死番

金には困っていない。

だけどまた ソレ に会うような気がして 一人の時間をなるべく減らしたい。

あのときの声。

黒いフードから垂れる髪に ボロボロの黒いズボン。

そこにはもっとも恐れていた ソレ の姿があった。

「「死番」」 2

荷物を持ち、人がいる方へスタスタ歩く。

ソレ から離れたい。

誰か他の人がいるとこへ行きたい。

歩く足を速める、 いや、走ってるのかもしれない。

まさか、と思い後ろを振り向く。

そこにはフードを被っている ソレ がいるのに。

そう、スタッフのカードを首から外し ゴミを見るような目でカードを見る

そう言い、フードを取る。

暗闇では見えなかった長い白髪と 赤色と黒色のオッドアイ。

青白い、血が回っていなそうな肌。 それを覆す、不安を唆る美貌。

全身に寒気がした。

ニコニコ笑う顔はどこか楽しそうで 不気味さを増す。

脚の力が抜け、その場に腰を落とす。

目の前にいる ソレ が怖い。

逃げたい、逃げたい

ソレ はかがみ込み、耳元でそっと言う。

赤の黒い目が背筋を刺す。

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