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( இωஇ )続き気になる~
続きが気になるめう〜
最後の言葉みて何故かこっちまで切なくなりました… 連載ブクマ失礼します!
主
主
主
主
主
最後の曲が終わると、お昼の放送の締めの言葉を言って電源を落とす。
今日はいつもより早かったかもしれないな....
と、時計を見ながらドアを開けた瞬間___。
叫び声が聞こえると同時に、ドンッと誰かにぶつかった。
ころん
職員室の隣だからあまり人が通らないと油断して廊下側を気を付けてなかった。
慌てて顔をあげると、目の前のさとみ君がびっくりした様子で僕を見ている。
な、なんでこんなところに。
さとみ
戸惑った様子で目をそらし、
さとみ
と、そっけなくさとみ君は踵を返した。
そそくさとその場から逃げるように職員室の方に向かっていく。
男子1
思考が停止してしまったかのように茫然と立ち尽くしていると、背後から声が聞こえた。
さとみ君と僕が同時に振り返る。
突き当りの階段からちょうど降りてきた様子で、声の主の男の子がさとみ君に駆け寄っていく。
僕を追い越す前にちょっと目が合った。
確か、この前靴箱でさとみ君と一緒にいた男子だ。
男子1
さとみ
男子1
男子1
さとみ君の様子に、友達はけらけらと笑った。
あんまりにも笑うので、さとみ君が邪魔くさそうに手で払う。
彼らの様子を後ろからじっと眺めていると、不意にさとみ君が振り向いた。
突然のことに、びくりと体が跳ねた。
そして、彼の顔を見て、次は心臓が大きく跳ねる。
夕焼けみたいに真っ赤に染まった、彼の顔。
少し距離を置いて立つ僕にも、それははっきり良く見えた。
手で隠すような仕草をしていたけど、それでも隠せないほど、耳まで真っ赤に染まっていた。
すぐに前を向いて歩いていく彼の背中から目が離せなくなる。
彼でもあんなに赤くなったりするんだ。
こんなの不意打ちにもほどがある。
僕の顔も赤くなり、頬に両手を添えた。
なんで、そんなに赤くなってるの。
なに、あの顔。なんで、あんな顔を。
意外な一面を見たせいで、胸が苦しい。
不思議な気持ちがむくむくと膨らんで胸を圧迫する。
心臓がぎゅぅっと締め付けられてるみたいに苦しい。
なのにちっとも嫌な感じがしない。
今、さとみ君はどんな顔をしてるんだろう?
離れていくさとみ君の背中を見ながら、もう一度振り返ってくれたらいいのに。っと思った。
でも、なんでこんなところにいたんだろう。
そう思って、扉の前にあるリクエストボックスをちらりと見やる。
もしかして、と手に取って振ってみると、カサカサと何かが入っている音がした。
この前、このボックスからさとみ君の手紙を受け取った。
他には何も入っていなかったし、この数日で誰かが何かを入れたというのは考えにくい。
背中の蓋を外して、中に入っていた紙を取り出した。
小さく折りたたまれたルーズリーフ。
ドキドキするのはなんでだろう。と自分に問いかけながらそれをゆっくりと開く。
ごめん、先走った いや、本音だけど! せめて友達からでいいから 俺のこと知らないからっていう理由じゃ諦められない 俺のこと知ってほしい。
ころん
思わず、吹き出してしまった。
どうしてこんなところに、と思ったら、やっぱり手紙を入れに来てたんだ。
さっきの授業の時にすでに手紙を受け取ったのに、たて続けにわざわざお昼に入れに来るなんて。
相当焦っていたのだろう。
文字も殴り書きのように乱れている。
真っ赤な顔と、この手紙。
2つが重なって、胸の中がムズムズした。
なぜだか頬が緩んでしまう
“先走った”というフォローと、“本音だけど”という素直すぎる言葉。
急いで書いた文字と、必死さを感じる言葉に、彼のイメージがまた変わった。
確かに僕は彼を知らない。
知りたいとも、思っていなかった。
知ろうとも思わなかった。でも。
『諦められない』
真っすぐだ。すべてが。
告白されたらきっぱり断る。
そして、自分が好きになったら真っすぐ一直線。
自分の気持ちのまま、素直に行動する人なんだろう。
なんか、可愛いなあ。
『友達からでもいいから』
友達ってどういう関係を指してるんだろう。
話をするだけで友達と呼ぶんだろうか。
連絡先を交換して、他愛のないことを話したらいいのだろうか。
莉犬や、遠井さんとしていることをさとみ君と置き換えてみて、瞬時に無理だと思った。
みんなの前で親しく話すなんて、付き合うのとあまり変わらない。
絶対変にうわさされる。
それに、何を話していいかわからない。
友達もなかなか難しい。
でも、ちょっとだけ....さとみ君に興味もある。
僕の知らない一面を、もう少し見てみたい。
彼のことを__知りたい。
さっき書いた返事をポケットから取り出して、開く。
僕の“ごめんなさい”の言葉。
これを渡したらもうさとみ君との関係は終わってしまうだろう。
もう、さとみ君を知ることはできなくなる。
ころん
丸めて捨てちゃおうかと思ったけど、そうすると、さとみ君からの手紙もゴミになってしまう
しばらくルーズリーフを眺めてから、自分の返事が書かれているところをピリピリと切り離した。
そして、残ったさとみ君からの文字だけをきれいに折りたたんでポケットに入れた。
友達から、なら。 でも噂されたりするのは苦手だから 今は会って話とかはしないで、手紙だけでいい? 僕からの返事はこれからも靴箱に入れるね ちょっと気になったんだけど、僕の名前、知ってる?
次の日も朝早く学校に来て、さとみ君の靴箱にそっと置く。
昨日のルーズリーフの続きに書こうかと思ったけど、破った後に書くのは失礼な気がして結局、便箋を使った。
ほんのりピンク色の便せんは、まるで今の、僕の気持ちみたいだ。
朝から胸がうるさいくらいに鳴っていた。
別に付き合うわけじゃない。ただの友達。しかも、手紙だけの。
あんな条件付きで、気を悪くしないだろうかと思ったけど、これが今の僕の気持ちだから、やっぱり外せなかった。
手紙だけのやり取りで、さとみ君のことを知れるかどうかも、よく分からない。
だけど、このまま終わってしまうよりかは、いいと思った。
注目されるのが嫌だということもあるけど、周りにからかわれると、さとみ君のことを知る前に逃げ出したくなるかもしれない。
手紙だけのやり取りの方が、緊張せず、ゆっくり返事を考えることができる。
少しずつ、ゆっくりと彼を知っていきたい。周りを気にせずに。
それをさとみ君が無理だというのなら、それは仕方ないことだ。
まだ、トクトクと自分の心音が聞こえる。
あの手紙にさとみ君はなんと返事をくれるだろう。
最後に疑問文を付けたのは、内容に対して気を悪くしても、返事をくれるだろうと思ったからだ。
何でもいいから返事が欲しいと思った。
さとみ君はその日のうちに返事をくれた。
放課後のリクエストボックスには、手のひらよりも小さなサイズの、真新しいノートが一冊。
投函口に合うサイズのノートをわざわざ買ったのだろう。
見たことがあるから、今日、売店で買ったばかりのノートかもしれない
ぺらりとめくると、1ページ目にさとみ君の文字があった。
わかった! これからよろしく 名前くらい知ってるわw 赤城 莉犬だろ?
主
主
主
主
主
主