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創作BL
- プロローグ -
王都レイヴァーンは、 夜になると別の顔を見せる。
昼は市場の喧騒と商人たちの声で満ちるこの街も、 日が沈めば、灯りの下に笑顔を並べながら、 その裏で暗い取引と陰謀が渦を巻く。
人々が知らない場所に、影が蠢いている。 その影のひとつが――ファルタスだった。
彼は三十二歳。 十代の頃から裏の世界に生き、数えきれぬほどの任務を遂行してきた。 冷徹な判断力と、感情を殺すことを厭わぬ心。 それらが彼を「最も信頼できる諜報員」と呼ばせてきた。
その夜も、彼は王宮の外縁に潜入し、密かに文書を抜き出していた。 灯火を頼りに文字を追う侍従の足音を避けながら、 背筋をまっすぐに伸ばす。 音を立てないことにかけては、熟練の技だった。
しかし――街に戻った後、胸の奥に奇妙な違和感が残った。
“誰かに見られている”感覚。
尾行はなかった。 気配も殺していた。 だが、背中にまとわりつく鋭い視線のようなものが、 どうしても消えなかった。
その感覚は、数日後、形を持って現れることになる。
第1章 影の中の邂逅
- 出会い -
月が欠け、闇の色が濃く落ちた夜だった。 王宮の東棟は表向き倉庫として使われていたが、実際には重要文書を一時的に保管する秘密の部屋が存在していた。 そこへ、ひとりの影が忍び込む。
――ファルタス。
三十二歳にして、数えきれぬ潜入任務をこなしてきた男。 彼の動きは淀みなく、呼吸は深く静か。 扉の開閉にかける時間は一瞬、足音は風に紛れるほどに薄い。 文書室の扉を開いた時も、彼は当然のように成功を確信していた。
だが、棚に手を伸ばしたその瞬間。
#_Landol Renia
訳 ) ... や っ ぱ り 、い た 。
背後から、若い男の声が響いた。
ファルタスは反射的に振り返る。 そこに立っていたのは、黒衣に身を包んだ青年 ――ラントル。
顔立ちはまだ若く、鋭さよりも瑞々しい精悍さが目立つ。 だが、その瞳は獣のように光り、標的を見逃さぬ狩人の気配を放っていた。
#_Faltas Ray
訳) あ な た ……ど な た で ご ざ い ま す か ¿
ファルタスは声色を崩さず、丁寧に問い返す。
#_Landol Renia
#_Landol Renia
#_Faltas Ray
胸の奥で冷たいものが走る。 気配を殺し続けた自分が、若造に尾行されていた――? 信じがたいことだった。
ラントルは一歩前に出る。 その足取りに迷いはなく、完全に獲物を仕留める狩人のものだった。
#_Landol Renia
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ファルタスは唇の裏で奥歯を噛む。 長年の経験が、逆に正体を暴く手がかりになったというのか。
#_Faltas Ray
#_Landol Renia
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青年の瞳が、夜の闇を突き破るようにまっすぐに向けられる。 ファルタスは、初めて自らの仮面に綻びを感じていた。
初連載
お目にかけて頂き有難う御座います。
これからも引き続き宜しく御願いします。
ではまた次回。
next ♡2000