テラーノベル
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転校初日、レン(主人公)は新しい学校の校門をくぐることさえ億劫だった。首にかけたヘッドホンからは、昨夜完成させたばかりの自作ボカロ曲が、激しいビートを刻んでいる。 実家のライブハウスで酔客や荒くれ者を見て育った彼にとって、高校という箱庭は退屈でしかなかった。
レン
鋭い眼光。少し乱れた制服。校内を歩くだけで周囲がサッと左右に割れる。本人はただの「お人好し」なのだが、その雰囲気のせいで、周囲からは「近寄るな危険」のレッテルを貼られていた。 放課後。レンがイヤホンを直し、裏門の近くを通りかかったときだ。 数人の男たちが、一人の少女を囲んでいるのが見えた。
モブ1
ヒナ
そこにいたのは、クラスで「太陽」と呼ばれている美少女、ヒナだった。 昼間はあんなに明るくクラスの中心にいた彼女が、今は顔を真っ赤にして、震えながら足元を見つめている。彼女の「超人見知り」が発動し、パニックで声が出なくなっているのだ。
モブ2
不良の一人がヒナの腕を掴もうとした瞬間――。 ドカッ!!! 鈍い音と共に、その不良が地面に転がった。
モブ3
他の連中が振り向くと、そこには無表情でヘッドホンを首にずらしたレンが立っていた。
モブ4
レン
レンは一歩踏み出し、冷たい視線で男たちを射抜く。その圧倒的な威圧感に、不良たちは「ひいっ!」と声を上げ、一目散に逃げ出していった。 静寂が訪れる。レンは地面に座り込んで震えているヒナに、ぶっきらぼうに手を差し伸べた。
レン
ヒナ
ヒナは顔を上げた。夕日に照らされた彼女の瞳は、潤んで揺れている。 レンは(怖がらせたか?)と思い、そっと手を引こうとした。しかし――。
ヒナ
消え入りそうな、でも一生懸命な声。 そしてヒナは、レンの大きな手を、両手でギュッと握りしめた。
レン
レンの心臓が、自作のアップテンポな曲よりも速く、ドクンと跳ねた。