審神者の盾となった稲葉江の背が ぐらりと揺らぐ 目の前には大太刀を構えた鬼が 審神者を睨んでいる 巨大な刃が、少女に向く
審神者
少女の身体は硬直して動かない
審神者
審神者
狼狽する少女へと 無慈悲に大太刀が振るわれる
稲葉江
それを制する白銀の光 座敷の畳が稲葉江の血を吸う
審神者
審神者
少女の瞳に 刃が貫通した傷から溢れる鮮血が映る
稲葉江
稲葉江
審神者
少女の悲鳴に似た叫びを背に 稲葉江は再び刀を構える
稲葉江
稲葉江の声が轟き 刃が舞う しかしそのどれもが 少女には遠く聞こえた
審神者
大太刀をかわし、白銀の刃が鬼の醜い身体に一閃を喰らわす 崩れた壁の向こうに舞う白雪が 座敷に雪崩込む 新雪が稲葉江の血によって染まる
稲葉江
稲葉江の身体に 一つまた一つと刃が振るわれる だが稲葉江は凛として引かない
審神者
審神者
少女は拳を握り締め、一つ息を吸う
審神者
少女の涙に滲む声 その声に稲葉江の唇が優しい弧を描く
稲葉江
審神者
幾筋も涙が伝う頬を拭うことなく 少女は稲葉江の背を見つめる 稲葉江は少女の声に応えるかのように 鬼に立ち向かう
稲葉江
稲葉江
鬼の姿に一閃が走る 瞬間、鬼の身体は二つに裂けた 朽ちる鬼の身体 座敷に再び静寂が訪れる 白雪の中に膝をつく愛しい人
審神者
稲葉江
審神者
稲葉江
駆け寄る少女に微笑み稲葉江は静かに頭を振ると少女の身体にもたれる
稲葉江
審神者
稲葉江
審神者
審神者
稲葉江
少女にもたれかかった身体が 徐々に力を緩める 崩れた壁の向こうから 雪崩込む冷気と白雪が座敷を染める
審神者
審神者
審神者
稲葉江
審神者
稲葉江
審神者
審神者
稲葉江
次第に声が掠れ 肌から温もりが消えていく 心音が弱くなり眼差しが虚ろになる
審神者
稲葉江
審神者の名を呼び稲葉江は微笑む
稲葉江
審神者
稲葉江
審神者はぐっと唇を閉じ、目を閉じる そして、稲葉江に微笑む
審神者
稲葉江
稲葉江
二人はそっと唇を重ねる 最期を惜しみながら長い接吻を交わす 唇を離した瞬間 稲葉江の身体から力が抜ける
審神者
稲葉江は優しい笑みを浮かべたまま 息をひきとった
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