コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ワトリーの携帯が鳴った。ポテトからの連絡だ。
「ワトリー、リックの死について調べたところ、
3年前の出来事で彼はドラッグの中毒死として事故扱いされていた
でも妙なことがあって、売人だったリックが扱っていたはずのドラッグが全て消えていたんだ」
ポテトの言葉にワトリーは眉をひそめた。
「きっとドラッグが資金源だったのだ。それが消えたとなると、
不良グループにとっては大問題だったのだ。」
ポテトが続ける。
「うん、それで、姿を消したシオンとサリーがターゲットになった。
彼女たちを追う理由としては筋が通るね。」
「……そうか。でも、一度ヴィクターが間に入って手を打ったはずなのだ
あの時点で和解が成立していたんなら、今さら手を出してくるのは妙なのだ?」
「たしかに。ただ、何かきっかけがあれば話は別かもしれない。
明日、不良グループに会って直接聞くしかなさそうだね。」
「分かったのだ。」ワトリーは携帯をしまい、険しい表情で考え込んだ。
真実を掴むには、不良グループとの接触が不可欠だ。
リックの死後、シオンとサリーが突然姿を消した。
そのグループは、今もシオンを恨んでいるかもしれない、
ストーカーや犯行の動機は十分にあるといえるだろう。
ワトリーの胸に嫌な予感が広がる。
シオンのもう一つの秘密。おそらく犯猫は子供の存在を知っていて
子供を使ってシオンを脅したのか?
その時、デイビスがふと目を細めて問いかけた。「不良グループが絡んでいるのかい?」
「うん。でもまだわからないのだ」 ワトリーが答えると、デイビスは顔をしかめた。
「へぇ…なんだか気持ち悪いねぇ。さっきのファンといい、自分勝手なやつらが多すぎるよ。」
ワトリーは頷いた。「そうなのだ。シオンも、ずっとストーカーに怯えていたのだ。」
「なるほどねえ。じゃあ、そのストーカーが彼女を…?」
ワトリー
「でもおかしいのだ。この楽屋は関係者しか入れない場所のはずなのだ
犯猫は関係者に成りすまして、シオンを狙ったんじゃないかとボクは思うのだ。」
デイビスは眉をひそめ、ゆっくりと考えを整理するように言った。
「でもエイミーさんが楽屋に入る前まで生きていたんだろう?」
ワトリーはすぐに首を振った。
「きっとサリーが出ていったあと、エイミーが来るまでの間に殺害されたのだ」
デイビスは小さくため息をついた。「密室ってことか。おじさんには、さっぱり見当がつかないよ」
ワトリーは目を細め、防犯カメラの映像を見つめた。
そこへ清掃員のジムがやってきた。
「やぁデイビス」
「ジム、遅くまで仕事だったのかい?」
「ああ、今日は大変な一日だったよ」
二匹は今日あったことを話し始めた。
ジム「この様子じゃ、明日も撤収作業があるだろうね」
デイビス「そうだな。まだ機材も残っているからね」
ジム「明日も忙しそうだし、そろそろ帰るよ」
「ああ、きおつけてな」といい、デイビスは裏口の扉のロックを外し
ジムは帰っていった。
ワトリーは防犯カメラの映像をみながら
そしてふと顔を上げて、「デイビス、この映像は誰かに渡したりしてない?」
デイビスは少し驚いたように眉を上げ、すぐに穏やかに笑って答えた。
「警察にはデータを渡したけど、他には誰にも見せていないよ」
「じゃあ、事件があったときから誰にも見せてないのだ?」
「うん。それは保証するよ」
「わかったのだ」とワトリーは軽く頷いた。
デイビスは少し疲れた様子で時計を見た。「そろそろいいかな、もうここも閉めたいんだ」
「うん、ありがとうなのだ」
「じゃあ、一緒に出ようか」とデイビスがカードキーを差し込み、ドアを開けた。
ワトリーは会場を出て、夜の冷たい空気を吸い込んだ。
薄暗い街灯が点々と続く道を一人歩きながら、ぽつりと呟いた。「フェリス…」
彼の友人であり、導き手だったフェリックス。いつもなら隣で穏やかにアドバイスをくれる存在だ。
しかし、今はいない。ワトリーは自分が一匹で真実を追わなければならない状況を噛みしめた。
「フェリスなら…もう犯猫を見つけているはずなのに。ボクはまだ…」と、
ふと自嘲のように笑った。
ポケットに手を入れると、柔らかい紙が指に触れた。それはエイミーが渡してくれた舞台のチケットだった。
彼女が喜びいっぱいの瞳で、「私のデビューはワトリーくんに絶対見てもらいたいの」と言って笑顔を
見せた日のことを思い出す。
ワトリーはぎゅっと目をつむり、こみ上げる涙をそっと拭った。
そして、決意を新たにしたように顔を上げると、エイミーのために捜査を続けようと静かに歩き出した。