TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

*人生の間*

国家重要人物が居なくなり、未だに力なく椅子に座っているスカイの姿がある

スカイ

(まさか、軍に神様がいるとは思わなかったなぁ)

スカイ

(僕の前にこの力を持っていた人物)

しんぺい神が神だった事は、自身より上の地位にいる炎舞により公言不可

この事実を知る人間は2人だけとなっている

スカイ

くっそ……なんで

スカイ

(なんで、なんで柚が殺されないといけなかったんだ)

スカイ

(柚がバグだとは言ったけど、神ならアビリティーの管理だって出来るだろ)

スカイ

(そんな危険なアビリティー「記憶支配」をちゃんと神が管理していたら……こんな事には)

アリゼー

スカイ様……大丈夫でしょうか?

ラファエルへの報告が終わったのだろう

アリゼーが部屋に入ってきた

スカイ

アリゼー……まぁ

アリゼー

……申し訳ございません

アリゼーは静かにスカイへ頭を下げる

罪人の最期、忠臣が君主へ罰則を願うように深く頭を下げた

スカイ

へ?

アリゼー

スカイ様のご親友である柚希様が生まれ持った「記憶支配」

アリゼー

この力は神々でも危険と判断され、全知全能神様の御膳で本来管理されるはずでした

アリゼー

その御膳へ配送途中、悪魔軍の侵攻を許し警備が手薄になったところでアビリティーが逃げ出しました

スカイ

と、とりあえず顔を上げて

スカイ

それでどういうこと?

スカイ

アビリティーが逃げた?

アリゼーは渋々顔を上げて気まずそうに少しづつ話し出した

アリゼー

……神界ではアビリティーを擬人化させる技術が存在していました

アリゼー

例外なく記憶支配も私達と似たような姿となり、全知全能神様の御膳へ向かっていました

アリゼー

名前はその時に与えられます

アリゼー

その力を扱える神が生まれるまで、全知全能神様が付けた番号で過ごします

アリゼー

あのアビリティーは記憶という概念すら消す存在

アリゼー

そんな上級神でも敵わないアビリティーを野放しにするのは満場一致、悪魔側でも危険視されていたそうです

スカイ

なら……なんで

スカイ

悪魔軍がアビリティーを逃がした訳じゃないんでしょ?

アリゼー

アビリティーは全知全能神様が造り出した境界線結界を容易に掻い潜ります

アリゼー

まず、その結界自体が悪魔の侵攻を最低限に防ぐためのものですし、元々実体のないアビリティーですので、簡単に別時空へいきます

スカイ

その先が……僕らのこの世界だったってこと?

アリゼー

……はい

アリゼー

元はと言えば、我々天使が警備を怠らなければ起こっていなかった問題

アリゼー

その宿り主は想定していなかったのが事実ですが、世に出る前に誰かが降りて緩和すべきだったんです

スカイ

……なんでそれをしなかったの?

アリゼー

私達天使は、ある条件で許可なく別時空に移動する事が禁止されていました

アリゼー

汚れ仕事を嫌い普段から行わない神からすれば、この世界は醜いモノとされていました

アリゼー

その為、降りることを許されていたのは悪魔のみ

アリゼー

しかし、悪魔は自分の利益になることしか行動に起こしません

スカイ

それが長引いた結果、柚に記憶支配が宿ってしまった……って事だよね?

アリゼー

私達の問題なんです!

