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*‥・うらら°🌱🐇☁・‥*
52
マカロン
6,333
耀聖(ようせい)
1,616
精霊2体が消えると同時に、その場で崩れ落ちるエラリスを、すぐそばにいたアルテアが支えるようにして横に寝かせる。
「エラリス!」
2人の元に駆け寄るニティア、フィニス、ルシオの3人。
「契約後珍しく元気だと思ったのに……」
フィニスの言葉に目を瞑りながらクスッと笑うエラリス。
「あの子の目の前で情けない姿を見せたくなかったからね。少し我慢してた」
「そんな無茶しなくても……」
「魔力の枯渇もそうですけど、ずっと電気を浴びて……その都度回復……身体へ負荷をかけすぎですよ」
「わかってる。ありがとう」
ゴロゴロゴロ……
ライナがいなくなったとは言え、空は相変わらずの曇天。遠くでは雷が鳴り響いている。
「さすがにこのままここにいるのは危ないな。とりあえずここから降りて、安全なところへ行こう」
「そうだな」
そう言い、エラリスを背負おうと背を向けてしゃがむフィニス。
「あ、私が運ぼうか?」
浮遊魔法で浮かせるつもりなのだろう。ニティアは杖を軽く上げる。
それを薄目で見ていたエラリスがよろよろとアルテアに支えられながら起き上がる。
「ありがとう。でもこっちがいい」
そう言い、エラリスはフィニスの背中へと身体を預けた。
「……そ。フィニスも疲れたら言いなさい。あと足場の悪いところとかは私がやるからね」
そう言い残すと、くるりと背を向けてニティアは先に来た道を戻り、山を下っていった。
「あらあら。これは後が怖いかもしれませんなぁフィニス君」
「……おい、やめろって」
2人のやり取りにくすりと笑うアルテア。エラリスを背負ったフィニス達が、ニティアの後を追い、ゆっくりと下山していく。
話を聞いていたエラリスも、フィニスの背中で小さく口角を上げた後、そのまま深い眠りへついていった。
⸻
「しばらく目を覚まさなそうだし、今日はここで休んでいくか」
登りの途中で身体を休めた洞窟の中。横になって寝ているエラリスを見ながらフィニスが提案をし、皆もそれに頷いて答える。
「しかしすごいな。精霊4体と契約……もうばあちゃんと並んじゃってるんだから」
食事の準備をしながら、ルシオが呟く。
「あ、ルシオさん、薪が無いかもしれません……」
「私探してくるよ。多少濡れてても、魔法でなんとかできるから」
そう言うと、ニティアはそそくさと洞窟の外へ出ていってしまった。
「ご機嫌ナナメな感じ……?」
チラッとフィニスを見ながら小さく呟くルシオ
「いや、違うと思うけど……俺もいってくるわ」
「よろしくお願いしますね」
フィニスがゆっくりと立ち上がり、小走りで洞窟の外にいるニティアを追いかけていった。
⸻
スッ
スッ
山の斜面に転がっている枝を黙々と拾っているニティア。そんな様子を見たフィニスが後ろから声をかける。
「どうかしたか?」
スッ
スッ
「なにが?わざわざ来なくても、今日の分の薪の代わりの枝くらいは拾えるわよ」
「なんでも無いならいいけどさ」
フィニスも一緒に枝を拾い始める。
スッ
……
何本かの枝を一緒に拾った後、ニティアの手が止まった。
「フィニス」
「ん?」
拾って胸に抱えている枝を見つめながら、ニティアはポツリと話始めた。
「私……強くなってるのかな……」
ニティアの方に視線を向けるフィニス。
「珍しく弱気じゃん」
「フィニス。あんたは魔力をほぼ回復していた魔族のレヴスを1人で倒した」
「……」
スッ
視線を元に戻し、フィニスは枝を拾いながらニティアの話を聞いていた。
「エラリスも、英雄の1人……エリシアさんと同じ数の精霊と契約をした」
「……」
スッ
「それなのに、私がここ最近開発した魔法は魔族相手に使えなさそうな遠隔魔法や透過魔法……」
枝を拾うのをやめ、再び視線をニティアに向けるフィニス。
「こんなんで……私は魔女なんて倒せるのかな……魔法でしかダメージを与えられなさそうなのに……」
「珍しく弱気だな」
いつもとは違う、弱々しい視線でニティアはフィニスを睨みつけた。
「そういう日だってあるのよ」
「お前は強いよ」
「そう言うのはいいよ」
ニティアは頬を膨らませ、視線をフィニスから外した。
「ライナの雷からは、すぐに俺らを守ってくれただろ?」
「……」
「カエデとの試合でもそうだ。後から聞いたけど、あれも空気中の水分だかをなんとか色々やって、カエデの魔法を封じてたんだろ?」
「それがなによ……」
フィニスがにっこりと笑った。
【あなたの地頭の良さは私が1番知っています。予想外の出来事が起こった時、今一度落ち着いてみてください。ニティア……あなたには、どんな困難だって乗り越えられる力がありますから】
「!?」
フィニスの口から告げられる恩師の言葉。
「昔みたいに力技じゃない。ちゃんと冷静に状況を見極めて、困難を乗り越えてるだろ?」
「……」
「先生の言うことを守って弱くなるわけねぇだろ(笑)」
自分自身で気付けなかったこと。それをフィニスが見ていてくれたこと。そして恩師の言葉をフィニスの口から聞いて、心の中のモヤがスーッと晴れていくのを感じたニティア。顔を伏せたまま小さく笑うと、足で地面を軽く叩いた。
タンっ
「確かにそうだね」
次の瞬間、両手に抱えていた木の枝が宙に舞い始めると、ニティアはくるりとフィニスに背を向けた。
「もう十分枝も集まったし、戻ろうか」
顔を見なくても、ニティアが笑っていることが分かったフィニス。自分も同様に少しだけ小さく笑うと小さく返事をした。
「そだな」
ニティアの後ろをゆっくりと着いていくフィニス。
「ってか俺のやつも運んでくれてもいいんじゃね?」
後ろから声をかけるフィニス。
「それくらい自分で運びなさいよ」
顔だけ後ろに向け、わざとらしく言い返す。顔を正面に戻すと、胸元に隠れているネックレスに手を当てて再び優しく笑うニティアであった。
コメント
1件
うわ、ニティアがこんなに弱気になるなんて珍しい……でもすごく人間味があってグッときました。フィニスが先生の言葉を借りて「あなたの地頭の良さは私が1番知っています」って言うシーン、じんわりしましたね。エラリスも精霊契約のあとボロボロになってて、無理してるのが伝わってきて胸が痛かったです。みんなそれぞれの強さと弱さを見せてくれて、キャラがもっと好きになりました。