テラーノベル
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場所はとある深夜の通話サーバー。メンバー限定の“控え室”に、にぎやかな声が響いていた。
「ねぇ、最近のあのふたりさぁ…やばくない?」
「出た、いむの“探偵ごっこ”」
「ちがうちがう、僕はただ事実を言ってるだけ!
最近しょーちゃんがめちゃくちゃ機嫌いいし、Ifくんも花の写真ばっかインスタに上げてるじゃん?」
「うーん、確かに甘さが増してるのはわかる」
そう言ったのはないこ。
「初兎ちゃん、この前ライブ後に“あ、まろちゃんが頑張ってるから僕も頑張らないと”って呟いてたしね。顔ほころびながら」
「尊いな……」
こっそりマイクをオンにしたのはりうら。
「でも、ふたりとも自然体でいいじゃん。あれくらいの空気感なら、見ててこっちも落ち着く」
「いやいや!あの距離感で“自然体”とか言えるのお前くらいだって!」
いむが即座にツッコむ。
「この前も、スタジオ入ったらふたりで“椿の花言葉がね”とか話してて、僕さ……帰ろうかと思ったもん」
「まあでも……」
最後にぽつりと口を開いたのは悠佑だった。
「幸せそうなら、それが一番だよな。
俺たちの音楽が誰かを幸せにするなら、その誰かがメンバーでも、最高だと思う」
一瞬、空気があたたかくなる。
「……それっぽいこと言ってるけど、アニキもこの前“初兎がまろのこと大事にしててえらい”って笑ってたよね」
ないこがからかうように言うと、
「言ってないし、言ったとしてもそれは“保護者的視点”だから」
「はーい出ました、“保護者目線”」
「俺ら子供かよ!」
深夜の会話は、なんだかんだと笑いに包まれていく。
けれど、全員の心にはひとつ、同じ気持ちがあった。
――ふたりが並んで笑ってる姿は、やっぱり、ちょっとまぶしい。
誰よりも真っ直ぐで、照れ屋で、花を贈り合うような優しいふたり。
その背中を、誰もがそっと支えたくなるのだった。
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