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フードコートを出た私たちはショッピングモールの通路を歩いてた。 私の手には、買ってもらった服の袋。 店のライトがキラキラしてて、モール全体がちょっとロマンチックな雰囲気になってる。
ちょっとだけ、静かになった。 さっきのハンバーガー事件のせいで私の心臓はまだ落ち着いてない。 言い方をかえると、落ち着くわけない。
〇〇
御影玲王
横を歩いてた玲王が、ふと声を落とす。
〇〇
御影玲王
不意打ちの一言と一緒に、玲王が指をそっと重ねてきた。
〇〇
御影玲王
そのまま玲王の手が、私の手を優しく握る。 指先までちゃんと絡めてくるあたり、慣れてる感じでズルい。
御影玲王
顔が近い。声も甘くて、ドキドキが止まらない。
〇〇
ぼそっと答えた瞬間、反対側から――
凪誠士郎
凪が、無言で私の反対側の手を握ってきた。
凪誠士郎
〇〇
凪誠士郎
しれっとした顔でぐいっと握ってきて両手が2人に包まれる状態に。 もう限界。顔、真っ赤。 体温高すぎるし、手から気持ち伝わってきそう。
凪誠士郎
御影玲王
〇〇
そう叫んだあとも、手は離してくれなくて。 私は両側から引っ張られるまま、次の目的地―― 夜景の見えるディナースポットへ向かった。
高層ビルの最上階。 ガラス張りの窓からは、宝石みたいに光る夜景。 店内はちょっと薄暗くて、 テーブルにはキャンドルの灯りがゆれてる。
案内された席に着いた3人。 私はおしゃれなワンピに着替えてて、ふたりとも目が合った瞬間ピタッと動きが止まる。
御影玲王
玲王が真顔でぼそっと言ってきた。 さっきまでテンション高かったのに、急に静かになるとか反則。
凪誠士郎
こっちは凪。しかもじーっと見てきて目そらせない。
〇〇
顔が熱くなるのを隠そうと下向いたけど、テーブルの下で――
スッ……。
凪が、私の足に自分の足をぴとってくっつけてきた。
〇〇
凪誠士郎
〇〇
凪誠士郎
目が合ったときの凪のニヤって顔、100点満点でアウト。 心臓が耐えきれません。
〇〇
その時ーー
店員さん
店員さんが皿を置いた瞬間、玲王がサッとナプキンを私のひざの上に広げてくれる。 その動きがスマートすぎて…王子すぎる。
御影玲王
〇〇
御影玲王
優しいトーンで言われて、私のフォークが止まる。 なんなんだろう。今日ふたりとも攻めすぎ。
御影玲王
玲王が気づいて、自分の皿から交換してくれようとする。 でもその時――
凪誠士郎
凪が突然、フォークに刺してトマトを私の口元に持ってきた。
凪誠士郎
〇〇
凪誠士郎
見たら確かに、全部カップル席。 それどころか、さっきから周りの視線が熱い。
〇〇
御影玲王
玲王が笑いながらうなずいた。
御影玲王
御影玲王
そう言って、今度は玲王が私の手をそっと握る。 凪は凪で、今度は耳元でそっと囁いてくる。
凪誠士郎
心臓、爆発寸前。 そんな空気の中、メインディッシュが運ばれてきたけど―― 私の味覚は完全におかしくなっていた。