優璃
私は、あまり外に出られない
出られたとしても持って5、6時間。それ以上は鬼と同様、陽の光によって死ぬ。
だからこの赤い和傘を片手に出かける。これは100年経っても変わらないこと。
優璃
かなり歩いた。南下よりはまだマシ。
任務場所に近い商店街のような町に着いた。私はまずそこで…、
優璃
そうそう、これらをまずはここで揃えた。私は匂いでしか分からないから茶葉は時間がかかったけど、何とかできた。
優璃
優璃
買い揃えて出れば外は雨が降っていた。小雨、でも濡れるのはあまり好みでは無いので傘をさして歩く
私にとって茶は唯一の至福。そして、母上が衰弱した私に少しずつ飲ませてくれた、救い。
優璃
突然の強い風
私の傘が、彼方へ飛んでいってしまった
雨を凌げるものはなく、大きな木だけが唯一だった
優璃
雨は 勢いが強くなる
小雨ではなく 大雨
優璃
でも、どうしてだろう
雨に打たれていると、昔の記憶が鮮明に蘇ってくる
冷たい雫が 私の穢れた顔を少しずつ洗い流す
この身に染みついた血肉を 死水を洗い流す
この雨の日でさえ、私は人斬りとして大勢の人間を斬って葬ってきた
依頼人のため?雇い主のため?
いいや違う
全ては自らの『死』の欲求のため
優璃
ああ 冷たい
血を流して死んでゆく侍と同じ冷たさ
私に刃を向け そして無様に死んでいく剣士たちの冷たさ
優璃
もう一度 もう一度この刃で
???
私の『死』を
???
お前たちの『死』を
???
???
???
優璃
優璃
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