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人は幸せが呆気なく壊れることをまだ知らない。

那由他

せな〜

那由他

せなぁ〜〜

聖奏

......

那由他

寝るなっ!!!

べちん

乙女の頬を1発叩き、寝てるせなを起こした。

聖奏

...いてっ

那由他

おめーは寝すぎ

聖奏

今日5時に寝たもん眠よ....

那由他

5時って朝の?

聖奏

ひゅん....

那由他

まじか...てか呂律回ってない

那由他

保健室行けば?

聖奏

そーする.....

ガタン

せなはそういい席を立った。

そのとき。

ガラ

"我妻聖奏さんいらっしゃいますでしょうかー"

スーツを着てメガネをかけた男性が

僕達の教室に入ってくる。

那由他

せなならそこに....って

教室の床に倒れて寝ていた。

聖奏

......ゆうた...

那由他

せなーせなー

那由他

お!き!ろ!!

一瞬せなの体がビクッとした。

聖奏

....も...なに

那由他

せな呼ばれてるぞ

那由他

ドアの方向だ

聖奏

.....前〜?後ろ〜?

那由他

キュッキュッ

靴音を立てながらスタスタと歩き。

聖奏

はい〜なんですか〜?

緩い口調でスーツを着た男性に話しかけた。

せなの様子を見ていると、

せなの顔つきがみるみる変わっていく。

聖奏

.....そうですか....

せなは話を聞き終え、鞄の支度を始めた。

那由他

せな....?

那由他

どうした....??

聖奏

なゆた.....

聖奏

なゆ.....

僕の名前を言う君の目には、

涙が浮かんでいた。

那由他

せな...?

鞄の支度を終えた君は、

どこか苦しげな顔をして、

教室を出た。

せなのことを追いかけてたら

いつの間にか校舎を出ていた。

那由他

せなっ!!

那由他

何があったんだよっ!!

せなのことが心配だ。

なぜならせなのことが好きだから。

聖奏

なゆた...

そう言いながらせなは振り返った。

涙をこぼしながら。

聖奏

ゆうたくん死んじゃった...

聖奏

事故で.....うっ

那由他

嘘....

ゆうたは

せなの初恋である小関裕太。

俺たちの幼なじみである。

聖奏

ちっちゃい子守ったんだって...うう

せなは人目を気にせず大声で泣き叫んだ。

嗚咽をするほど泣き叫んだ。

それを僕は宥めることしか出来なかった。

そしてこれが僕らの恋の始まりになってしまうなんて、

俺はものすごく嫌だった。

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