TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する



僕は気まずくって、なんにも言えませんでした。


なので、すばると同じように星空を見上げました。


その星空の美しいことといったら、僕が生きてきた中で、いっちばん、美しいくらいです。


「うわあ、綺麗、綺麗だねえ。」


思わず、感嘆の声が漏れました。


少し、すばるの方を見ると、泣いていました。


ぽろぽろ、大粒の涙を溢れさせて。


「すばる、大丈夫?」


僕はすばるの背中をさすりました。


これが、僕にできる、最大の慰めだと思って。


「母さん、母さん、、、、」


すばるのその声は、とっても細くて、いっぱいの悲しみが詰まっていました。


「大丈夫。だいじょうぶ、、、、」


僕は必死ですばるを慰めました。


しばらくして、すばるの涙は、ほんの少し、乾いていました。


「落ち着いた?」


おそるおそる、僕が聞くと、


「うん。」


と、ほんのり笑いました。


「良かった。」


その時でした。


ぴかっ!と、すばるが握りしめていた、なにかが光りました。


これには、すばるも驚いたようで、握っていた物を僕にも見せました。


それは、宝石、、、だったのでしょうか。


でも、宝石よりも、ずっと、ずぅっと綺麗な物でした。


きらきら、まるで、今日みたいな星空をそのまま、閉じ込めたような石でした。


それを見て、すばるは、はっとしたように言いました。


「ぼく、もうそろそろ、帰らなきゃ。」


「え?」


あまりにも、急すぎました。


「え、もう帰っちゃうの?」


と僕が聞くと、こくり、と頷きました。


「また、会える?」


それが、一番心配でした。


たった、数十分の間でしたが、僕は、 すばると離れるのが、とっても惜しくなっていました。


「うん。また、会える。きっと、また会えるよ。」


と、すばるは言いました。


「約束だ。会いに来いよ。きっと。」


僕は、泣かないように、言いました。


「うん。」


すばるは、とびきりの笑顔でした。


その瞬間、すばるは空に消えました。


それと一緒に、すう、と一筋の流れ星が満天の星空を横切りました。





この作品はいかがでしたか?

44

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