金田
あいうえお
金田
よし、動作確認はオーケーだ。
金田
遺言を残すのにバグなんて嫌だからね。
金田
おっと、背景が白だと雰囲気出ないね。
金田
よし、
金田
この度、金田昭彦はこの世から消えます。
金田
別にこの世界に絶望したわけではありません。むしろ希望すら感じています。
金田
これから、私がこの世を去るに至った経緯について出来るだけ詳細に伝えさせていただきます。
金田
今日、インターネットの世界は急速なスピードで拡張しており、もはや我々が立っているこの世界にも多大な影響を与えうる存在となりました。
金田
言わば、もう一つの宇宙とでも表現できるでしょう。
金田
我々は、その止まることのない進化に恐怖を覚えながらも、それに段々と適応していきました。
金田
そして、二年前、アメリカが以前から反対を受けていた国民アカウントなる物を、「テロから国民を守るため」という理由をつけ、半ば強制的に導入しました。
金田
それは戸籍とともに、国民に所持が義務付けられたものであり、これにより、国民は四六時中監視されることとなり、その人物が関わった事件記録はそのアカウントと関連づけられ、犯罪歴のある人間、精神異常者などは特に強く監視されることとなりました。
金田
言わば匿名性の消滅です。
金田
しかし、最初こそ様々な問題や、痛烈な批判があったものの、日を追うごとに犯罪率は低下し、ついに国民アカウント実装後一年経った時には重大な犯罪は殆ど見ることはなくなりました。
金田
つまり、国民アカウントは、犯罪を未然に防ぐことに成功したのです。
金田
この流れに乗ろうと、様々な国がこれを導入しました。
金田
いつか、地球上には、「誰の目にも届かない場所」など存在しなくなりました。
金田
これにより、犯罪者は一瞬にして社会的にかつ合法的に殺害されることとなり、犯罪行為とは、言わば自殺行為と同義となり、そのようなことを自ら実行するなどということをしなくなりました。
金田
我々は、自由という犠牲を払い、平和という対価を得たのです。
金田
誰もが平和を享受する時代。とても素晴らしい物です。
金田
ところで、今や殆どの世界で適用されている国民アカウント。これは私が開発に携わっていた事は、このファイルを見ている方々はご存知でしょう。
金田
ならば、そのサーバー維持に、私の生命状態が同期されていることもまた、お知りになられているでしょう。
金田
そう、私が死ねば、全世界のサーバーはダウンし、復旧までには多大な影響が出る。勿論、その間には犯罪行為も記録されない。アカウントで管理されている全世界のライフラインも一斉に止まる。
金田
そして、私の死により、すべての秩序は崩壊する。善も悪もない、真の意味での自由を私は人類へと与える。
金田
私は人類の、自由の生贄となるのです。この管理された楽園を、秩序なき失楽園と変えるため。
金田
これが私の遺言であり、世界管理への宣戦布告でもあるのです。
神路秋介
見たか?これがヤツの、金田昭彦博士の遺書だ。
神路秋介
ふざけている。こいつが構築した管理の楽園を、こいつ自身が破壊しようというのだからな。
矢田健
…
佐田剛
つまり、今回のミッションってのは…
嘉村橙子
金田博士の自殺行為を止めろと…?
神路秋介
その通りだ。今回貴様ら、特殊警察部隊に集まってもらったのは他でもない。
神路秋介
金田昭彦の発見と、その確保。なんとしてでも、ヤツに死を与えるな。いいな!!






