…しばらくして、一連の流れが終わったあと、僕はこんがらがりすぎてまた寝てしまったらしく、次に起きた頃にはもう昼だった。
しかし、問題はそこからなのだ。何故かまだ、部屋にれるちがいる…気がする。
ゆう
(足音、聞こえるもんね…)
ゆう
(確かに話は聞けてないけど…あんなことがあったあとだし…なんだか話しかけづらい…なぁ…。)
あれせいで、僕はおかしくなってしまったのかもしれない。
だって…まだ、『あれが欲しい』と思ってしまっているのだから。いや、それよりも今はー。
ゆう
(っまって…考えるな、考えるな如月ゆう!相手はメンバーなの!同じグループで活動してるメ・ン・バー!)
ゆう
(それなのに欲しいなんて言ったら本当にだめでしょ!一線を超えちゃいけないの!)
ゆう
(……なのに…なんであの顔を思い出してるのさぁ…!)
れる
あ、起きたんやね。おはよう、ゆうくん。いや、こんにちは…かな?
耳に聞き慣れた優しい声が聞こえてくる。
ーれるちの声だ。
ゆう
(……聞かなきゃ、昨日のこと。あと、ゆうさんがおかしくなってしまったことも。ちゃんと、いわなくちゃ。)
ゆう
昨日のこと、よく覚えてないんだけど…何かあったの?
ゆう
(我ながらド直球すぎるなぁ…)
ゆう
(何かあったのなら申し訳無さすぎるし…。)
れる
ん?あぁー、いや、ゆうくんがれるに添い寝してほしいって言ったこと以外は何もなかったで?
れる
ゆうくん、あまえんぼやし、めっちゃ可愛かったから…
れる
あー…でも、ついつい朝やらかしちゃったことは本当にごめん。我慢できなくて…傷つけたかも。ごめんな。
ゆう
(ストップ、聞き逃しては行けない単語が聞こえた気がする…。)
ゆう
(…添い寝?…………添い寝…!?!?!?)
ゆう
(嘘、ゆうさん、そんなことれるちに頼んだの…!?……恥ずかし過ぎて消えちゃいそう…もうやってけないよぉー…)
ゆう
(しかもこの空気…『れるちが欲しい』って思ってしまったなんて言える雰囲気じゃなさすぎる…)
ゆう
(はぁぁ…僕ってそんなに変態さんだったけぇ…?どうすればぁ…)
れる
えと……ゆうくん?
ゆう
(れるち、今なにか言った?だめだ、聞けない…なんか、聞いちゃいけない気がしてきた…)
ゆう
(どうしよう…しかも、ゆうさんの頭の中に悪魔の声が語りかけてくる…)
『閉じ込めてしまえばいいんだよ。
そうすれば、れるちが手に入るよ』
ゆう
(そんなこと、考えちゃいけないんだよ。本当は。れるちは大切なメンバーなんだから。)
ゆう
(グループを壊すようなこと、しちゃいけない。)
れる
ゆうくん…れるは、れるはね…?
テンテンテンッテンテンテンッテンテンテンッテレレレレン♪
ゆう
(よかった。聞かないで済んだ。ちょっと一安心……でもやっぱり何言いたかったのか気になる!!)
ゆう
(あ、とりあえず早く電話に出なくちゃ!)
そんなぐちゃぐちゃな思いのままスマホを手に取り応答ボタンを押す。
こえ
『もしもしー!!よかったー!出てくれたー!ゆうくん、昨日大丈夫だったー?ゆうくんでろでろに酔ってたけど、てかれるはどうなったのー?』
ゆう
(うわぁ、この高くて耳に響く声は…こえくんだな…。と、とりあえず答えなきゃ…って、れるちのこと、どう説明すればいいんだろう…!?)
ゆう
えっと…んーとね…?
こえ
『じゃあ切るねーん!』
ゆう
はぁぁ………
ゆう
(…嘘を、ついてしまった…。メンバーに対して……ゆうさん最低だ…別にやましいことはあれ以外にないのに、なんでこんなに必死になってるの…?)
ゆう
上手く説明できたはずなのに…『もうれるちはいないよ』って、ほんと、なんでこんなよくわかんない嘘付いてるのぉ…
ゆう
…何やってるんだろ。僕。
れる
ゆうくん、電話終わった?
ゆう
う、うん、ありがとう。
それでもこちらに優しい言葉をかけにくるれるち。確かに電話をしてるときれるちは部屋から離れててくれたけど……。
ゆう
(もうやめてよ…これ以上『好き』になったら、おんなじメンバーでいられなくなっちゃう…)
ゆう
………あれ?………え?…嘘……今、ゆうさん…………もしかして…
れる
ゆうくん、どしたん?
ゆう
い…いや…何でもない…よ…
ゆう
(れるちのことを『好き』って思った?)