アリゼー

ガブリエル家への連絡が遅れただけではなく、境界線結界を守護していた天使すらアビリティーを見逃すという失態を侵した

アリゼー

これは……レイ様だけの責任では、本来ありません

アリゼー

神界全土の責任です

アリゼー

しかし、全知全能神様には誰も逆らえませんでした

上司が管轄する区域で問題が発生しその抑制・鎮圧の手伝いを行っていた、当時ウリエル家長女、アリゼーは

すぐさまアビリティー文献を管理しているガブリエル家やラジエル家に連絡しようとしたが、失態を隠そうとした彼女の両親に時間を稼がれ、報告出来たのはその日の夕方

事件発生から5時間過ぎた頃

全知全能神が選び配置されていた天使は、職務を放棄した状態であった事が調査の末発覚

こればかりは悪魔側の批判を素直に受け入れる他なかった

そしてアビリティーの回収を誰も行わず全知全能神も余り危機感を示していなかった

そしてアビリティーが柚希に宿った時、ようやく危機感が神界全土へ渡った

その中で彼女の父親は当主の座を全知全能神から剥奪され、その地位にアリゼーが座った形となる

スカイ

そんなの……あんまりだよ

スカイ

神界に住む全員が、記憶支配の事を危険だって分かっていたのに回収しないし、挙句にトップは危機感なし?

スカイ

本当に全知全能なんだよね?全治なら、その先の未来がどうなるか、分かってたんじゃ……

アリゼー

全知全能神様が言うことは絶対なんです!

アリゼー

それが……いくら的外れだったとしても、神界に住まわせてもらっている以上、神に……逆らう事は許されません

アリゼー

天使の名家で1番の権力を持つミカエル様でも不可能なんです!逆らえるわけが……

柚希

別に、僕は気にしてない

スカイ

柚……勝手に出てきたの?

前回の試練で休んでいたはずの柚希が姿を出した

アリゼー

柚希様……柚希様が気にしておられなくても、これは私達の責任なのです

柚希

元々、僕の死因は選ばれたとはいえ、結局は事故死になるはずだったんでしょ

柚希

事故死に神は関与しない

柚希

あそこで死ぬ前に決まっていた死因が発動しただけ。違う?

アリゼー

それは……分かりませんが

スカイ

柚、確かに辻褄は合う

スカイ

けど、そんな都合よく起こる訳じゃない

柚希

だから、想定より早く僕に宿った

柚希

それが想定外だっただけで、それ以外は既に決まっていた事なんだよ、スカイ様

アリゼー

先程、柚希様が仰ったように、事故死には神や私達天使、悪魔は関与できません

アリゼー

それなのに柚希様は、なぜ”事故が必ず起こる”という想定があったのですか?

柚希

僕が馬車の叔父さんに頼んだからだよ

柚希

本能的に、僕は危ない代物を持ってると思ったから

柚希

実質は神が選択した自殺

柚希

傍から見れば事故死に見せかけただけのね

柚希

本当は死ぬ前にスカイ様に力を使って、僕に関する記憶を消そうとしたけど、出来なかった

ここで知らされる事実

スカイの親友兼幼馴染の柚希 本名『大本柚希』

彼は自殺を計画していた

それは当時6歳では考えられる範囲を超えた大規模は自殺計画を

生まれた当初、彼は双子の弟として姉と共にこの世に生を受けた

しかし、彼は歓迎されなかった

そして「記憶支配」が受肉したのは彼が2歳のとき

彼らの地元では西条家と大本家が大きな権利を持っていたとされ、西条家はその地域の規則・政策を行い、大本家がその補佐をしていた

これもまた明かされる事実

上下関係が、スカイと柚希の間には存在していた

それも2人が無意識のうちに

しかし、2人の仲から見れば互いの両親の関係は良好

不仲ではなく、ましてや仕事の分野も異なり協力する場面も見た事なかった

ただ親同士仲がいい、それだけの理由で知り合い

幼馴染として、親友として育ってきた

アリゼー

確かに、記憶支配は生死掌握の下位互換

アリゼー

適う訳がありませんが……

スカイ

なんで……そんな事を……

柚希

僕らは今だけじゃない、小さい頃から上か下かはっきりしていた

柚希

その重圧に、僕が耐えられなかっただけ

柚希

ただそれだけ、だよ……スカイ様

スカイ

(知らない知らない知らない!)

