どうして、
うまくいかないのだろう。
君のことは、
つい、いつも見てしまう。
今日は後頭部に見事な寝癖が ついていていて、
鳥の巣みたいと笑ったら、
君は不快そうに顔をしかめて、
「ほっとけよ」って、
吐き捨てるように言った。
バカにするつもりなんてない。
けれど、
鳥の巣みたいな頭もカワイイなんて、
それは言えない。
どうして、
うまくできないのだろう。
今日は寝癖をからかわれて、
つい、ぶっきらぼうに 言い返したけれど。
彼女の指が俺の髪に触れて、
彼女が白い歯を見せて笑って。
眩しくて、
照れ臭くて、
恥ずかしくて、
たまらない。
それに、
彼女に俺の頭の上の寝癖を ハッキリ見えるくらい、
背の低い俺の、
つまらないコンプレックス。
それは、知られたくない。
少しだけ目線の低い君に、
少しだけ近くなりたくて、
わざと猫背になるけれど。
君は、
不機嫌そうに、
私を見上げて、
「無駄にでかいな」
なんて言うから、
「あんたがチビなんだよ」
なんて返してしまう。
夜寝る前には、
今日こそ嫌われた、と、
落ち込んで。
少し、
泣いてしまったり。
チビちゃん、なんて、
彼女がからかうから。
心の器も小さい俺は、
つい強く言い返してしまう。
けれど、
普段ピンと姿勢の良い彼女が、
俺と話す時のかがんで 少し顔を近づける仕草や、
振り返って目が合った時の からかうような笑み。
どうしていいか、
わからなくなる。
不思議なむずがゆさ。
この気持ちをなんて言うのか。
この気持ちはなんだろう。
もしかしたら。
もしかして。
この気持ちには
もう少しゆっくりと
付き合ってみよう
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!