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美しき記憶

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美しき記憶

3 - 美しき記憶

♥

1

2021年01月25日

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(地下室やと思ってください)

オリビア

ウィリアム…

召使い

オリビア様、ウィリアム様はきっとご無事です

オリビア

…そうよね

オリビア

でも、心配だわ…

召使い

では、様子を見てきましょうか?

オリビア

そんな、危険だからだめよ!

オリビア

私の事は気にしないで

召使い

かしこまりました

オリビア

…………

その時…

「オリビア!オリビア?!」

上から誰かの声が聞こえた

オリビア

(この声は…)

オリビア

ウィリアム!!

オリビア

ウィリアム!

ウィリアム

オリビア!良かった!

私たちは強く抱き合った

ウィリアムの腕の中は暖かくて

少しゴツゴツしていて

改めて男の人なんだと感じた

ウィリアム

怪我はしてないかい?

オリビア

えぇ、大丈夫よ

オリビア

ウィリアムこそ、息が切れているみたいだけど…

ウィリアム

君を探していたんだよ

オリビア

私を?

ウィリアム

あぁ、君が心配だったんだ

オリビア

でも、まだ攻撃は受けていないでしょ…?

ウィリアム

今は…ね

オリビア

それってつまり…

ウィリアム

そう、そろそろ攻撃が始まる

ウィリアム

恐らく爆弾が落とされる

オリビア

…………

私はショックで言葉が出なかった

どんどん人の声が遠ざかっていく

目の前が真っ暗になり

立っているのもままならなくなる

ウィリアム

オリビア!

ウィリアムに抱きとめられ

床への衝突は免れた

ウィリアム

少し休もうか

オリビア

ここじゃ危ないわ…

オリビア

地下室へ行きましょう

ウィリアム

分かった

ウィリアム

歩けるかい?

オリビア

えぇ…

ウィリアム

少し落ち着いたかい?

オリビア

えぇ、だいぶマシになったわ…

ウィリアム

良かった

オリビア

それより

オリビア

どこでさっきの情報を聞いたの?

ウィリアム

僕の父は兵士なんだよ

ウィリアム

それで情報が早いんだ

オリビア

そうだったわね

オリビア

はぁ…爆弾なんて…

ウィリアム

大丈夫だよ、僕が君を守る

オリビア

ありがとう、ウィリアム

オリビア

信頼しているわ

ウィリアムはニッコリと

口角を緩めて笑った

その笑顔がなにか別の意味を含んでいる気がして

ウィリアムがどこかに行ってしまう気がして

背筋に寒気が走った

ウィリアム

……!

その時、外がガヤガヤとし始めた

オリビア

なに…?

オリビア

急に外が…

ウィリアム

皆さん、伏せて頭を守って!

ウィリアムがそういった直後に

大きな音と共に衝撃が走る

オリビア

きゃっ…

ウィリアム

オリビア、大丈夫か?

ウィリアムが私の傍に駆け寄ってくれた

地下室の明かりが消えた中で

ウィリアムだけが見えた

オリビア

ウィリアム…怖いわ…

ウィリアム

僕だって怖いさ

ウィリアム

でも、焦ってはダメだ

ウィリアム

ほら、1度深呼吸してごらん

オリビア

分かったわ…

…………

ウィリアム

マシになったかい?

オリビア

えぇ、少し落ち着いたわ…

オリビア

外は…どうなっているのかしら

ウィリアム

1度見てくるよ

オリビア

気をつけて

オリビア

貴方が居なくなったら私…

ウィリアム

大丈夫だよ

ウィリアム

少し外を見てくるだけだから

そう言ってウィリアムは

闇の中へ消えていった

…………

ウィリアム

オリビア、戻ったよ

オリビア

外はどうなっていたの…?

ウィリアム

怖がらせるような事は言いたくないけど

ウィリアム

…僕らの知っていた街はもう存在しないよ

オリビア

そう…

その言葉だけで理解した

元に日常に戻るまでは

相当な時間と犠牲が必要だということに

オリビア

ウィリアム、外の空気が吸いたいわ

オリビア

外に行ってもいいかしら

ウィリアム

僕がついて行くよ

オリビア

ありがとう

外に出ても

新鮮な空気は舞い込んでこなかった

目の前に広がるのは

昼間のはずなのに火災の煙で黒く染った空

爆風のせいで吹き飛んだ木々

私の知っている綺麗な街並みは

無惨にも消し去られた

オリビア

思っていたより…酷いわ…

ウィリアム

中へ戻るかい?

オリビア

いえ、現実を受け止めないと…

ウィリアム

無理はしないで

オリビア

えぇ…

オリビア

他の人たちは無事なのかしら

ウィリアム

きっと大丈夫だよ

オリビア

そうよね…

オリビア

(そんな心配することは無いわよね…)

ウィリアム

…………

オリビア

ウィリアム

ウィリアム

…………

オリビア

ウィリアム?

ウィリアム

…………

オリビア

ウィリアム!

ウィリアム

……!すまない…

オリビア

どうしたの…?

オリビア

さっきから様子が変よ?

ウィリアム

少し考え事があってね

オリビア

私も居るってこと忘れないでね

ウィリアム

…あぁ

オリビア

それじゃあ、戻りましょう

私が後ろを振り返り

屋敷の中へ戻ろうとした時…

ウィリアム

オリビア…!

ウィリアムに腕を掴まれ

振り返る

オリビア

ウィリアム…?

その直後、ウィリアムは私に

そっとキスをした

優しく、暖かい

お互いの愛情を確かめ合うようなキス

オリビア

ん…

オリビア

…ウィリアム?

煙が少し晴れ、一筋の光が

私たちの間に射し込む

ウィリアム

僕──。

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