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テラーノベル(Teller Novel)
温暖化する男

温暖化する男

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1

温暖化する男

♥

240

2020年07月20日

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季節は夏

テレビでは毎年のように、 猛暑関連のニュースばかり報道されている

最新ニュース

またか!熊谷市40度超えの猛暑!

またかよ……

と、思わず独り言を言ってしまったが、 それもそのはず

なんと今年の夏はすでに40度超えの日が 10回以上きているのだ

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続いてのニュースです

ん?

今度はなんだ?

最新ニュース

奇妙?街中で突然燃える人

燃える人?

いるわけねーだろ。ばかばかしい

最新ニュース

では、現地と中継が繋がっております

最新ニュース

リポーターの藤田さーん?

え、まじかよ……

中継がつながるってことは……

藤田リポーター

はい。リポーターの藤田です

藤田リポーター

藤田リポーター

えー、先ほどまさに、人が突然燃えるという現象が起きました……

藤田リポーター

ちょっと近づいてみますね

藤田リポーター

藤田リポーター

あー、これはもう完全に燃えて灰と化してますね……

藤田リポーター

まじかよ……

俺はなんだか気分が悪くなってきたので、 テレビの電源を切った

あんなもん、どうせ偽物だろ

俺は自分にそう言い聞かせ、 家の外に出た。

すると、家の外には……

人が燃えたであろう、 灰がそこらじゅうに落ちていた

うそだろ……

衝撃のあまり、 その場に立ち尽くす俺の背後から……

燃えているサラリーマン

暑い……暑い……

燃えているサラリーマン

早くクールビズに……

燃えているサラリーマン

その瞬間、 さらに燃えていくスピードが早まる

燃えているサラリーマン

熱い熱い!!!!

燃えているサラリーマン

助けて!

俺は、熱さのせいなのか、 手足を動かすことができなかった

おっさん!俺には……

燃えているサラリーマン

熱い熱い……

燃えているサラリーマン

サラリーマンと思われる男性は最後に そう言い残して……

灰となった

熱い熱い……あれ?

俺は気がつくと、 自分の家のソファで目覚めた

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あれ、これ……

まさか……

俺は、半信半疑ながらも、 玄関を開け外に出てみた。

そこは……

おばあちゃん

少年

至って普通の日常だった……

シルバーカーをひくおばあちゃん

小学校に登校する子供たち

なんだよ

やっぱり夢か……

俺は安心し、家の中に戻ったが

しかし……

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今度はなんだ?

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奇妙?街中で突然燃える人

え……

俺は、開いた口が塞がらなかった

あれは夢じゃなかったのかよ……

あ、ってことは……

ガチャッ

と、玄関を開ける音が聞こえる

誰か来る……

燃えているサラリーマン

暑い暑い……

燃えているサラリーマン

おい兄ちゃん、水くれ……

あのサラリーマンのおっさんだ……

夢で見た人だ……

でも、シチュエーションが違う……

燃えているサラリーマン

熱い熱い熱い熱い!!!!

燃えているサラリーマン

兄ちゃん……

燃えているサラリーマン

早く水を……

だが俺は、手足が動かなかった……

夢と一緒だ……

ってことはこの後……

燃えているサラリーマン

あぁぁーーーーーー!!!!

燃えているサラリーマン

熱い!!!!

燃えているサラリーマン

おっさんはそう言いながら……

灰と化した

動けるようになった俺は、 水を探した

水、水、水はどこだ!

探しているうちに、 また玄関が開いた……

おばあちゃん

お水を……どうか……

さっきのシルバーカーをひいていたおばあちゃんだ

少年

ねぇおばあちゃん。僕にも水ちょうだい

この少年もさっき登校していた小学生だ

いいから、ちょっと待っててくれ……

おばあちゃん

少年

俺は必死で家中の水を探した

だが、水は見つからなかった……

最後の砦は、ここしかない

トイレだ

汚いが、今は非常時

トイレの水でさえ貴重だ

俺はトイレのお手洗いの蛇口をひねり、 ペットボトルに満タンまで水を注いだ。

よし、これでなんとか……

俺は再び玄関に戻るとそこは……

作業服の男

熱い熱い……

ジャリジャリ

部屋着の女

熱い……早くその水を……

ジャリジャリ

熱さで水を求める、 灰になる寸前の人で埋め尽くされていた

そして、ジャリジャリと音が聞こえるのは

おばあちゃんと少年の……

救えなかった……

そして俺自身も……

灰となる

ボトッ

と、灰の上にペットボトルが落ちると そこに……

作業服の男

水だぁ!

部屋着の女

水よ!

他の人たち

水だぁーーーーーーーー!!!!!

皆、大声を上げて水に飛びつくが……

皆、一斉にその瞬間……

作業服の男

部屋着の女

他の人たち

灰と化した

人が消えた男の家では、 無情にもテレビの音だけが鳴り響いていた

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衝撃!今度は集団で見つかる!灰となった人たち

コメンテーター

コメンテーター

いやぁ、地球温暖化って恐ろしいですね……

キャスター

そうですね……

キャスター

我々も……

コメンテーター

コメンテーター

熱い熱い……

キャスター

だ、大丈夫ですか?

コメンテーター

み、水を……

この作品はいかがでしたか?

240

コメント

7

ユーザー

トイレが出た時は、コメディー展開かと思ったのに。怖くて面白いお話ですね!

ユーザー

まさかの夢オチかと思ったら……水くれ

ユーザー

怖くて面白かったです!

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