

好みの服とか

吉田椿樹

盛り上がるし

吉田椿樹

ちゃんと楽しい

平井花凜

ウエディングドレスにも憧れる

平井花凜

お嫁さんにだってなりたいし

平井花凜

小さい子供は大好きよ!

理想の家庭は

理想のまま。

吉田椿樹

うん

吉田椿樹

いつか家庭を築けたら

吉田椿樹

素敵だなって思う

平井花凜

でも

平井花凜

やっぱり

平井花凜

好きなのは……

平井花凜

相川純恋

紛れもない女の子

吉田椿樹

かずなんだよな……

そして

これからもきっと

好きになるのは

平井花凜

女の子

吉田椿樹

……

吉田椿樹

花凜……

平井花凜

あ、ごめんなさい

平井花凜

またあたし……

平井花凜

取り乱して……

吉田椿樹

大丈夫

吉田椿樹

俺が隣にいる

椿樹はいつも隣にいるだけ

いてくれるだけ。

触れたりはしない。

吉田椿樹

まだまだこれからだぞ

吉田椿樹

俺たちは

吉田椿樹

20歳にも満たない

吉田椿樹

子供はまだまだ

吉田椿樹

きっとこれからも恋をする

平井花凜

うん……

まだこの"唯一の恋"しか知らない

あたしにとって

無限大な可能性を秘めた未来なんて

信じられないけど……

吉田椿樹

今は苦しい

吉田椿樹

だから、沢山泣いていい

吉田椿樹

俺は花凜の味方

吉田椿樹

絶対隣にいるから

吉田椿樹

一緒にいよう

椿樹のことなら信じられる。

平井花凜

うん……

平井花凜

ありがとう

平井花凜

椿樹

いっそ"好き"になれたらいいのに。

吉田椿樹

おう

吉田椿樹

いつでも呼んでくれ

でも、"好き"にはなれない。

そんなあたしたちの苦しい片想い。

___________________

どれだけあなたのことを

好きだとしても

"好き"になることはないだろう。

恋に変わる瞬間は訪れないだろう。

だからあたしたちは隣にいる。

これが不器用なあたしたちにとって

精一杯の恋の仕方。

恋のかたち。

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