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君と最後のダンスを

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第三話:壊される日常

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2023年04月25日

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………あれ、

(黄くんスマホ忘れて行ってる…)

おっちょこちょいだなぁ、笑

(でも、どうしたもんかな………)

僕とて 人のスマホを見るほど 束縛は酷くない

僕が気にしてるのは 黄くんに何かあった時の連絡口が 無いことだ

(行先ってこういう時に聞くのかな…?)

僕は黄くんが 一人で出かけるって時は あまり、 行き先を聞かないようにしている

聞くと束縛してるみたいで嫌だからね

五分おきの連絡とかも 通知が溜まって面倒くさいので するように頼んでない

赤くんとかとの 旅行や映画も 別に気にしていないし

なんだったら 「 楽しんできてね 」 の気持ちがある

でも、旅行先の写真は めっちゃ撮ってきてもらってる

いや、だって、 黄くんセンスいいんだもん…

(でも本当にどうしよ…)

(もし黄くんに何かあったら……)

(いや、どうせ何も無い!!)

(きっといつも通り笑顔で帰ってくるんだ、)

(きっとそうなんだ……)

プルルルルル プルルルルル

っ、?!

びっくりした……

(って、紫くん?)

もしもし?

どうしたの?

青ちゃん!!

今すぐ苺病院に来て!!

待って待って、落ち着いてよ…

何があったの?

黄くんが……事故にあったって、!!

…………は?

だから早く!!

早く病院に来て!!!

分かった…、

すぐ行く…

俺も今向かってるから!!

黄くんが……事故…??

だって、、

え、?ポロポロ

僕は気づいたら 泣き出していて

黄くんとの思い出が 脳裏にフラッシュバックされた

そんな思い出にひたっている中 頭の片隅では

「 早く行かなくちゃ 」 っていう気持ちがあった

でも僕の体は動いてくれない

なんで…ッ、ポロポロ

やっぱり一人で行かせなければ良かった…っ、ポロポロ

ひたすらこれの繰り返し

そんな中 声が聞こえた

青ちゃ………

……おちゃん、

…………ん、

これはどんどんか細くなって 弱くなっていった

この瞬間、頭よりも先に 身体が動いた

………行かなきゃ、

ガラガラガラッッ!!

黄くん!!ポロポロ

僕は病院にも関わらず 黄くんの名前を叫んだ

青ちゃん落ち着いて、

ここは病院だよ

でも…ッ、!!ポロポロ

正直それどころでは無い

顔にガーゼを貼り 腕などには包帯が巻かれ ベットの隣には 点滴スタンドが立って

そのベットの上には 痛々しい姿の黄くんが 横たわっている

…………

呼吸をしているのかですら 怪しくなってくるぐらい 静かに眠っている

大丈夫なの、?ポロポロ

うん

意識も回復する可能性が十分にあるって

今はまだ寝てるだけ

よかったぁ、ポロポロ

でも………、

でも、?

起きても長くは持たない……って、

………なんで、っ

…………青ちゃ…ん、?

黄くんっ、!!ポロポロ

どうして泣いてるんですか、笑

ッッ………、ポロポロ

………あー、そうですか…

長く持たないんですか……、笑

なん…っ、で…、?ポロポロ

自分の体ですよ、?笑

そのくらい分かりますよ、笑

っ……ポロポロ

でもその代わり、その時まで

いつもみたいに笑わせてください、?笑

………うん、ポロポロ

たっくさん笑わせるから……ッ、笑

楽しみです、笑

おはよう、黄ちゃん、

あ、おはようございます…、笑

………………ッ、

紫くんまでそんな顔しないでくださいよ、笑

………赤くん達にはなんて言えばいいの、

" 死んだ "そう伝えればいいですよ、笑

………どの道、長くないなら

今すぐにでも伝えてください、笑

………そんなこと…ッ、!!

ッ…………、

" そんなこと出来るわけない "

紫くんは きっとこう言おうとしたんだと思う

でも途中で言葉が詰まった

きっと最後くらい 黄くんのお願いを聞きたいんだと思う

僕だってそう思う

………わかった、ニコッ

…電話してくる、ポロポロ

ガラガラガラ、

泣くのを こらえていたのかもしれないけど 結局、紫くんは泣いた

(僕だって今すぐに泣き叫びたい…)

(でも………)

でもそれは黄くんの望みでは無い

だから、必死にこらえる

ねぇ、青ちゃん

君はいつもの 優しい声で僕を呼ぶ

だから僕はいつも通りにこう返す

ん、なぁに、?

…………笑ってください、笑

………えへへ、笑

正直、上手く笑えていない

今すぐにでも泣きそうな思いで 笑顔を作っても きっと直ぐに君にバレてしまうから

少し諦めた表情で 笑顔を作ったんだ

……死にたく…っ、ない、ポロポロ

ッ…、!!ポロポロ

君が本音をポロリと漏らして 泣き出してしまった

その瞬間 僕の涙腺も崩壊した

僕だって…っ、!!ポロポロ

死んで欲しくない…ッッ、!!!ポロポロ

まだ青ちゃんと笑ってたい…、ポロポロ

旅行して自撮りも撮って……、

色んなところ遊びに行って…ッ、

たまにイタズラして…ッッ、!!ポロポロ

………、ポロポロ

まだ、沢山遊んでたいっ……、ポロポロ

少しずつ 君の本音が出てくる

それと比例して 流す涙も増えていく

…………、ポロポロ

僕は喉の奥が キュッと締まって 言葉を出そうとして出てこない

そんなことを頭で ぐるぐる考えている間も

ッッ……ポロポロ

君の寿命は縮まっている

その一分一秒を 君と話してたいのに

言葉は出てこないし 出てきてくれない

青ちゃん…っ、ポロポロ

弱々しい声で僕を呼ぶ

………僕と、ポロポロ
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