幸運

死んだら何も残らない

だからこそ人はゴールも見えない道を

がむしゃらに走る

何度も転んで

その分立ち上がって

時には地面に張り付きながら

ｶﾞｼｬ

ｶﾞﾁｬ

いや、どうしましょう

はい、どうしましょ、

ﾊﾞｼｯ

あんたなんて産まなきゃ良かった！

全部、全部

俺のせいなんだ、

ごめんなさい

ごめんなさいｯ

ぎゅ

転移が見つかったんだ

転移が見つかったからには完治は難しい

薬で長持ちさせることしか、

自分でも調子が悪いこと分かってたし

ｶﾞﾁｬ

あれから1週間も経たない頃

廊下が騒がしかった。

見に行こうと、

手すりを伝って重い体を動かす

ある男の子が自分を刺したらしいの

あれから青さんと会えなかった

自分が体調が悪くて病室から出れなかったから

話しはドナーが見つかったということだった

親にも謝られた

今までの暴言

暴力

泣きながら謝られた

悪い話しじゃなくて良かったな、

退院したら何しよう

そんなことを考えてた

何日か後

手術をした。

拒否反応もなく

自分は助かった。

幸運だと思った。

ドナーが少ないなか、

国内で受けたこと、

手術を受けたこと

拒否反応のないこと

全てが幸運だった

青さんにもお礼しなきゃなと、

生きれたことに

あの時止めてくれたおかげで

感謝しなきゃ行けないのに

青さんがいなくなったら意味ないじゃん