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隣でトラゾーが寝たことを確認して、さっきから鳴り続けるスマホを手に取った。
「はーい」
『お前、どういうつもりだよ』
「うわ、先輩に対してお前呼びとかないわー」
『はぐらかしてんじゃねぇよ』
「えぇ?どういうつもりって、お前らこそどういうつもりだよ」
画面の向こうでたじろいでいるのが手に取るように分かる。
きっと、他の2人もいるのだろう。
「実家暮らしのノアまで、こんな夜遅くに。補導されんぞ」
『俺ん家にいるからいいんだよ』
「…で?」
『あの写真なんだよ』
「なんだよって…やましいことのないただのツーショットじゃん」
『写真じゃねぇよ。その後のメッセージがなんだって言ってんだよ』
「えー?ただ、”可愛い俺の後輩♡”って送っただけじゃん。何?お前らなんか勘繰ってんの?」
すやすや寝ているトラゾーの頭を撫でる。
無意識なのか俺の手に擦り寄る。
可愛い行動にほっぺを撫でていたら、寝ぼけながら起きてきた。
「ん…らっだぁさん…?」
「あごめん、起こしちゃったな」
「?、電話…ですか…?」
「んー、トラゾーは気にしなくていいよ。まだ寝てな。寝不足なんだろ」
「ふぁい…ありあとぅ、ごらいます…」
再び眠りについたトラゾーに布団をかけ直して、ベランダに出る。
昨日の夜は雨が降っていて冷えていたが、今日は晴れていてちょうどいい気温だった。
「…で?トラゾーに隠し事してるぺいんとくんは何を勘繰ってんのかな」
『なんでらっだぁん家にトラゾーがいんだよ』
「え?泊まらせてるからに決まってんだろ」
『なんで』
「なんでなんでばっか聞いてんなよ」
『っ…』
「ま、大方トラゾーに言い訳のメッセージ入れたものの無視されて、どうしていいか分からんくて俺んとこに電話してきたんだろ」
『…だから、』
「隠しておきたい気持ちも分かるけど、トラゾーは素直に話してあげたほうが喜ぶんじゃねぇの?」
ガラス戸越しに寝ているトラゾーを見る。
布団を被って丸まって眠っている。
『……分かってるけど…』
口籠る世話の焼ける後輩に小さく溜息をつく。
色々大変だなと思いつつ。
「ま、俺には関係ねぇし。…んじゃ、俺も寝るから。明日は連絡してくんなよー」
『ちょ、待っ…』
通話を切って中に入る。
「さて、どう出てくるかな」
隣に入って布団をかけ直す。
「んン…」
少し肌寒さを感じたのかこっちに擦り寄る子ども体温な可愛い後輩を抱きしめて俺も眠りに落ちた。