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「ただいま。」図書館から帰ってきた。本当は帰りたくなかったが、帰らなければ父さんと母さんに叱られてしまう。

「お前。また図書館に行っていたのかい?」

その声を聞いて背筋が凍った。僕は、すぐに本を背中に隠した。父さんの眉がピクピクしている。僕が仕事をさぼって家を飛び出して図書館に行ったことに対して怒っているのだろう。

「ごめんなさい。今すぐ仕事に向かいます。」

「全く。昨日のノルマが達成できなかったら夕飯は抜きだからな。」

と言い放ち、父さんは乱暴にドアを閉めた。その扉の先は工場になっている。帽子を作る工場だ。今は父さんと母さんだけが手作りで帽子を作っているが、最近帽子が長持ちできるようにと工夫しているみたいだ。少しずつ、売り上げが良くなっているのにも関わらず、父さんも母さんも満足できていない様子だ。それどころか、イライラしているにも見える。昔は二人とも優しかったのに…。

 昔はたくさん遊んでくれた。父さんは野球観戦が大好きで、僕もその影響を受けて野球が好きだった。だからか、父さんと僕はよく公園でキャッチボールをした。とても楽しくて

「まだ帰りたくない。」

って駄々をこねていたこともあった。

「ほら、帰ろう。母さんが待っている。今日の夕飯はカレーだと言っていたよ。」

そう優しい顔で言って、手を引かれて帰り道をとぼとぼと歩く。帰るときの父さんの手のぬくもり、夕日に照らされて眩しいと目を細めていたあの時も楽しかった。でも、今は

「ハッタ。また、お前はノルマを達成できなかったのか。やはり、産まなければよかった。こんなに使えない奴隷だったとは。」

と冷たい目をして言い放った。もうあの優しい顔をした父さんはいない。

マッド・ハッタの狂愛

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