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昼中は少し汗ばむようになってきた頃、突然のゲリラ豪雨に見舞われた日
マンションの共用玄関にたどり着くと、誰かが座り込んでいた
「あ!蓮!おかえり」
「翔太くん?どうしたんですか?」
「鍵落としちゃってさ、探してたらこの雨じゃん?嫌になっちゃう」
前髪から雫が滴り落ちるのが、なんともセクシーだ
「なにやってるんですか…」
「だからさ、蓮、泊めてくんない?」
「……言われなくても、そうするしかないですよ」
「やっさしい〜!ありがと」
はにかむ笑顔が眩しくて、つい目を逸らす
「ほら、早く行きますよ。風邪引きます」
「はぁーい」
家に着いても、俺の部屋に興味津々でなかなか進まない翔太くんを、浴室に押し込む
憧れのキレイなお兄さんが部屋にいるという、いきなりの思いがけない出来事に浮き足たつ
脱ぎ捨てられたびしょ濡れの服は洗濯機に入れ、 シャワーから上がるのを待つ間に、簡単な夜ご飯を作る
食材が余分にあって良かった
ちょうど出来上がったタイミングで翔太くんがお風呂からあがってきた
「お風呂ありがと」
「どういたしまして。服は洗濯にかけるんで。明日には乾くと思います」
「ん、さんきゅ」
「いいえ、ご飯作ったんで食べましょう」
「まじ!ありがてぇー!」
なんでもない会話を弾ませながら箸を進めていると、翔太くんがお茶をこぼす
「ありゃ、溢しちゃった」
「新しい服持ってきます」
「えー、わざわざいいよぉ」
「何言ってるんですか、そんなわけにいかないでしょう」
「あ、じゃあ、そこのパーカーでいいじゃん」
そういってソファにかかっていた俺のパーカーを指差す
「はぁ、わかりました。下は大丈夫です?」
「うん」
Tシャツを脱いだ翔太くんは、パーカーを軽く羽織っただけで、またご飯に向き合う
「ちょっと、ちゃんと前閉めてください。風邪引きますよ」
「はいはい」
面倒くさそうに返事する翔太くんに構わず、ファスナーを上げる
「蓮はしっかりしてるねぇ」
きちんと着てもらわないと、目に毒なのだ
この人は自分がキレイなことをちゃんと自覚しているのだろうか
「ごちそうさまでしたー!お前料理上手いんだな」
「お口に合ったならよかったです」
「合うどころじゃないよ、すげぇ美味しかった」
「ふふ、ありがとうございます」
褒められたのが嬉しくて笑みが零れる
「洗い物してやんよ」
「え、いいですよ」
「これくらいさせてって。今のうちにシャワーでも浴びてこれば?」
「じゃあお言葉に甘えて。お願いします」
シャワーを浴び終えて、換気ができたら、翔太くんの服を浴室に吊るす
浴室乾燥で朝には乾くはずだ
「あがりました。服干したんで、明日の朝には乾くと思います」
「何から何までありがとな、助かる〜」
「どういたしまして。寝るにはまだ早いし、何か観ます?」
「見る見る〜」