スカイ

(僕は、僕はそんな重圧なんて知らない)

スカイ

(だって、僕の家も柚の家も、普通の家だったはずだ)

スカイ

(大きな仕事なんて、家系の仕事なんてなかったはずだ)

スカイ

(だって、母さんはただの科学者で弟は医者で……あれ?)

スカイ

(柚の母さんと父さんは?それにお姉さんも居たはずだ……)

スカイ

(なのに……)

スカイ

思い……出せない?

スカイ

なんで?存在していたのは事実なのに!

スカイ

顔も、名前も思い出せない!

スカイ

就いていた職業も知っていたはずなのに!

明かされた事実にスカイは恐怖を感じた

普通の家だったはずだ、一般的には

だが、元から西条家と大本家は軍お抱えの軍人一家だった歴史が存在している

西条家の奥方、西条薫がスカイ達の傍に居られたのはその歴史について”知らないフリ”をしていたからだ

大本家の両親を思い出せないのは、柚希の力の前に目の前で親友を失ったスカイの精神的ショックでもあった

そして西条家の当主だったスカイの父は事故死だとされていたが、実際は徴兵され戦争で亡くなっていた

西条家は医療に精通していて器具が揃っていたのは、代々西条家が攻撃と医療で軍に貢献していたからだ

そして大本家が唯一西条家に食らいついていけるとして傘下に加えられた

そこからだった、二つの家系に明確な上下関係が刻まれたのは

柚希

知らないのは仕方ない

柚希

これはルールに五月蝿い大本家だけに言われていたから

スカイ

嫌だ、僕は信じない

スカイ

僕の家は軍なんかに協力していない

スカイ

それは柚の家も!

柚希

紛れもない事実なんだよ、スカイ様

スカイ

絶対になにかの間違いだ!

スカイ

あの性根が腐った軍に僕らの家が協力?

スカイ

ふざけるなよ!

スカイは勢いよく立ち上がり柚希を見る

アリゼーは静かに姿を消して部屋を出ていった

柚希

スカイ様が、朝鮮半島の軍が嫌いなのはよく知ってる

柚希

けど、歴史上仕方なかった

スカイ

考えてよ!

スカイ

僕らのおじいちゃんはあの軍に徴兵されてこき使い回されて、食事も与えられず、最終的には捨て駒として使われ死んだ!

スカイ

そんな軍に……在籍していたという過去があるだけで反吐が出る!

柚希

……

柚希

スカイ様の弟、”蒼空”君は歴代西条家の中で一番力が優れていた

スカイ

言わないで、黙って

柚希

薫様はそれを軍に察知されないように動き出した

柚希

だから、蒼空君を産んで直ぐに、僕の両親が消えた

『西条蒼空』 スカイの実の弟で彼らが所属している組織の基盤を作った先代の1人

確かに医療の腕は優れていた

それ以外に、人よりか物理的な力が強かった

兄はアビリティープレイヤーで国に警戒される中、西条家が排出した軍人を超える程のポテンシャルを持った人材だった

軍はそのポテンシャルを持つ蒼空を意地でも獲得したかった 櫻の国の軍部に取られる前に

身内で尚且つ、アビリティープレイヤーの性質を身近に観察できる人材は重宝されるから

柚希の両親はその軍の意向を知っていた

スカイ

……柚の母さんと父さんが死んだのは、母さんのせい?

柚希

そう考えるのは……スカイ様次第だよ

叩きつけられた真実に、まだ動きは出せない

スカイ、彼は裏社会で名を馳せる闇医者

人を助けることに精進する裏でも珍しいほどの善人

そんな彼が抱える「封印」をまさに解こうとしているのは、彼が「封印」を押し込めていたうちの一人だ

スカイ

(ただ、そばにいて欲しかった)

スカイ

(僕の悪い所も良い所も、全部見てくれていたのは柚だけだったから)

スカイ

(僕を僕として過ごせるのは、柚のおかげだったから)

スカイ

(でも……僕の存在が柚の大きな重しになってたの?)

柚希

……ごめんね、スカイ様

ふたつの主役第5章~絡み合う種族~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

12

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