赤ペン

期末試験まであと2週間

俺はヘッドホンをつけ 勉強に励んでいた。

ﾄﾞﾝﾄﾞﾝ…ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

ポルターガイストにも聞こえるこの音だが、もちろんそんなことはなく…

最近隣に越してきた3兄弟の足音だ

うるさいが俺は結構子供が好きなので、問題ではない

問題といえば…

俺の赤ペンが失くなり始めたのは約2週間前から

この2週間で7本は買った

そしてすべて消えた

普通に考えても不気味なことだが、 俺にとって《赤ペンが消える》こと…

それは、中学時代の忌わしい出来事を彷彿とさせた

俺たちのクラスは担任の《宮村》という女教師をいじめていた

挨拶は基本シカト、授業も全員でボイコット

最初は退屈しのぎでやっていた

しかし、それらは段々とエスカレートしていき…

気付けば宮村はやつれ、言葉は途切れ途切れだった

そう言い残して壊れた宮村は学校を辞めた

噂ではうつ病になり、失踪したらしい

そう自分に言い聞かせている俺だが、

その心には大きな罪悪感がこびり付いて消えなかった

翌日

幼なじみの悠真も加害者なのだが、まるで他人事だった

その日の夜、俺は静かな部屋で考えこんでいた。

俺の赤ペンのものじゃ…

ﾄｩﾙﾙﾙﾙﾙ…

何故か声が震えていた

俺が言い終わるまでに答えが返ってきた

悠真のお母さんはもう喋れそうになかった

悠真の葬式から数日後

俺は悠真の家に線香をあげに来ていた

身の毛がよだった＿＿＿

その女は【宮村に似ていた】

しかし宮村ではなかった

いつも通りヘッドホンを着けて音楽を流し始めた

ﾄﾞﾝﾄﾞﾝ…ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

いや、待てよ

【ヘッドホンしてるのに足音が聞こえるんだ？】

そう思い、ヘッドホンを外した

そして俺は最悪なことに気付いてしまった＿＿＿

ﾄﾞｻｯ＿＿

押入れから人間が出てきた

それは痩せこけた宮村だった

怖くて動けなかった

手にはナタが握られていた

ｻﾞｸｯ＿＿

ここで速報です

＊＊市の自宅で2人の遺体が発見されました

警察によると女性は自殺、

もう一体の遺体は損傷が激しく身元の特定に時間がかかりますが、おそらく長男の田波 優人さんだそうです

警察はほか2件の事件との関係性も視野に入れ捜査しています

俺死んだのか…

なんであのとき、いじめなんか…

宮村に殺されたけど

引き金を引いたのは俺自身だった