(何だ?胸が。)
「・・・・ッ。」
「オーター、オレはただお前の傍でお前の生き様を見ていられればそれで良いと思ってた。でも、お前といるうちにそれだけじゃ足りなくなった。こうしてお前に触れたい、お前をオレのものにしたい、そう思うようになったんだ。オーター、お前が欲しい。お前の全部オレにくれ。」
お互いの視線が絡んだまま、ファーミンのどこか熱をおびた瞳と彼の口から出た思いもよらぬ言葉の数々にオーターの心臓がトクン、トクンと高鳴っていく。
(欲しい、だと?この男が私を?冗談・・・いや、そうでない事は目を見れば分かる。しかし何故だろうな、不快じゃない。悪くないと思った。)
ファーミンの言葉を受け、オーターが口を開く。
「ファーミン。貴方は何かを欲しても、手にした瞬間に興味を無くし捨ててしまう。そんな貴方が私に執着していた事に正直驚いています。ですが、一番驚いているのは・・・・貴方に求められ悪くないと思った私自身です。」
「!オーター。」
「ファーミン。貴方に私をあげましょう。ただし条件があります。」
「条件?」
「そうです。この先も私の手となり足となる事。それが条件です。私だけ差し出すなんて不公平ですからね。」
いまだ添えられたままの手に自身の手を重ねながらオーターが言った。
「そんなのお前に言われるまでもない。これから先もお前の下で使われてやる。元々お前以外に使われるつもりもないしな。」
ファーミンがニヤリと笑いながら言った。
「決まりですね。」
話はそこで終わり二人は無言で見つめ合い、ファーミンがゆっくりと顔を寄せる。
何をされるのか察したオーターが瞼を閉じる。
ーーーそして、
二人の唇が重なった。
コメント
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こんにちは!Rhさん。こちらこそ嬉しいコメント&ハートありがとうございます😭次の話も頑張って書きます!
読んでいるだけでこっちもドキドキしてしまいました! 素晴らしい小説を書いてくれてありがとうございます😊次のお話も楽しみにしています!