橘 凛花
まだ午前中だと言うのに、 セミの声がうるさい
体育館前の蛇口で、水を出しながら そう思う。
水道で水を流し、ドリンクを つくりながら、ぼんやりとしていると
不意に、横の蛇口に手が伸びた。
ふと、顔をあげると、不機嫌そうに 顔をしかめながら、蛇口をひねる、 鼻筋の通ったいわゆる「美男子」がいた
目でっか…え、背高…肌白…
思ったままの感想を心の中で 連呼しながら、その美青年に釘付けになっていると、
私の視線に気づいたのか、その美青年が視線を変えずに声をあげた。
月島蛍
え、声良すぎ......
見た目を裏切らない声だな。
勝手にそう決めつけてから、すぐに 目を逸らして謝罪する
橘 凛花
私がそう言うと、美青年は何かに気づいたのように口を開いた
月島蛍
橘 凛花
橘 凛花
え、悲しい。汗臭いとか?泣いよ?
そう思っていると、私の様子に気づいたのか、美青年は蛇口をひねり、水を停めながら小さく呟いた。
月島蛍
美青年はそう言ったあと、ふいと顔を逸らして、私に背を向けてどこかへ行ってしまった
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