テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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殲脳教室

第3話 - 殲脳教室第3話

563

2021年08月31日

#ホラー

#学園

#高校生

七里ハルト

シンジ

（…はっ）

シンジ

（どこだここは）

シンジ

（窓のない、薄暗い部屋）

シンジ

（広いな…もともとは教室か？）

シンジ

（机や椅子も、何もないが）

シンジ

（誰か…いる）

シンジ

（ユウカとサトル、それから…）

シンジ

（知らない生徒がふたり…）

ユウカ

あ、シンジが目を覚ました

ユウカ

シンジ、大丈夫？

シンジ

ああ、ひどいもんだ

シンジ

体のあちこちが痛い

ユウカ

掃除屋にあれだけ殴られたもんね

シンジ

あいつら、無表情で殴ってきやがる

シンジ

しかも一切容赦しない

シンジ

恐ろしいやつらだ

シンジ

ところで…ここはどこ？

ユウカ

旧校舎のなか

サトル

ううっ……

サトル

まさか、こんなことになるとは

サトル

僕は何も悪いことしちゃいないのに…

サトル

誰かーーっ！！

サトル

ここから出してーーっ！！

男子

あー、うるせえな

男子

なに言っても無駄なんだからよ

女子

…ほんと、静かにしてください

女子

私も…

女子

パニックで気が狂いそうなんです…

シンジ

俺は2年生のシンジ

シンジ

こっちは、ユウカとサトルだ

シンジ

君たちは？

男子

3年のマサトだ

女子

私は1年生のミナです…

シンジ

いつから、ここに？

マサト

俺は今朝からだ

マサト

昨日の夜、ダチと遊んでて

マサト

うっかり寝坊した

マサト

速攻で学校に走ってきたんだけど

マサト

3分の遅刻。たった3分だぜ？

マサト

それで、ここへ連れて来られたんだ

マサト

ったく、ふざけやがって！

ミナ

私は昼からです…

ミナ

生活指導の男の先生に呼び止められて

ミナ

透けて見える下着が白じゃないって言われて…

ミナ

無理やりシャツを脱がされたんです…

シンジ

はあ？なんだそれ

ユウカ

校則で下着は白って決まってるの

ユウカ

それにしても、ひどすぎる

ユウカ

セクハラじゃん！

ミナ

白い下着の洗濯を忘れてて

ミナ

仕方なく薄いベージュにしたのに…

ミナ

ベージュだって派手じゃないのに…

ミナ

ううっ…

マサト

あーメンドくせー。泣くなよ

マサト

イライラするぜ！

シンジ

まあまあ、落ち着きましょう

シンジ

ところで、この部屋はなんだろう

マサト

なにって、待機部屋さ

シンジ

と言うと？

マサト

最初はここに、あと2人いたんだ

マサト

でも数時間おきに

マサト

1人ずつどこかへ連れて行かれた

マサト

これは噂で聞いたんだが

マサト

”更生クラス”に入る前に

マサト

体のどこかを改造されるらしい

マサト

その処置は、1人ずつしかできない

マサト

だから俺たちはこの待機部屋で

マサト

順番待ちってわけだ

シンジ

（処置か…）

シンジ

（いったい何を、されるんだろう）

サトル

い、いやだ！

サトル

処置なんか受けたくないよ！

サトル

ここから出してくれーー！！

ドンドン！！

マサト

ドアを叩いたって無駄だって

マサト

誰も助けちゃくれねえよ

マサト

俺は絶対に

マサト

隙を見て、逃げ出してやる

マサト

おまえらも、そこらへんに座れよ

マサト

今はどうにもならねえんだから

マサト

おとなしくしてろ

シンジ

ああ、そうする

シンジは部屋の隅に、ユウカと並んで腰を下ろした

ユウカ

あのさ…

ユウカ

ひとつ聞いてもいいかな

シンジ

なんだ？

ユウカ

アンタ、最初っから

ユウカ

ここに来るのが目的だったでしょ

ユウカ

いったい、どういうことなの？

ユウカ

てか、アンタ何者？

シンジ

何者って言われても…

ユウカ

ここまで来て、隠さなくてもいいでしょ

ユウカ

どうせ、私たちも

ユウカ

改造されちゃうんだから

ユウカ

最後に、本当のこと教えてよ

シンジ

…ふう

シンジ

