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4限目終了のチャイムが鳴り、昼休みに入る。僕は一直線に屋上へと向かった。このまま授業を受けていたら心臓が持たなさそうだったし…
「…あ、弁当持ってくるの忘れた……ま、いいか… 」
司くんの歌っているプレイリストをイヤホンで聴きながらぼーっとすると眠くなってきた。ん…ちょっとぐらい寝ても……いい…よね………
「………ろ…く…かみ…くん~?」
うるさいなぁ………頬をぺちぺち叩いてくる手を払う。…次は肩を揺らしてきた。どうせ瑞希だろうなとか思いながら抱き寄せる。
「っ?!!え、かみし…」
「ん〜、もうちょっと寝かせてぇ……、ん…?」
抱き寄せた相手を見ると明らかに瑞希ではない髪色だった。というか、この金色の髪色って
「?!!!っつかさくん?!!!ごっごめんなさい!?」
「うおっ?!こ、こちらこそすまない!」
慌てて手を離す。僕、推しをだきしめっ、思い出すだけで恥ずかしくなってきた…っ!!
「本当にごめ……?…このブレザー…」
「ああ、気持ちよさそうに寝ていたからな。はっ!嫌だったか?!」
「う、ううんっ!ありがとう…っ!」
ぐうーーーっ
お礼を言った直後僕のお腹から大きな音が鳴る。そういえばお昼食べてないんだった。余計恥ずかしくなってその場から逃げようと立とうとする、が、司くんに止められた
「神代くん、昼食べてないのか?」
「う….実は家に弁当を置いてきてしまって…」
そう言うと司くんは少し考えた後、手に持っていた弁当箱を差し出した
「良ければこの弁当、食べるか?」
「えっ?で、でも、天馬くんに悪いし…」
「じゃあ半分こしよう!」
「え?いや、そういう訳じゃ…っ」
司くんは手際よく弁当を開き、僕に生姜焼きを差し出す。二次創作でしか見たことの無い『はい、あーん♡』みたいな事をされた。僕は本当にダメかもしれない。明日死ぬかも
「神代くん、ほら」
「えっ、…あ、あー………ん、…わっ、美味しい…です、…っ!」
「!!、それは良かった!口に合わなかったらどうしようかと…」
「…これ、天馬くんが作ったの?」
「ああ!」
衝撃の事実に息がヒュッとなった。つ、司くんの手作り弁当をあーんで頂くなんて…、し、し、しかも、関節キ…………
「わ“ーーーっ!!!」
「どわぁっ!?どどどどうした?!!」
「ごめんなさい!!ちょっと考え事をしててっ!」
これ以上考えるのはやめよう……このままだと本当に死んでしまう…
この後の5、6限目の授業は昼休みの出来事のせいで何も頭に入ってこなかった…
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