ユキ
ねえ、こんなに堂々と私の部屋にいていいの?
ユキ
侵入者として追い出されると思うけど。
グルッペン
んー?あぁ…妖だったり悪魔だったり、そういうヒトじゃないやつらは自分の姿を操る能力があるから大丈夫だぞ
ユキ
じゃあ今グルッペンは他の人から見たら何に見えてるの?
グルッペン
こけし
ユキ
国間違えてるわよそれ。
えー、と不満気な顔をするグルッペンがおかしくて笑っていると、こんこん、と扉がノックされる。
まずい、今さっきの会話は聞こえてしまっただろうか。
?
お嬢様、失礼します。身なりを整えに、…???
扉を開けて出てきたのは、私の専用執事であるオスマンだ。
首をこてん、とあざとく傾け、私とグルッペンを交互に見つめている。
オスマン
そちらは確か…東の方で作られている人形だと存じますが、何故お嬢様の部屋に?
ユキ
(だから言ったのに…!!)
ユキ
えー…っとね、たまたま城下町に売られているのを見て買ってみたの。
ユキ
ほら、他国の文化を理解するのも大事でしょう?
オスマン
……なるほど、流石お嬢様。異文化交流も大切になされているのですね。
オスマンは賢いから、少しでも異変があるとすぐに気づかれてしまう。
グルッペンには悪いが、他のものに化けてもらうことにしよう。
オスマン
ですがその前に。お嬢様、今日は気分が優れないように見えますが大丈夫ですか?
ユキ
えっ、あ、あぁ。大丈夫、少し寝付きが悪かっただけだから。
ユキ
……悪い夢を、見ていたの。
私にとって、これ以上ない程の悪夢だ。