それ、怪我?
え、
うん、『怪我』
…そっか、
窓から吹き付ける風が
不気味なくらい冷たい。
手首に巻き付けた絆創膏を、
かじかんだ指でなぞる。
…これは、おまじないで
目の前の人が、好きだから。
昨日、試した
…だけ、のはず。
粘着力の弱い絆創膏。
今にも剥がれそうだった。
どうして怪我したの?
え、
予想外の質問。
え、えっと
紙、で…
…ふーん、
ちょっと、見せて
え、
流石にそれは、なんて
…もう、どうにでもなれ。
…いーよ、
ありがと、
彼は、柔らかな笑みを浮かべてから、
優しく、絆創膏を剥がす。
…ああぁ、見えちゃうな。
…っ、これ、
…ごめん、
私の手首にあるのは
怪我 なんかじゃなくて、
…おまじない。
恋の、怪我。
絆創膏。