仕方ないな

シンジ

君だけに教えるよ

シンジ

だけど内緒にしてくれ

ユウカ

うん、わかった

シンジ

実は中学の時に

シンジ

俺はこの町に住んでいたんだ

シンジ

幼馴染のカコっていう彼女がいた

シンジ

すごく頭が良くって

シンジ

性格は大人しくって、おっとりしてて

シンジ

…君と正反対かな？

ユウカ

どうせ私は騒がしくって、ガサツな女ですよ！！

シンジ

気に障ったんなら、ごめん

シンジ

カコは小さい頃からずっと一緒だったから

シンジ

俺たちには強い絆があったんだ

ユウカ

絆だなんてクッサ

ユウカ

でもまあ、そういうの嫌いじゃないけど

シンジ

高校も、一緒に新生高校に通うつもりだった

シンジ

だけど中学を卒業する直前に

シンジ

俺の両親が車の事故で死んでしまった

ユウカ

そうなんだ…

シンジ

俺と妹のアヤは

シンジ

遠い田舎の親戚に引き取られた

ユウカ

カコちゃんと、離れ離れになったんだね…

シンジ

あっちに越してからも

シンジ

毎日欠かさず連絡を取り合ってたよ

シンジ

夏休みになったら、絶対会おうって

シンジ

それだけが楽しみだったんだ

シンジ

だけど、3ヶ月前…

ユウカ

この学校に”更生クラス”ができた

シンジ

うん

シンジ

それからカコの様子がおかしくなったんだ

シンジ

ひどく怯えていて

シンジ

次第に連絡も取りにくくなって…

シンジ

最後に届いたメッセージは

シンジ

”助けて！”だ

シンジ

それっきり、電話もLIMEも通じなくなった

シンジ

カコに、なにかあったに違いない

シンジ

俺は、ここへ戻ることにした

シンジ

カコの行方を追うために…

ユウカ

そうだったんだ…

シンジ

調べてみたら

シンジ

カコがいた家は、空室になっていた

シンジ

近所の人に聞いても

シンジ

誰もが行方は知らないって言う

シンジ

新生高校に通っていたはずなのに

シンジ

どうやら、それは”更生クラス”と関係がある

シンジ

その結論にたどり着いたんだ

ユウカ

なるほどねー

ユウカ

”更生クラス”にカコちゃんがいるってこと？

シンジ

そうだと思ったんだが

シンジ

昨日、”更生クラス”から

シンジ

生徒たちが出てくるところを観察したけど

シンジ

カコの姿はなかった

ユウカ

閉じ込められている生徒もいるのかも

シンジ

さあな

シンジ

とにかく、ここへ来ればなにかわかるはずだ

ユウカ

そうね…

ユウカ

タケルが死んだ理由もわかるかもしれない

バタン！

突然、ドアが開いた

姿を現したのはスーツ姿の若い女性と、3名の掃除屋

スーツ姿の女

みんな、大人しくしてるかな

マサト

誰だ、てめえ？

スーツ姿の女

私は施設長の神崎カオリ

神崎

施設の見回りをしているの

サトル

あ、あのっ！

神崎

あら、なにかしら？

サトル

こ、ここに連れてこられたのは

サトル

先生の勘違いなんです！

サトル

ぼ、僕は何も悪いことなんかしてません！

サトル

だから、ここから出してください！

神崎

そうなの

神崎

間違って、ここに連れてこられただなんて

神崎

それは大変だったわねえ

神崎

さぞや、苦しい思いをしたことでしょう

神崎はひとりの掃除屋のほうを向くと

そのほおを、思いっきり引っ叩いた

パシッ！！

神崎

しっかり確認しないから

神崎

こんなミスが起きるんだよ！

掃除屋

…すみません

神崎

さて

神崎

これでスッキリしたかしら？

サトル

は…？

神崎

誰でもミスは犯すもの

神崎

だけど、それを許すことが大事

サトル

ちょ、ちょっと待ってください！

サトル

ぼ、僕はどうなるんです？

神崎

私の役目は、部下を管理すること

神崎

君たちに関しては

神崎

私の知ったことではない

サトル

そ、そんな…

神崎

さてと、次の処置は…

神崎

高橋マサトくん、あなたの番ね

マサト

…くっ

神崎

たっぷり可愛がってあげるわ

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七里ハルト

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