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遠い時の果てそこに住む人々は 永遠の命を持つ者

そんな世界の中にただ1人”呪い”を 持って生まれた少女がいた。 これはその少女の話

木々が色づく街外れ、 湖畔が光に照らされて蒼く光っている

少女

最近は空気が少し冷たくなったわね

少女

こんな時こそ!私のお菓子を
食べてもらいたいわ!

少女

きっと寒さも忘れる!

少女はお菓子屋 赤い実を使ったお菓子を売りに街へ行く

少女

今度こそ絶対に美味しいんだから!

時計塔のある街へ

少女

この辺でいいかしら…?

少女

今日は珍しくにぎやかね?
これはチャンスだわ!

少女

赤い実で作ったパイです!
自信作なの!

少女

ちょっとそこの人!ひとついかが?

街の人

そんなの買うわけないだろ

街の人

ここにいるだけ無駄なのにね

街の人

ほんとにね笑

少女

……

少女

(みんなと何も変わらないのに)

少女

美味しくできたのにな…。

今日も声は届かない

少女

まるで透明になったみたいだわ

少女

どうしていつもこうなの…?

それは少女が呪われているから

少女

こんな世界、
つまらないだけじゃない

少女

永遠に生きることが
そんなにも大事?

少女

私にはわからないわ

たった1人、”呪い”にかかった少女の話

少女

何よ!もう!!

少女

私は諦めない!

少女

今度こそ街の人たちに
これを食べてもらうんだから!!

少女は諦めない 今日もまた、めげずに笑顔で 自信作を売りに行く

少女

丁度お昼時だし、
みんなもお腹がへるはず!!

少女

今日こそは食べてもらうの!!

少女

赤い実のパイどうです…

ドンッ

少女

あっ

その時誰かが少女を押した そのはずみで地面にパイが入った 籠が落ちた

少女

あ、待って

少女

踏まないで!!!

声をかけても、もう遅かった

少女

私が作ったお菓子が…

少女

どうして、そんなことができるの…?

泣きそうになりながら、それを拾う

少女

勿体無い…。

少女

今日も誰も食べてくれないのね

(誰かの手が伸びてくる)

少女

…??

少女

(まだ揶揄うつもり?)

パイを拾った1人の少年 そしてそれを一口

少年

おいしいね

少女

!!

少女

…そうでしょ!自信作なの!

少女

ずっと誰かに食べてもらいたかった

少女

初めてだわ…!

少女

自分の作ったお菓子を食べて
もらえるのって
こんなにも嬉しいのね…!!

彼女の頬には涙がつたっていた

少女

あれ?どうして泣いているの?

彼は手を差し伸べて言った

少年

どうしてだろうね、不思議だ

少年

でも、もう大丈夫だよ

少年

僕と君はおんなじ

少年

これからは1人じゃないよ

この世界で”呪い”を持った たった2人の物語

街の人

可哀想に

街の人

赤い実を食べただけで死ぬなんて

街の人

哀れだわ、
あんな呪いで消えるなんてごめんね

みんな声を揃えて

街の人たち

なんて可哀想な話

少女

この前ね、森でこんなことがあって

少年

あはは!そりゃ面白いね!

少女

ほんと可笑しくて!

少年

それならこの前僕も…

 2人は笑っていた 街の人の言葉なんか 聞こえていないみたいに

少女

ねえ、とっても素敵だと思わない?

少年

なんのこと?

少女

この呪いのこと

少年

どうしてそう思うんだい?

少女

私たちの人生には限りがあるけど

少女

その分、今この時がこの世界の
誰よりも大切に思えるから

少女

たとえ明日死んだとしてもね

少年

君は本当に不思議だ

少年

でもそうだね。

少年

僕もそう思うよ

少年

やっぱり僕と君はおんなじ

見つめ合う2人 それから……

「もう声は届かないのね まるで透明になったみたいだわ」

そして誰もが知らぬふりをした 何故なら世界が

呪われてるから

少女

永遠の呪いにもう縛られなくて
いいの

少年

街の人たちったら
まるで僕たちが狂ってるみたいに
振る舞うんだよ!

少女

あの人たちと違って
私たちはいつか眠りにつく

少年

その時僕たち、きっと笑ってるよ

少女

私たちはもう自由だから

少女

この世界で一番幸せね

少年

うん、幸せだ

少女

私たちだけが知ってる

死んだ世界で唯ふたりだけが

「幸せだった」

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