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流星の病気が判明して2ヶ月。 今日は、メンバー全員での YouTube撮影で、 ボウリング場を訪れていた。
大西流星
高橋恭平
今日の企画は、
2人1組ペアボウリング‼︎
きょろりゅちぇ、 丈橋、 道長の3チームに別れて 1ゲームの試合を行い、 合計スコアが1番チームの優勝。 という単純な企画やった。
結果は、きょろりゅちぇチームの圧勝。
YouTube撮影上での 俺のポジションは、司会進行役。 ファンの皆さんに 楽しんでいただけるよう、 メンバー一同心を込めて毎回の 撮影に臨んでいる。
と、いうのも。
最近、少しだけやけど、 流星の物忘れが 増えてきたような気がするから。 流星を含めたなにわ男子7人で、 揃って撮影できる動画が 後何本あるか、分からんくなってきた。 やから、最近の動画は特に、 ファンの皆さんも、自分たちも 楽しめる動画作りを心がけている。
西畑大吾
西畑大吾
西畑大吾
西畑大吾
大西流星
高橋恭平
大西流星
高橋恭平
大橋和也
藤原丈一郎
大橋和也
道枝駿佑
長尾謙杜
西畑大吾
なにわ男子
最近、流星の心の底から笑っている笑顔が増えてきているような気がする。 でも、俺は知っとるよ。 夜中に1人で泣いてる、流星の姿を。 少しずつ、自分の記憶が 怪しくなっている不安からか、 携帯のメモのフォルダが 凄い勢いで増えていることも。
みんなとの思い出を、 少しでも覚えていたい。 いつの日か、流星が 話してくれた言葉やった。
この思いを何とか未来に繋ぐため、 流星は必死に、自分にできる 最大限の努力をしとる。 決して俺たちとの思い出を 忘れんように。
そして、そのことを知る俺たち6人は いつも、流星が報われることを 願っている。 きっと流星は、俺たちに努力がバレる ことを嫌がると思うから。 だから俺たちは、ずっと 何も言わず、流星を見守っとるよ。 また1人で抱えきれんくなる前に、 誰でも頼ってええからな。
ご褒美企画考案で盛り上がるメンバーを見てニコニコ微笑む流星の姿が、 愛おしくて仕方がない。
やっぱり流星が、 なにわ男子に残ってくれてよかった。
そんな幸せを俺は、暫く1人で 噛み締めとった。
帰り道。
長尾謙杜
大きく伸びをして謙杜が叫んだ。
大橋和也
道枝駿佑
西畑大吾
高橋恭平
大西流星
藤原丈一郎
和気藹々とした雰囲気の中、 流星は一言も喋らへんかった。 いち早く異変に気がついた丈くんが 流星に声をかけるけど、 流星は全く反応せん。
大西流星
それどころか、その場で足を止めた 流星の全身が痙攣し始め 呼吸は早く浅くなっていった。
西畑大吾
高橋恭平
大西流星
助けて。
その一言を聞いた時、 俺はホンマにヤバいと思った。
それは流星が、 俺たちに本気で 助けを求めるのを見るのが 初めてやったから。
大西流星
高橋恭平
遂に自分の力で立っていることが できなくなった流星は、 近くにいた恭平の方へ倒れ込んだ。
間一髪で恭平が流星を受け止め、 そのまま介抱する。
高橋恭平
恭平以外、誰も動かなかった。
いや、動けなかった。
高橋恭平
西畑大吾
足がすくむって、こんな感じなんや。
なんて、心ではどこか他人事に この状況を捉えている自分がいた。
高橋恭平
珍しい恭平からの喝に、 俺はハッとした。
西畑大吾
俺は、地面にグッタリと垂れていた、 流星の冷え切った小さな手を 優しく暖めるようにギュッと包む。
流星の手は、ゾッとする程 冷たくて、全く力が入っとらんかった。
高橋恭平
藤原丈一郎
大橋和也
恭平の指示で次々と 動き出すメンバー達。
恭平、ホンマにありがとう。
高橋恭平
長尾謙杜
道枝駿佑
長尾謙杜
狼狽える謙杜に寄り添い、 覚悟を決めたみっちーの姿は めちゃくちゃ頼もしかった。 みっちーに声をかけられ、 少し安心した様子の謙杜には、 血の気が戻っとる。
2人とも、ほんまに 大人になったな…。
流星の体で起こっていることへの不安と 2人の成長を目にした俺は、 何故だか涙が止まらんくなってた。
長尾謙杜
道枝駿佑
大西流星
2人の声を懸命に聞きながら、 時折苦しそうに身を捩る流星の額には、 大量の脂汗が浮かんでいる。
小さく何かを喋っている 流星の口元に耳を近づけ、 一言も聞き流さんように 耳をそばだてた。
大西流星
薄く目を開けて、 大きく肩で息をする流星の意識は、 今にも途絶えそうやった。 でも、俺の手を握る強さは 痛いくらいに強くて、それだけの力を 入れへんと耐えられない程に 流星が苦しんでいることを 嫌でも意識させられる。
藤原丈一郎
大橋和也
外部に連絡を頼んだ2人が無事に戻り、俺たちは6人で流星を囲んでいた。
苦しい…。
大西流星
自分の呼吸音だけが、 やけに大きく聞こえた。
西畑大吾
大ちゃん、泣かんでよ。 僕、大丈夫だから。
藤原丈一郎
ほら、丈くんにも怒られとるやんか。
高橋恭平
恭平、ありがとう…。 わざと、俺が安心できそうな言葉 選んでくれてるやんな。
大橋和也
大橋くん、聞こえとるよ。 もうちょい頑張れば、 救急車が来るんやな?
長尾謙杜
道枝駿佑
謙杜、みっちー。 心配かけてごめんな。
ドクンッ
身体ん中で、ありえへん音がした。
大西流星
全身を突き刺すような痛みに パニックを起こした脳が、 僕の体を支配した。
自分の意思ではなく、 手足が暴れ出す。
息が上がり、過呼吸みたいになった。
冷や汗が止まらへん。
大橋和也
藤原丈一郎
大橋くんと丈くんが、 僕を押さえつけて動きを止める。
でもー。
大西流星
次々に襲いかかる痛みを逃そうと、 体が何度も跳ねて、2人の邪魔をする。
しまいには、全身が痙攣し始めた。
大橋和也
藤原丈一郎
もう、2人の声も聞こえへん。
俺、死ぬのかな…。 もう少し、生きていたかってんけど。
ずっと手を握ってくれていた 大ちゃんの温もりを感じながら、 僕の意識は闇へと堕ちていった。