テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
明日は朝8時に駅前で待ち合わせだ。
皐月が帰宅するまでには帰宅したい結莉なので、羽矢斗と話し合い早めの時刻に約束した。
だいたい皐月は18時ごろ帰宅する。望の家に寄っていた頃は19時なんていう帰宅時刻もあった。
結莉
結莉はいつまで経っても子離れできない自分を自身でわかっている。
だからこそ、皐月の失恋の件に関して口出しなどせぬよう、懸命に見守っているところだ。
今日はクリニック通院もないし『ハートのたまご』以外のラジオ番組をのんびりと聴いている。
他の番組にもお便りをしているので、時々お便りが採用され一人喜んでいる結莉だ。
皐月
結莉
結莉は、皐月がひと息ついたら、明日出掛けることを伝えておこうと考えている。
皐月は洗面所に手洗い・うがいに行き、自室へ行った。
(リビングにすぐに来るかな~)と思っていたが来ないので、待ちきれず結莉は皐月の部屋のドアをノックした。
皐月
結莉
皐月
今夜はミートスパゲッティーとコンソメスープだ。ちなみにカレーのみならずこの親子はミートソースも甘めがお好み。結構な量の黒糖を使う。
皐月
結莉
結莉は……皐月に嘘をつくのに胸が痛む。
結莉
皐月
結莉
皐月
結莉
皐月
結莉
皐月
結莉
皐月
明るいやり取りの中、胸がチクチクする結莉だ。
一見元気者に見える皐月のナイーブなところを誰よりも知っている結莉。
結莉
***
――――待ちに待ったドライブデート当日!
結莉
玄関でバタバタと、鏡に向かい髪を整え、靴を履きしている皐月に向かい結莉が言う。
皐月
結莉
娘は嵐のように去って行った。
結莉はお風呂もお化粧もすでにバッチリ済ませている。あとは着替えるだけだ。
結莉
薄水色のオフショルダーのカシュクール。胸元がV字にクロスされ露出度高めだ。ピンクのチュールスカートはロング丈。そして白いトレンチコート。
羽矢斗とたくさん歩きたいので、足元はブルーのスニーカーにした。
結莉
皐月を送り出すと結莉は、遅れないようすぐに着替えをし、家を出た。
良い天気で良かった。
光は春めき、天使が舞っているような澄んだ空だ。
ゆっくりと歩を進める。
結莉
7時45分。待ち合わせ場所が見えてきた。
駅のロータリーの所に羽矢斗が立っている!
駆け寄り、息を弾ませ自然とみずから羽矢斗の手を握る結莉。
結莉
羽矢斗
今日もセンスバツグンでかっこいい羽矢斗。
いでたちは、黒いカッターシャツにカーキ色のワイドパンツ。アウターは黒のブルゾン。えんじ色のスニーカーを履いている。
結莉
羽矢斗
結莉
そう言って、結莉ははしゃぎ、羽矢斗の右手を握ったまま、自分の左腕で腕を絡ませた。
少し……羽矢斗の右腕に結莉のバストが当たった。
羽矢斗
ちょっぴりそのあと押し黙ってしまう羽矢斗。
結莉は胸を当てる気はなかったので、顔から火が出そうになった。
羽矢斗
気を取り直すように、照れた表情の羽矢斗が言う。
結莉
結莉は少し俯き返事をし、羽矢斗と手を繋ぎ歩く。 ほんの徒歩3分のところのパーキング。
羽矢斗
ディープブルーの素敵なセダンだ。
助手席のドアをスマートに開け、結莉をエスコートする羽矢斗。
羽矢斗
結莉
そっとドアが閉まった。
運転席に羽矢斗が乗り込み、ドキドキのドライブデートが幕を開けた。
羽矢斗
結莉
二人は車の中でいろんな話をした。
そして結莉はキラキラと瞳を輝かせ、流れゆく風景を楽しみ、なにかと目に映るものを言葉にした。
高速に乗る前は
結莉
結莉
結莉
などなど。高速に乗ると
結莉
とか、ウキウキと話す。
羽矢斗もとても満足気だ。
羽矢斗は結莉の心の病のことをとても気遣い尋ねて来たので、結莉は沢山今のしんどさや、しんどさの軽減された部分などを語った。薬の副作用で時々眠いことも。
結莉
結莉
結莉
羽矢斗
羽矢斗
羽矢斗
羽矢斗
羽矢斗
結莉
結莉
結莉
結莉
羽矢斗
結莉はドクター以外に、こんな胸の内を話す相手が居ない。
娘の皐月に話しては、皐月が不安感を持ってはいけないと感じるのだ。
だから様々な辛さや、これまで傷ついたことなどを羽矢斗に話した。
羽矢斗は無論、元夫にヤキモチなど焼かなかった。
羽矢斗
と言う。そして
羽矢斗
と結莉を慰めた。
1時間も経たぬうち、高速道路を降りた。
暫く国道を行くと左手に木々が生い茂っている。
そしてその向こうに海が見えた!
もうもう、大騒ぎの結莉。
結莉
羽矢斗
結莉
結莉は少女のように大はしゃぎ。
20分ぐらい走った後、海岸沿いのパーキングに車が停まった。
羽矢斗の顔を童のような表情で見つめ
結莉
と結莉。
羽矢斗
結莉を見つめる羽矢斗の目に熱がこもり潤んだように見える。
ドキリ!
羽矢斗
羽矢斗は運転席から結莉を強い力で引き寄せるようにし抱いた。
結莉
自然と結里の瞳が閉じられセカンドキッス。
それはとても濃厚に音を立て、互いを求めてやまない磁石のS極とN極。
結里と羽矢斗は、唇が離れた時、少し顔を離し見つめった。
黙っている。
こぼれる幸せ。
羽矢斗
結莉
結莉は助手席のドアが開くのを待った。
羽矢斗がスマートにドアを開け、結莉の手を取った。
コンクリの階段を下りて行き砂浜へ。
3月。今日の風はまだ春風ではない。ちょっぴり冷たい。
でも髪を乱す潮風が気持ち良い。
結莉はピッタリくっついていた羽矢斗から離れ
結莉
と歓声を上げトトト……と波打ち際まで駆け寄った。
寄せては返す波が砂浜に跡を付ける。
それが結莉には愛の形に見えた。
羽矢斗は、両手を広げキャッキャと回り始めた結莉をスマホで写真に撮った。
スカートが風と戯れ、ロングヘアーが天使と遊んでいる。
結莉
羽矢斗
結莉
嬉しそうな結莉。
羽矢斗はゆっくり結莉のそばまで歩く。
結莉はもう回っていない。
うっとりとした表情で羽矢斗にしがみついた。
結莉を抱きしめる羽矢斗。
羽矢斗
結莉
羽矢斗の胸に顔をうずめる結莉。
そして……二人の口づけを海と空が見守った。
コメント
1件
第18話、読み終えました。海辺の描写がとても美しくて、特に「寄せては返す波が愛の形に見えた」という結莉さんの視点が素敵でした。皐月ちゃんに嘘をつく胸の痛みと、羽矢斗さんにだけは弱音を打ち明けられる関係性の対比がじんわり効いていますね。オフショルダーのカシュクールでちょっぴりお色気出そうとする結莉さん、可愛かったです。二人の距離がまた一歩縮まった回でしたね。
#シンママ
沙華やや子
586
183
玉葱三太郎
448
116