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私が転校して数日たったある日、事は起こった
そう、私の人生を大きく変える
大きな出来事
新しい学校にまだ少し慣れていない頃、私は先生に頼れ事をされていた
それはプリントをまとめて欲しいとのこと
新任らしいから色々大変何だろうな…私で役に立てることは全力でお手伝いしよう ちょっと頼りなさも感じるけど…
そう思い立ってから暫くたっていたようで
パチンパチン
規則正しくなるホチキスの音はどこか落ち着くような感覚に陥る
ふぅ、と一息つくと窓の外の光に目を奪われる
わ…もう夕暮れ…早く帰ってお店のお手伝いしなきゃ
繋心叔父さんは最近用事があるらしく最近はお婆ちゃんと一緒に店を切り盛りしている。
まぁ、私は接客できないから仕出しとかなんだけども
それすらお兄ちゃんが重いからといって最近任せてくれなくなったんだけど…
何て外をみて黄昏ていた私には教室のドアに近づく影なんて気付きもしなかった
ガダガダッ
桃羽
直後、ドアの方角から鈍い音が鳴り響いた
な、何…?
勢いよく振り向くとそこにはオレンジ色の髪をした小柄な男の子が顔を赤くして立っていた
誰、だろう…?
私から話しかけるなんて出来やしないのでお互い沈黙のまま
ちょっと、気まずい…
桃羽
首を傾げて『何ですか?』の意図を伝える
??
すると彼はへんてこな悲鳴…?鳴き声…、?をあげるのでますます不思議になる
??
何故急に謝られたのかそしてカタコト
日向
君は?と返されても私は反応に困るばかりだった。
何故か、それは喋ることが出来ないから。
日向
日向
日向
黙りこくっていると相手が察してくれたようで
桃羽
必死に何度か頷くと納得したような顔つきでへー、と言っていた
気分を損ねた訳じゃ無さそうだ
日向
ちょっとふざけ気味に呟いているがそれはどうやら本気で悩んでくれているようで
日向
日向
ひつだん…筆談のことだろう。授業で習った!と元気に言ってくれる彼についふふっと笑みが溢れてしまう
日向
また変な呻き声だ
そこで唐突に思う。
今まで、こうしてコミュニケーションの取り方を考えてくれた人は居たか…?
否、居なかったと思う
両親は当たり前に、お兄ちゃんも、私が喋れないことを誰一人咎めなかった
だけど、皆どこか私と『話す』事は諦めていた気がする
いや、きっと私も誰かと『話す』事は諦めていた
だから何というか
嬉しかった
きっと彼は何気なく言っただけだろう、その言葉に私は救われたのだ
鳥鳴桃羽。よろしくお願いします
日向
桃羽
日向
そんな彼の笑顔をみてなんだか胸の辺りがぽかぽかして、暖かくなった
そして漢字も教えていただいた。名前には素敵な由来がありますからね漢字も大事
日向
先生のお手伝い
日向
ありがとう、日向くんは?
日向
日向
そうなんだ
部活で使うのにさー!と片手に持っていたタオルを見せてくれた日向くんに心がソワっとした。
こんな太陽みたいな人がやってる部活って何だろうと好奇心が多分、疼いたんだと思う
聞いても、良いのかな…
日向くんって何部なの?
日向
桃羽
あまりの食いぎみ度合いに少しビックリしてしまう
そっか、バレー部なんだ
絶対、格好いいんだろうな
おぉ~、すごいね
日向
日向
桃羽
日向
日向
あ、そっか…バレーは高ければ高いほど有利。そういう競技だ。でも…
んー、何て言うか日向くんがバレーで活躍してるところ想像ついちゃって
なんでも出来そうって言うのかな
それに、飛べれば関係無いんじゃないかな?背が低くてもその分飛べば良い、って考えじゃあダメなのかな
日向
日向
日向
日向くんは、私の言葉を噛み締めるように顔を綻ばせた後、満更でもないように胸を張った。可愛いと思ってしまったのは秘密にしておこう
なら、大活躍だね
日向
桃羽
パチン
最後のプリントの束を完成させ、私は作業を終えた。早く帰ってお手伝いしないと
お話してくれてありがとう。私、日向くんのバレー応援してる。
日向
またカタコトになってしまった、何故…
引き留めてごめんね
日向
全力で否定するように首をブンブン振る日向くん。そんなに振ったら頭がとれちゃうよ…!
日向
さっきまで元気いっぱいだった彼の雰囲気が変わり、急に落ち着いた雰囲気を纏っている
バレーが好きか
その質問をされてすぐに答えられる人はいるのか、とても少数だがある程度の人は答えられるだろう
私はきっとその少数派なのだろう
見るのは好きだよ
そう、見るのは
見るのは好きなのだ、私は運動が苦手。というかしたらダメ
体が弱いから。特別病弱と言うわけではないが人より何倍も体力が少ない。
学校に通うのだけで精一杯なのだ
では何故見るのは好きなのか
それは、声がまだ出せる頃繋心叔父さんの所でお手伝いをしていたからだ
皆さんとても優しく、良くしてくれた
皆さんが好きなものは私も好きになりたいと思って
多分、いつの間にか本当に好きになっていた
日向
桃羽
日向
桃羽
日向
日向くん、
日向
ありがとう
日向
日向
きっと教室から出たあなたは分からないだろうね、私が何にありがとうと言ったのか
いつか、声に出して言えたら良いな
ありがとう、日向くん