2戦目も勝利を勝ち取った私達は遂に決勝へ。
クラスメイト
クラスメイト
雨歌
クラスメイト
直前まで男子の決勝を観戦して、男子が勝利を掴んだ瞬間を見た女子は気分が上がっていた。
勝利ゴールは勿論豹馬。
そしてMVPも豹馬。
サッカーのことは何も分からないけど、天才と呼ばれるだけ才能があるんだろうな。
先生
審判の先生の声に皆吸い込まれるようにエンドラインに整列する。
相手チームは予想通り沙羅達のいるB組。
ルール上、バレー部は試合で2人入っていいことになっている。
勿論、相手チームのスタメンにはバレー部が2人。
私もスタメン。
つまり、私と相手のバレー部2人との一騎打ちになるわけだ。
クラスメイト
雨歌
現役と試合とか気分が乗らないけど、私しか経験者は居ないし仕方がない。
ベンチのクラスメイトに励まされてコートに足を進めた。
皆絶対優勝モードになってるし、動かなすぎて戦犯になるのは嫌だ。
あっちのキャプテンと私でじゃんけんして、勝ったのでサーブは味方から。
放たれたサーブは不幸にもバレー部の子に綺麗に取られてしまい、そのままトスは彼女へ。
そして此方を向いていたはずの彼女は私では無く別の人の方へスパイクを打った。
あの方向だったら間違いなく私の方に打たれたのに。
経験者だから危険視してるんだな、とすぐわかった。
ていうか、めっちゃ容赦してないよね。
クラスメイト
クラスメイト
雨歌
一瞬だけ脳裏に過った赤髪にお返しで良いところを見せたいと思ったなんて死んでも言わない。
千切side
決勝を終えて無事勝利し、女子の応援をしに体育館へ。
佐藤
中村
足を一歩踏み入れると、先に到着していた佐藤達の熱気が伝わった。
試合は終盤に差し掛かり、23‐21でうちのクラスが勝っている。
中村
千切 豹馬
中村がそう言った直後、雨歌がスパイクを決める。
周りの熱気に煽られたのだろうか。
普段はのんびりしている雨歌が、今は真剣な表情でプレーしていた。
あまり見ることのない姿にギャップを感じ、更に雨歌の虜になったのは心の中に閉まっておく。
それからは瞬きも忘れて彼女のプレーに釘付けになった。
中村
佐藤
男子の野太い声援で我に返った。
今はデュースで、先に2点差つけた方の勝ち。
ここで点を取ってしまえば、後は1点を取るだけだった。
雨歌
大勢の声をかき分けるかのように俺の耳にはっきりと聞こえた声。
視線の先にいる雨歌がサーブを打つ為にボールを左手で持ちながら右手で俺に指を指す。
千切 豹馬
バシンッ!!
雨歌の放ったサーブは恐らく素人であろう女子で。
…だが、まずいと思ったのかバレー部の女子がその女子の前に入りレシーブする。
そして恐らくバレー部であろうセッターがバレー部のアタッカーへトスを上げる。
そしてバレー部のスパイク。
バシッ!!
雨歌
雨歌は受け止め、セッターの元へしっかり返った。
そしてセッターの手元に吸い込まれたボールは美しい放物線を描いて幸運にも雨歌の元へ上がった。
雨歌はあの時のように、美しい鳥のように飛び上がり、ボールを誘う。
そして雨歌に誘われたボールは雨歌の手によって思いっきり打ち込まれる。
バシッッッ!!!
ピッ!
雨歌の放ったスパイクは相手コートのエンドラインへ鋭く突き刺さった。
佐藤
中村
誰もがこの試合に熱中して、ボールの行方に気を取られる。
だからきっと、雨歌にしか興味のない俺だけが見ていた。
彼女がもう一度、
左足から崩れ落ちる瞬間を。
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