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#シンママ
沙華やや子
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183
玉葱三太郎
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皐月
皐月の部屋まで聞こえて来る大声だったので、皐月がなにごと? とリビングへやって来た。
皐月
結莉
心配そうに皐月。
皐月
結莉
皐月
結莉は……なんとかして、戸川さんに逢いたいのだ。
皐月と話していたし、その直前まで考え事をしていたので、今日の『ハートのたまご』SNSへも目が行かなかった結莉。
DJロリポップ
結莉
SNSを見返すと、ジャンくんが話し掛けてくれていた。書き込み時刻を確認すると、ちょうど結莉のリクエスト曲がかかった時間帯だ。
ジャン君
今回は、愛しい金髪の戸川さんを想い選曲したのだった。残念ながらジャンくんへの想いではない……。
でも、つむじはジャン・ロイドンを先週の放送から気にしている。
ジャンくんはつむじ好みの楽曲をリクエストし『つむじちゃんがスキな曲なんじゃないかなー、って思ってたよ』だなんて、書き込みをしていたから。
結莉
***
結莉は心の病があるゆえ、現在休職中の身。
早起きをし、お風呂に入る。結莉の朝風呂は日課だ。お肌や髪の毛のお手入れが済んだら急いで皐月を起こしに行く。皐月はよく眠る。そして朝食の支度。皐月を送り出したあとは洗濯・掃除をし、あとはゆっくりと過ごす。
感情の浮き沈みが激しいため、全く家事ができない時もある。皐月は健気な子だ。料理をしたり、洗濯物をたたむこともある。
元夫からの暴力によるトラウマは根深いものだ。皐月は、内向的な性格ではあるが、あんな環境の中で良くぞスクスク育ってくれたな~と、娘に対し感謝しかない結莉だ。
今日は2週間ぶりのクリニックへの通院日。
(もしも痴漢に遭っても負けないぞ!)という誓いと(戸川さんに逢えたら良いな。ほんの数分でも、姿を見たい……)という望み。
今日は長い黒髪をキュートにポニーテールにした。
もしも戸川さんに逢ったら綺麗と思って欲しいから……。
もちろん念入りにメイクをし、装いはコーデュロイのレトロなワンピースにリボン付きの黒いパンプスを履く。コートはキャメル色のミドルロングコートを選んだ。
皐月
結莉が着替え終わったところ皐月が言う。
結莉
皐月
結莉
皐月
今日も親子は一緒にマンションのエントランスを出た。 自転車に乗っている皐月の後ろ姿を見送る結莉。
朝の新しい空気を吸いつつ、駅までの道を歩く結莉。不思議とリラックスした心地だ。
結莉
駅のホームまでやって来た。電車に乗る前からホームに人が溢れ返っている。
――――朝8時。
結莉
結莉は戸川さん逢いたさに、先週乗った車両を想い出し、同じ4号車に乗った。
今朝もギューギュー詰めである。バッグを胸元に両手で抱え、満員なので人と人の間に挟まる形で支えられているような結莉。
こんな時……ほとんどの人がストレスフルな状況下で(せまっ苦しいなー。座りたい)と思うところだろう。
が、結莉は少し変わっている。
結莉
などと半ば達観したような、逆に鈍感で間抜けなようなとでも言おうか、そんなことを考え付くのだ。
人と人の隙間からほんの少しだけ見える冬の空と街並み。電車だし窓もあいていないが、川を渡る時はなんだか爽快だ。
結莉
結莉は見つけた。
おしくらまんじゅうしている人々5人分先の所に、先日結莉に痴漢行為を働いた無礼者を。
やはり恐怖心が湧く。ひ弱な感じだが、人間見た目ではわかったものではない、と結莉は思うのだ。
恐ろしいだけに、相手の動きから目が離せず様子をうかがっていた。
すると加害者がこちらを見た。目が合った。震え上がる結莉。加害者はすぐに俯いてバツが悪そうな表情を浮かべた。
そこへ……結莉の所へ、人をかき分け、ある男性が現れた。
その男性は結莉の真隣に今立っている。
金髪、イケメン、こなれたスーツの着方、細マッチョな体つき、セクシーなムード……。
戸川さんだ!
彼はチラッと結莉のほうを黙って、笑顔で見ただけ。満員電車であいさつをする人もそうそう居ないだろう。
そうして戸川さんが先日の痴漢男ににらみを利かせた。 加害者は、懸命にギューギュー詰めの車内を向こうへと逃げて行った。
やがて3つ目の駅、結莉が通うクリニックの最寄り駅に電車は到着した。 電車を降りる刹那、結莉はやっと戸川さんに声をかけた。
結莉
結莉
羽矢斗
結莉
羽矢斗
結莉
戸川は結莉のプライバシーにズカズカ入るようなことをしない。
羽矢斗
と穏やかに答えた。
二人は改札を目指しながら自然と一緒に歩いた。
結莉
羽矢斗
結莉
羽矢斗
結莉
結莉はますます彼の魅力の虜だ。
羽矢斗
結莉
夫は居ない、という点をもちろん、戸川さんに向け印象付ける結莉。
羽矢斗
結莉
それにしても、結莉はクリニックへと向かっているのだが、戸川さんのオフィス『うちわ金魚』もこっちなのか。彼此10分は一緒に歩いているが?
羽矢斗
なんと、クリニックからものの3分の場所ではないか。
結莉
羽矢斗
結莉
手なんか振っちゃって、結莉は極上のスマイルを彼にプレゼントした。
戸川さんはちょっぴり恥ずかしそうに「いってきます」と言い、ビルへ入って行った。
結莉
嬉しくてしょうがない結莉。
結莉
コメント
1件
第5話、読ませていただきました!結莉さんが勇気を振り絞って電車に乗る姿、そして再び痴漢加害者と目が合う場面はハラハラしましたが、そこに颯爽と現れた戸川さん……! あの「にらみ」に胸が熱くなりました。お互いの職場が近いという偶然にもときめきます。結莉さんのポニーテール姿や、皐月ちゃんとの何気ない朝のやりとりも温かくて、親子の絆がじんわり伝わってきました。次回が楽しみです!