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僕は気まずくって、なんにも言えませんでした。
なので、すばると同じように星空を見上げました。
その星空の美しいことといったら、僕が生きてきた中で、いっちばん、美しいくらいです。
「うわあ、綺麗、綺麗だねえ。」
思わず、感嘆の声が漏れました。
少し、すばるの方を見ると、泣いていました。
ぽろぽろ、大粒の涙を溢れさせて。
「すばる、大丈夫?」
僕はすばるの背中をさすりました。
これが、僕にできる、最大の慰めだと思って。
「母さん、母さん、、、、」
すばるのその声は、とっても細くて、いっぱいの悲しみが詰まっていました。
「大丈夫。だいじょうぶ、、、、」
僕は必死ですばるを慰めました。
しばらくして、すばるの涙は、ほんの少し、乾いていました。
「落ち着いた?」
おそるおそる、僕が聞くと、
「うん。」
と、ほんのり笑いました。
「良かった。」
その時でした。
ぴかっ!と、すばるが握りしめていた、なにかが光りました。
これには、すばるも驚いたようで、握っていた物を僕にも見せました。
それは、宝石、、、だったのでしょうか。
でも、宝石よりも、ずっと、ずぅっと綺麗な物でした。
きらきら、まるで、今日みたいな星空をそのまま、閉じ込めたような石でした。
それを見て、すばるは、はっとしたように言いました。
「ぼく、もうそろそろ、帰らなきゃ。」
「え?」
あまりにも、急すぎました。
「え、もう帰っちゃうの?」
と僕が聞くと、こくり、と頷きました。
「また、会える?」
それが、一番心配でした。
たった、数十分の間でしたが、僕は、 すばると離れるのが、とっても惜しくなっていました。
「うん。また、会える。きっと、また会えるよ。」
と、すばるは言いました。
「約束だ。会いに来いよ。きっと。」
僕は、泣かないように、言いました。
「うん。」
すばるは、とびきりの笑顔でした。
その瞬間、すばるは空に消えました。
それと一緒に、すう、と一筋の流れ星が満天の星空を横切りました。